九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 67日目 真っ青な海を眺めながら野間岳から野間池に 鹿児島県南さつま市加世田~南さつま市野間池 2020年11月29日

 今日は宿で目が覚める。いつものテント泊ではなく、宿を予約した理由は、宿泊予定が加世田という比較的人口の多い地区であったことと、荷重をできるだけ減らすためにテント泊の機材を持ちたくなかったからだ。というのも、今日の行程の帰りの交通の自由度は極めて低く、目標地点の野間岳に東海岸から上った後、西海岸に下山し、海岸沿いに北に4km移動して15:20の最終バスに乗るか、下山後に南に17km歩いて16:45の最終バスに乗るかの2択。野間岳は東海岸から西海岸に抜ける行程を歩く人間はほとんどいないようで、コースタイムが不明。ということで、野間岳から先は荷物を担いで走らなければならない可能性もあることから、負担を考えて荷物は極力少なくしたかったからだ。

 5:00には目を覚まし、昨日の写真整理とブログのアップロードを行い、シャワーを浴びる。こういう文化的なトレッキングもいいものだ。ハハ。7:00には宿のご飯を摂り、7:45には宿をチェックアウトした。フロントのおじさんはカードでの清算に不慣れなようで、カードの方向を変えたり、裏表を変えたりしていたが、困った様子でこちらを見ている。「ひょっとしたらフロント担当初めて?」と尋ねると、正直に「ですです」と鹿児島弁で返してきた。朴訥な鹿児島弁で返答されると、抵抗できない。現金で支払いを済ませた。すべて許す。鹿児島弁は強い。

 宿からは10分ほどで昨日、九州自然歩道を離脱した吹上浜海浜公園に到着した。公園内を走る自転車専用道がコースとなっている。ところどころ切り通しがあったりして、鉄道が敷設されていたような雰囲気がある。南薩鉄道は加世田から南に枕崎に進むので、ここには線路はなかったと思うのだが(後日、調べてみたら、加世田から西の万世まで1駅の支線が敷設してあった)。正面に見えたのは長屋山(ちょうやさん)。山頂にレーダーが設置してある。

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吹上海浜公園の中に進む

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自転車専用道を歩く

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正面には長屋山

 30分ほどで自転車専用道は終点となった。ここからは国道226号線に合流する。この国道も歩道のない部分が多く、自動車の往来は多く危険。このあたりは、遠回りにはなるものの、海沿いの道を選ぶこともできるので、九州自然歩道のコース設定を考慮してほしいものだ。

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ほどなく自動車専用道は終点に

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国道226号線と合流する

 9:00に小湊集落を通過。小さな港町だ。ここでも庭先に地植えのハイビスカスが見られた。集落を通り過ぎると海沿いには干拓地が拡がる。干拓地には農作物が植えられているようには見えない。

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小湊集落を通過

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庭先に地植えのハイビスカス

 30分ほどかけて干拓地の横を通過し、越路の集落を抜けて坂を下ると、目の前には海が広がる。目標地の野間岳が大きく見えてきた。今日は風が弱く、波はほとんど立っていない。

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野間岳がそびえる 手前は小岳

 野間岳を眺めながら、大浦川に架かる恋島橋を渡る。渡った先は大浦の干拓地となっている。海側の干拓地では米が栽培され、山側ではソバが生産されているよう。ここは直線道路で歩道がないため、やむなく干拓地のあぜ道を歩くことにする。こちらの方が数倍快適だ。

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恋島橋を渡る

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干拓地には収穫間近のソバ

 10:00に大浦の干拓地を抜け、笠沙路の石碑を通り過ぎた後は、次第に高度を上げていく。干拓地が眼下に広がり、昨日歩いた吹上浜も一望できるようになった。半島の北に点在する島もいくつか見えてきた。

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道路から干拓地が一望できる

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海沿いの眺めの良い道路を進む

 小浦の漁港が見え始めたところで、国道226号線を離れ小浦の集落内に進み、小浦港に向けて下りていく。このあたりが笠沙の中心地のようで、笠沙小学校が山の上に見えた。

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小浦の漁港に下りていく

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集落を抜けた先の山に小学校が見えた

 眺めの良い海岸を進み、片浦の郵便局に到着。ここから野間岳の東登山口が始まる。郵便局に到着したのが11:28。野間岳の頂上から、北の野間池に進むとしても、あと4時間しかないので時間はぎりぎりになりそうだ。今日は野間岳に登るのをあきらめようかとも思ったが、荷物が軽いため1時間程度のコースタイムは何とかなるはずと、思い切って先に進むことにした。片浦郵便局の分岐部の標識には、野間岳6.2kmと書いてある。通常のペースならば2時間で山頂に到達できるはずだ。

