九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 33日目 本渡瀬戸歩道橋を渡って上島に 熊本県天草市本渡~天草市栖本 2020年7月12日

 今日は天草市の中心地である本渡からの出発。昨夜は友人宅にお世話になり、6:00に起床。そのまま本渡瀬戸歩道橋まで友人も一緒に歩いてくれることになった。

 7:57に本渡の中心街にある家を出た。しばらくは国道324号線に並行する街中の道路を歩く。そういえばかつては街の中にこんな映画館があったな、と思うような映画館が未だに健在。友人の同級生が経営しているとのこと。16世紀はこの辺りはキリシタン文化の中心だったからか、なんとなく文化の香りがする。

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 2kmほど歩いて天草工業高校のグラウンドに到着した。やはりユニークな構造。正門の近くにはテトラポットを模したような建築物がある。これはあとで調べてみたら2016年竣工の木製のトイレ。さらに回り込むと、3階建ての校舎が屋上の一部を削るようにして、5階建ての校舎の吹き抜け部分を貫通している。3階建ての旧校舎の上に、5階建ての校舎を新築せざるを得ない理由があったのだろうか。3階建ての校舎は途中で切断して、円形の窓を強引に取り付けたようにも見える。六角鬼丈の設計の宗教施設にこんな窓があったなと連想する。実習棟の形状も見れば見るほどユニーク。これも菊竹清訓設計の都城市民会館に似ているような。

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これがトイレ!

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3階建ての校舎を5階建ての校舎がまたぐ

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この実習棟もユニーク

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参考までに六角鬼丈設計の金光教福岡高宮教会

 高校の横の上島と下島の間の狭い水路に渡されているのが本渡瀬戸歩道橋。1978年完成の橋長124.8mのトラス式(三角形の組み合わせ構造)の橋。現在、自動車は隣の天草瀬戸大橋という1974年完成の橋を通行しているが、この橋は船舶の航行を考慮して海面からの高さが17mあり、ループ橋となっているため、歩道はあるものの徒歩や自転車の通行には難渋する。このため、歩行者と自転車の専用の橋として別に本渡瀬戸歩道橋が建設されている。中央の58mの部分が可動式で、10mと17mの2段階に昇降できる。

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本渡瀬戸歩道橋

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天草瀬戸大橋 歩道もあるがこちらは主に自動車交通

 本渡瀬戸歩道橋に到着したのが8:30で、こんな早くに航行する船舶は少ないだろうなと思いながら歩いて渡ったそのとき、サイレンが鳴って橋の信号が赤に変わった。有明海方面から船がやってきた。可動部分にかけられたウィンチが回転を始め、10mの位置に固定された下部を船が白い航跡を残して過ぎ去っていった。

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サイレンが鳴って信号が赤に変わる

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10mと17mの2段階の昇降

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これで船舶が航行できる

 ここからは集落を抜けて山道に入る。道路脇の田んぼでは水稲が栽培されているが、7月12日の現在、すでに穂をつけている。福岡ではいま田植えをしているようなところもあるのに。友人曰く、これは二期作とのこと。二期作という単語は、中学校以来聞いていなかった。それも、人の口から現物を見ながらの二期作というリアルな単語を聞いたのは初めてで、とても新鮮に感じた。中学校の時はメコン川流域の話だったっけ、とか思いながら歩いたところで友人は自宅に戻ることにした。この先は一人で次の集落まで山歩きを楽しむこととなる。曇ってはいるが、雨は降っていない。

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稲にすでに穂が見られてびっくり

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山の上からもう一度本渡瀬戸歩道橋を振り返る

 山道を登ると畑の手入れをしている方に出会った。聞けば、作物のほとんどがイノシシに荒らされてしまったとのこと。次に会ったスイカの収穫の方も同じ事を言う。スイカ畑は、ネットと電気柵で防御したうえ、プラスティックの箱をかぶせてある。手間のかかることだ。

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イノシシに荒らされたキュウリ畑

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イカも被害に遭う

 さらに山道を登り、高度を上げる。南の八代海に面した斜面には柑橘系が植えられている。雲高が低くなり、周囲がガスに包まれてきた。

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 10:10に朝食を摂ることにした。今日の朝食はビスケットと紅茶。地図を見ると、上りはもう少しだけのようだ。最高地点は250m程度。道の状態も良好で、雨さえ降らなければ快適この上ない。

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 山道が車道と交差しながら少しずつ高度を上げていく。南向きの斜面には柑橘系の樹木が植えられている。スダチのような小さな実がたくさんついているがなんだろうか。

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 しばらく進むと、峠を越して谷に沿って下り始めた。山道は依然として舗装された快適な道路。自動車の通行は皆無。小さな集落が現れる。集落の外れにバナナのような植物が育っている。熱帯の国に来たような気がする。

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このあたりが峠になる

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袋掛けしたモモも植えられていた

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これはバナナ?

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見事に成長している水田

 しばらくゆっくりとした道を歩いていると栖本の町が見えてきた。タバコ畑では収穫をしているようだ。街の中には商店と食堂がいくつかある。次のトレッキングの再開地点がここになるので、補給が可能だと助かるなと思いながらもう少しだけ先に進む。

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栖本の町が見えてきた

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タバコの収穫

 海の近くに宗教施設のような建物があるので覗きに行ったら、天草市立栖本病院だった。このセンスはいかがなものだろうか。

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 12:33には本日の目標と定めていた栖本温泉かっぱの湯に到着した。これにて本日の行動終了。かっぱ温泉のトロトロのお湯に浸かって極楽極楽。

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かっぱの湯

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2020年7月12日 九州自然歩道 33日目 熊本県天草市本渡~天草市栖本 曇り 気温27/24 距離15.5km 行動時間4:59 平均速度3.5km/h 23667歩