九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 65日目 吹上浜の波打ち際をどこまでも歩く 鹿児島県いちき串木野市串木野~日置市吹上町永吉 2020年11月23日

 今朝は6:00に布団の上で目が覚めた。体のどこも痛くならず、室温も暖かく、頗る快適だが何か物足らない。顔を洗い、歯磨きをする。水道から水が出るのがとてもありがたい。文化的な生活っていいなと思いつつも、キリっと冷たい谷川の水もよかったかなと思う。贅沢を言ってしまうが、旅館の朝は、どことなく生ぬるい。

 7:00に旅館を出て串木野駅に近い鹿児島本線の切り通しの上を通過する。現在のこの部分の鹿児島本線川内駅から鹿児島中央駅までで、単線区間が多い。大学、大学院のときに博多から鹿児島まで通して鹿児島本線に乗車したことがあったが、列車の待ち合わせが何度もあったなと遠い記憶がよみがえる。

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串木野駅の近くの鹿児島本線

 さらに海の方向に歩くと、国道3号線を越える。すぐ先に公民館があったが、最近よく目にするようになった海抜表示の下に、15.1kmと単位の違う数値が書いてある。よく見ると川内原発からの距離だ。そういえば再稼働をはじめたなと思い出す。

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国道3号線と交差する

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川内原発から15.1km

 2kmほどで串木野港に到着した。積み荷作業に使うのか、大きなクレーンが稼働を開始していた。港を通り過ぎ、長崎鼻の先端にある灯台まで行ってみた。白蓮の歌碑がある。歌碑にある小島とはどのことかなと探してみるが、わからない。当時とは浚渫などのために地形が変わっているのかもしれない。風が強く、雨粒が吹き付ける。雨が降っているようにも見えないなと思ってよく海を見たら、砕けた波が飛ばされたもののようだった。沖に見えるのは甑島。川内から30kmほど沖合にあるはずだが、近く見える。頑張れば泳いで渡れそうなほど。

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串木野港ではクレーンが稼働中

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白蓮の歌碑

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長崎鼻灯台

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灯台の先には甑島が見える

 8:00には長崎鼻から遊歩道を通って先に進む。岩礁に1mほどの岩の橋が架かっている。その下は空洞。これを渡って先に行くと、青い海に釣り人が糸を垂れていた。

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長崎鼻公園の遊歩道を進む

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岩礁に渡る狭い岩の下は空洞になっていた

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海は、碧い

 集落を抜けた先には小さな島が浮かび、島の入口には鳥居が建てられている。この島が照島神社。航海の神様のようだ。

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照島神社の鳥居

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遠洋航海に向かう船は照島の沖合で安全祈願をしたという

 島の先には白い砂浜が続く。ここが照島海岸で、ここから吹上浜の海岸が始まるようだ。砂浜に沿ってコンクリートの歩道が設置されている。歩道で枯れ葉を集めて掃除をしているおじさんから、どこに行くかと声をかけられた。吹上浜を加世田方面に歩いていくというとビックリしていた。

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照島海岸の遊歩道

 この海岸には、おじさんが子供の頃にはよくウミガメが産卵に上がってきて、卵をとっては売りに行っていたとのこと。いまではとてもできないけどとも言っていた。白い砂浜の照島海岸はおじさんの誇りで、毎日のように掃除をして、流木を片付けているとのこと。

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海岸もきれいに清掃されている

 このおじさんは以前はマグロ漁船に乗って遠洋航海に出ていたとのこと。最初は炊事担当から始まり、船酔いには航海のたびに苦労したこと。独学で勉強して無線技士の資格を取ったこと。モールス信号の聞き取りや、業務用の周波数帯、電波航法のロランなどなど、無線の技術系の話が面白かった。

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 照島海岸を30分ほど歩き、9:10に河口に突き当たり、砂浜に沿った歩道は終端となった。ここでいったん国道3号線にグルリと迂回し、八房川を渡って河口の干潟を通過し、いちきアクアホールという立派な施設の前まで来た。

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八房川河口の干潟を迂回

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いちきアクアホール

 アクアホールの前の大黒川にかかる日の出橋をわたり、砂嘴の松林を抜けると白い砂浜の向こうは東シナ海だった。展望台の上に登り、海を眺めながらサンドイッチとオレンジジュース、シードレスグレープの朝食とした。風が冷たい。

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日の出橋を渡る

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松林を抜けて砂丘の上に出ると

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目の前には海が拡がる

 朝食の後は10:00に行動再開。地図を見ると吹上浜瀬脇海岸の砂浜は3km以上続いている。海岸線に沿った松林の中に歩道がつけてあるのだが、防風林に囲まれて景色が期待できない。そこで、せっかくなので波打ち際の砂地を歩き始めた。靴が砂地にめり込んで歩きにくく、舗装路の倍ほども力が要る。しかし、寄せる波をよけながら歩くのも面白い。歩けるところまで歩いてみようと、砂地に足跡を記しながら先に進んだ。

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波打ち際を歩き始めた

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波を避けながら歩くのも一興

 1時間ほど歩いて砂浜は岩場につきあたり、先に進めなくなったため、砂丘の中の道を越えて戸崎集落の中に入っていった。岩場の先端は戸崎鼻で、標識と石仏が設置してあった。

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吹上浜の美しい海岸が続く

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ここでいったん行き止まり

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防風林の中を集落に向かう

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しらす干しの工場か?

