朝、テントから出たときに気が付いた。岩戸観音の宮本武蔵像もコロナ対策に取り組んでいた。武蔵に見守られながらテントの撤収を行い、7:02に行動を開始した。
最初に谷を下って向かったのは雲巌寺。宮本武蔵ゆかりの寺院で、五輪書は武蔵がここの霊厳洞に籠って標したとされている。また五百羅漢も見事。いくつかの仏像は首が落ちているが、朝の挨拶を交わした住職さんに聞くと、廃仏毀釈運動で破壊されたとのこと。残念なことだ。
天気予報では曇りのち雨となっているが、今のところ天気は良い。最初の目標の二ノ岳の緑が青空に映える。南向きの二ノ岳の麓にはミカン畑が広がり、一ノ岳(金峰山)の北向きの斜面には棚田が広がっている。
二ノ岳の麓の面木集落には森の駅という九州自然歩道にちなんだ施設がある。ここに8:18に到着した。開館は9:00なので、外のウッドデッキでノートPCの電源を入れる。昨夜のテントの中はあまりの暑さでブログ更新の作業ができなかったため、1時間ぐらいかけて昨日分の原稿作成と写真整理を行った。その後は、クラッカーの朝食とした。
10:00に森の駅を出発し、1kmほど先の野出集落との分岐には10:20に到着。ここまでは立派な舗装路で、交通量もそこそこにある。この分岐は50mほどの間に8本の道路の交差するところで、九州自然歩道がどちらに進んでいるのか分かりにくい。地図とコンパスを参照して進み始めたが、300mほど進んだところでコースを誤ったことに気がつき引き返し始めた。そのとき坂の下の方からトレイルランの方が颯爽と走ってきた。トレラン氏に聞くと、この道が二ノ岳の登山道に向かうのは間違いないとのこと。ホッとして一緒に歩き始めた。5本指のシューズを履いて、ハイドレーションのチューブが見える。いかにも早そうだが、しばらく一緒に付き合って歩いてもらう。九州自然歩道を歩いているときに同行者がいるのは始めて。次の目標の山など話が弾む。
11:10に二ノ岳登山口に到着した頃から雨が降り出した。トレラン氏とはここで別れ、整備状況のよい二ノ岳の登山道をゆっくりと歩き始めた。時折強く雨が降ったり、日が差し込んできたり、めまぐるしく天気が変わる。二ノ岳(685m)の頂上には12:10に到着した。頂上は小さな祠が設置された草地。西の有明海と北の三ノ岳の方向に眺望がひらける。西の空が黒く見えるので、少し先を急ぐ。
二ノ岳から三ノ岳への道も整備状況は良好。山道の両側には針葉樹と、ときおり広葉樹が広がり、有明海の方向から風が吹き心地よい。三ノ岳への鞍部から頂上に続く道が少しだけ傾斜のきついところがあったが、なんなく13:13に三ノ岳(681m)に到着。ここも眺望は良好。頂上は台風のような風が吹くが、汗まみれの身体にはかえって気持ちがよい。ここでは行動食をとりながら休憩。
13:30に三ノ岳の頂上から行動再開。15分ほどで三ノ岳神社を通過したあとは、舗装された林道に変わる。このあたりは木材の伐採や間伐を盛んにしているよう。地図に明記されていない道もいくつかあり、九州自然歩道の標識はほとんど見当たらないので、道を間違えないように注意する必要がある。
14:11に林道から分岐して柑橘畑の中の道に変わる。ここからはずーっと柑橘畑の中を歩く。見事だ。できることならば、ミカンの花の時期か、柑橘が黄色く色づく頃に歩きたかった。このルートはもう一度歩きたいコースのリストに収載することにした。
ミカン畑や、ときおり現れる西南の役の史跡をたどりながら、15:55に半高山(294m、はんこうやま)に到着した。この山は三ノ岳の半分の高さということで半高山と呼ばれるようになったとのこと。山を挟んだ向かい側の吉次峠(きちじとうげ)とともに、西南の役の激戦地として知られる。しかし、この西南の役という内戦の原因や目的がよく分からない。今度は少し予習してから来ることにしよう。
半高山からJR田原坂駅までは地図上では3kmほど。17時ぐらいにはJRに乗って帰途に着くことができるかなと思ったら、ここからがたいへんだった。半高山の北の斜面の一面のミカン畑の中を気持ちよく進んでいったが、九州自然歩道の標識はほとんどないため、地図を見ながら慎重に歩を進める。ようやく標識があったと思ったら五叉路のどこに向いているのか分からない。ミカン畑の迷路の中を彷徨い、コースに復帰できたと思ったら完全に道がなくなっていたり、イノシシ防止の電気柵やフェンスで先に進めなかったり、道の先が断崖だったりで、柑橘畑脱出には1時間以上を要した。
17:45に田原坂駅にようやくたどりつき、18:07の鹿児島本線で帰途に着いた。
2020年8月10日 九州自然歩道 41日目 熊本市西区岩戸観音~熊本市北区植木町田原坂 曇りのち雨 気温32/27℃ 距離23.3km 行動時間10:57 平均速度2.8km/h 45362歩