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眺めの良い海沿いの道が続く

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片浦郵便局の手前から野間岳への山道に入る

 国道から別れた先は比較的良好に整備された舗装路。勾配はあるが、気持ちよく登ることができる。ところどころで景色の良いところもある。野間岳の頂上もずいぶん近く見えてきた。

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舗装された山道を進む

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はるか向こうに開聞岳も見えてきた

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野間岳の頂上が迫ってきた

 5.5kmの舗装路を50分で歩き、12:17に野間岳の登山口に到着した。少しお腹が空いてきたため、ここでバナナとミカンの昼食とした。不思議なことに水道の蛇口が設置してある。まさかと思ったが一応ひねってみたが、水は出てこなかった。

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登山口に到着

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この蛇口はフェイクのよう

 登山口からはコンクリートの階段が続き、歩きやすい。山道を歩き始めて10分ほどで395mの尾根に到着した。ここには木を切り開いた展望所があり、吹上浜も半島の先端もきれいに見えた。

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歩きやすく整備されている

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吹上浜が一望

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野間半島の先端も

 395mピークから先はすこし山道が荒れ気味で、ときおり倒木が道をふさぐ。20分ほど登ったところで大きな石が道を塞いでいるかと思ったら、笠沙石門の標識があった。2つの石の上に巨大な石が門のように乗ったもので、巨大な石の下に小さな丸い石が挟まってうまくバランスをとっているよう。山道はこの門の下をくぐる踏み跡がついているが、心配に思った人は迂回するのだろう。左右にも踏み跡がついている。一瞬、頭の中にうそつきの頭には石が落ちるぞ、という悪魔の声が聞こえたような気がしたが気にせず通過した。問題なくくぐり抜けることができた。嘘をついたことがないからである。

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山頂近くの道は荒れ気味

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笠沙石門をくぐる

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バランスよく支えられた巨石の下をくぐるのはスリリング

 野間岳(591m)の頂上には13:00に到達した。さきほどまでは曇っていたのに、頂上に着いた頃から雲間から太陽が見えてきた。野間崎の先端がきれいに見える。海が青い。次の目標の坊津もよく見える。野間岳の頂上では行動食を摂って、13:20には行動再開した。

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日が差し込むと野間崎の海の青さが目にしみる

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坊津の海も

 下りは西海岸に向かって下りていく。こちらのルートは多くの登山者がいるようで、整備状況は良好。鎖が新品に取り換えられたばかりのようだ。こんなにきれいに整備してくれている地元の愛好家・ボランティアの方々には本当に頭が下がる。

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西からの登山道の整備状況の方が数段良い

 15分ほどで野間神社に到着した。ここからはまっすぐ海岸に向けて下りていくコースと、少し北の太郎木場に向かって下りていくコースがあるが、野間池に向かうことを考えると太郎木場に向かう方が2km近くショートカットになりそう。標識が小さく、しかも標識の位置には踏み跡がまったくないことから不安になるが、一か八かで太郎木場に向かった。

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野間神社に到着

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太郎木場に向かう山道はかなり荒れ気味

 標識から地図を見ながら進むが、100mほどは山道が見つからず、藪漕ぎに苦しんだが、少し先の登り斜面でようやく踏み跡がついているのを見つけた。ここから先のコースは残っていた。しかし、あまり人が通っていないようで、ときおり倒木が道をふさいだり、落石でコースが消失したところがある。しかし、それほど長い距離でなく、14:00には集落にたどり着いて、ここから先は舗装路に変わった。

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時間に余裕があればこの道は選択しないほうが良い

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藪漕ぎあり

 舗装路は緩い下りで歩きやすい。道端から人の声が聞こえたので、転落した人が助けを求めているかと思ってのぞいたら、ラジオが置かれていた。その先にも同じ形式のラジオが道端に置かれていた。人はいない。ひょっとしたら動物避けのラジオなのだろうかと思いながら先を急ぎ、2kmほどの道を20分ほどで歩き、14:20に半島の西海岸を走る国道226号線まで出ることができた。ここからは2kmほどで野間池に着く。バスの時間は大丈夫と安心して、国道に出たところで小休止をした。

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舗装路に出てからは快適

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道ばたに置かれたラジオから声が流れている

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国道226号線に復帰

 国道226号線を先に進むと野間池が先に見えてきた。青い池のような港だ。下り坂なのでかなり速いペースで進むことができる。14:45には野間池に到着し、笠沙恵比寿、屏風岩を見物して、15:20のバスで福岡への帰途についた。

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道路の先に野間池が見えてきた

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野間池の沖合に浮かぶ米島

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野間池のシンボルの屏風岩

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2020年11月29日 九州自然歩道 67日目 鹿児島県南さつま市加世田~南さつま市野間池 曇り 気温14/8℃ 距離27.6km 行動時間7:21 42517歩

復路交通: 野間池15:20鹿児島交通バス-加世田16:37/17:10鹿児島交通バス-鹿児島中央18:37/19:51九州新幹線みずほ614号-博多21:07