九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 62日目 川内川の清流に沿って進む 鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田ダム~さつま町宮之城 2020年11月15日

 鶴田ダムふれあい公園の広い駐車場の真ん中に設営したテントの中で5:30ぐらいに目が覚めた。日の出の時刻は6:17で、まだ外は真っ暗。下がアスファルトで、ペグを打ち込んでフライシートにテンションをかけることができなかったため、テントの内面は結露している。しかし、それほど寒くはない。

 6:30にシュラフを抜けだし、撤収作業を開始した。谷間の公園にも、ようやく日が差してきた。昨夜は真っ暗でよく見えなかったが、100台ほども停められる駐車場で、その真ん中にぽつんとテントが鎮座するのはちょっとシュール。

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 テントをひっくり返して、パッキングの前に水気をできるだけ乾かすようにしていると、昨夜から初めての自動車であるパトカーが公園の横を通過していった。10分ほどして茶色の普通車が近づいてきて、20代後半ぐらいの2人の男性が降りて近づいてきた。手のひらの中の手帳サイズのものをペラリとフリップさせて中を見せる。職務質問のようだ。どこから来たかと尋ねられ、福岡から歩いて旅行中と答えたら絶句された。名前も聞かずに、何でそんなことをしているのかとか、1日何キロぐらい歩くかとか、食事はどうしているかとか、この徒歩旅行に興味津々のよう。話がなかなか尽きず、コーヒーでもどうですかと誘うと、一人は飲む気満々だったが、もう一人から促されて仕事に戻っていった。今日から狩猟の解禁で、見回りに行くとのこと。駐車場の真ん中にテントを張るような不審者からは名前ぐらい聞いたらどうだろうかと思いながら片付けを再開した。

 撤収作業を終えて7:36に行動を開始した。500mほど坂道を上り、鶴田ダムのダム体まで戻る。昨夜、自販機で飲料水を購入したふれあい館はまだ始業前だった。

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 鶴田ダムによって川内川が堰き止められてできた大鶴ダムは、10kmほどの奥行きのある巨大なダム湖だが、その水面のほとんどがボタンウキクサホテイアオイで埋め尽くされている。かなり不思議な光景だ。忍者の有資格者ならば、頑張れば上を歩いて向こう岸に渡れそうな気もする。

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 鶴田ダムのダム体を渡り、九州自然歩道のルートに復帰する。県道404号線の舗装路を歩くが、ほとんど通行する自動車はなく快適。しばらく歩くと右手に川内川が見えてきた。鶴田ダム下流にもダムがあるようで、川の流れは淀んでいる。山の向こうから太陽が昇ってきた。たちまち暑くなり、上着を脱いでTシャツ一枚で歩き始める。

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 川内川の水面にはカモと思われる水鳥が何羽も浮いている。流れがないわりには水が澄んでいて、水面近くを泳ぐ魚の黒い背中が見える。カモがときおり水の中に頭を入れるのは、魚を捕らえているのだろうか。

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 しばらく進むと山の斜面から水が流れているところがあった。洗面タイムだ。この水で歯を磨き、顔を洗う。冷たくて気持ちが良い。

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 9:30ごろ、さらに進んだところにもう一つのダムが現れた。川内川第2ダムだ。このダムのために、鶴田ダムの下の流れが淀んでいたのだ。このダム湖には水草は浮いておらず安心した。ダム湖に映る山を眺めながら、ここでしばらく休憩した

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 川内川第2ダムの下流は、本来の川内川のきれいな水の流れがみられる。しばらくは川に近い道を歩き、その後は山手の道に上がっていく。鶴田小学校の交差点を右折し、川内川に架けられた神子橋を渡って神子の集落に入る。ここには小さな商店が1か所ある。数人の地域の高齢者の方たちが集まって、何やら苗をみながら相談しているようだ。

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 10分ほど歩くと、アビール館という公共の温泉施設が道路脇に現れた。玄関先から中を覗くと、従業員の女性が出てきて、いまは空いているからゆっくり入れますよと教えてくれた。それならばと温泉に浸かることにした。先客は1名のみ。とろりと肌の上に薄い皮膜を形成するような滑らかなお湯をゆっくり楽しむことができた。

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 温泉の後は、11:26に行動を再開した。このあたりまでくると、完全に集落をつなぐ県道の様相を呈しており、道路の舗装状態は良く、交通量も少しだけ増えた。11:50に湯田橋を渡って対岸の湯之元温泉に到着した。湯之元温泉には評判の良いうなぎ屋がある。今日はここでお昼ご飯を食べようと、朝から何も食べずにお腹を空かしていたのだ。

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川内川を渡ると宮之城(湯之元)温泉

 目標の湯之元食堂はメインストリートに面しており、すぐに見つかった。予約のお客さんで忙しいようだが、カウンターが空いており、すぐに座ることができた。うな重とうな丼の2択のみ。カウンターの前で、ご主人が注文を受けてからウナギを捌きはじめる。見事な手さばきで身体をよじらせるウナギを捌き、串を打つ。関東風の先端の尖った包丁で背開きにする。蒸しはない。15分ほどで注文したうな重と山太郎ガニのみそ汁が目の前に並べられた。山太郎ガニは九州北部ではツガニと呼ばれる淡水のカニで、濃厚な味がする。マイルドな鹿児島弁で気さくに話しをするご主人と会話を楽しみながら、香ばしく焼かれたうな重を堪能した。

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 昼食を終えて12:43に行動再開。西には北薩地方の最高峰の紫尾山(しびさん)が見えてきた。11月とは思えないような陽気で、汗が出てきた。

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正面が紫尾山

 13:09に柏原橋の交差点で国道267号線と合流し、一気に交通量が増えた。しかし、この道は歩道が設置してあるため安全には問題はない。15分ほど歩いたところで宮之城の市街地に入った。ここで宮都大橋を渡りしばらく進むと、道路の真ん中に駅舎のような建物が見えてきた。近寄ってみるとまさにここは国鉄宮之城線の宮之城駅の跡であった。

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宮都大橋を渡る

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国鉄宮之城駅跡

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 ここからは九州自然歩道を離れて市内を横断し、宮之城橋を渡って出水行きのバスの出る虎居町まで進んだ。14:45に本日の行動を終え、バスが来るのを待つことにした。

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宮之城橋を渡る

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2020年11月15日 九州自然歩道 62日目 鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田ダム~さつま町宮之城 晴れ 気温24/12 距離19.7km 行動時間7:00 30531歩

復路交通:虎居町 南国交通鹿児島空港線バス15:02-出水15:40/15:50九州新幹線さくら406号-博多17:03