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戸崎鼻

 この先は戸崎漁港を眼下に眺めながら高度を上げていく。道沿いの民家にはハイビスカスやブーゲンビリアといった福岡では越冬が困難な南方系の植物が庭先に普通に植えてある。ずいぶんと気候が温暖なようだ。

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戸崎漁港

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軒先にハイビスカスやブーゲンビリアが地植えで育っている

 戸崎漁港の先は500mほどで国道270号線に合流する。舗装状態は良好だが、ほとんど歩道はなく、交通量が多い。しばらく歩くと日置市の標識が道沿いに現れた。2kmほど海岸沿いの国道を歩き、江口漁港に折れて海沿いに進むと海浜公園が現れた。ここは両端に突堤が築かれ、正面に消波ブロックを設置した海岸に、砂を投入して作った人工海岸のよう。砂浜に打ち寄せる波は穏やかだが、周囲の海には白波が立って荒れ始めたように見える。

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国道270号線を歩いて日置市に入る

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江口漁港を通過

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海浜公園

 海浜公園の南の外れには江口蓬莱館という物産販売の店があり、その中に海鮮レストランがあった。食べログをチェックするとなかなか高評価。昼食はここにしようと入店したが、30組以上の順番待ち。迷ったが、この先食堂はなさそうなので、予約リストに名前を書いて近くのベンチで待機することとした。50分ほど待って呼び出しを受け、にぎり寿司のランチを済ませて、13:27に行動を再開した。

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江口蓬莱館

 海浜公園からは再び国道270号線を歩く。江口から先の海岸は断崖絶壁で、打ち寄せる波がときおり歩道を濡らしている。2kmほど断崖の海岸を歩き、国道は海の見えない山の上に上がっていく。

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江口から2kmほどは断崖絶壁

 14:00に神之川の集落を抜け、しばらく歩くと右手に大きな金属製のタンクが見えてきた。ここがなんとウイスキーの蒸留所だった。鹿児島は焼酎の醸造が盛んなことは知っていたが、この地でウイスキーを蒸留しているとは知らなかった。小正醸造株式会社の嘉之助蒸溜所で、予約を行えば見学もできるよう。いつか内部を見学してみたい。

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小正醸造株式会社

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ここでウイスキーの蒸留を行っているようだ

 この先も国道270号線をひたすら歩く。このあたりも歩道があったりなかったりで、自動車はかなりのスピードで袖をかすめるようにして通過する。あまり歩くには適していない。日吉の集落のあたりから、自転車専用道の標識が現れる。自転車道に行こうかどうしようか迷いながら国道を歩いたが、標識が現れて2kmほど経た吉利(よしとし)の集落のところには自転車道まで60mと記載があったため覗いてみることにした。

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このあたりは直線路が多い

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蕎麦畑もあった

 自転車専用道路は、1984年まで運行されていた鹿児島交通枕崎線(南薩線)の路線の跡だった。当時は枕崎と伊集院とを結ぶ地元の足だったよう。ここは吉利駅の跡地で、ホームが残されている。自転車専用道路はきれいに整備されており、国道を歩くよりもこちらの方がずっと快適。もしこのルートを歩く人がいたら、自転車専用道を歩くことを強くお勧めする。

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吉利駅跡

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吉利駅跡の南薩線の案内

 15:33には吉利駅跡から国道270号線と並行して走る自転車道に入り、自動車の騒音に悩まされることなく歩いた。地元の方も数名ウォーキングをされており、挨拶を交わした。南薩線が営業していた頃ものんびりした雰囲気だったろうなと偲ばれる。

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自転車道の方が数段快適

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これも線路跡

 南薩線が永吉川を渡るところで、鉄橋の線路は撤去されており、橋脚だけが残されていた。自転車道は浜田橋を渡り、いったん国道と合流した後、再び海辺に向かってカーブしていく。そろそろ伊集院行きのバスの時間が近づいてきたため、16:12に永吉十文字バス停で行動を終了し、バスの到着を待つことにした。

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永吉橋に架かる鉄橋の遺構

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現在は人道に使われている浜田橋

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永吉十文字バス停で本日の行動終了

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伊集院駅前にはかつての領主の島津義弘公が

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2020年11月23日 九州自然歩道 65日目 鹿児島県いちき串木野市串木野日置市吹上町永吉 晴れ 気温18/10 距離28.9km 行動時間9:12 3.1km/h 43161歩

復路交通:永吉十文字16:28鹿児島交通バス-伊集院16:55/17:16 JR鹿児島本線-川内17:52/18:19 九州新幹線さくら570号-博多19:42