九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 92日目 春の広葉樹は山をパステルのように染める 宮崎県小林市野尻町紙屋西町~東諸県郡綾町照葉大吊橋 2021年3月27日

 今回の九州自然歩道トレッキングは宮崎県小林市からの再開。宮崎県は福岡からの交通がなかなか困難な場所で、主幹線のはずの日豊本線で九州の東海岸に沿って行くと7時間近くかかる。西海岸を九州新幹線の終点の鹿児島まで南下した後、日豊本線で宮崎まで北上すると、距離は長くなるものの、最も早く到着できることが多い。しかし、今回のトレッキング再開地点の小林市は、吉都線というかなりマイナーな路線にあるため、便数が少なく、乗り換えのための待ち時間がかなり長くなる。さらにそこからバスに乗らなければならない野尻町となると、乗り換え案内を駆使して調べたが、土曜日の最速乗り換えで15:57到着という結果しか出てこない。帰りもそんな具合では、おそらく土日を使って10数キロほどしか歩けない。

 乗り換え案内の検索結果をよく吟味したところ、小林駅から宮崎空港をつなぐバス路線があり、これは宮崎駅を通らないものの、宮崎市内の繁華街を通過する。しかも本数が1日6便程度ある。これを利用する方法を調べてみると、12:37に野尻町紙屋西町に到着できそうなプランを作ることができた。毎週毎週こんなことばかりしていたら、だんだん賢くなってきた。その努力の使い方が悪いのではないかと批判を受けてしまいそうであるが。

 ということで、前置きが長くなってしまったが、博多6:45発の九州新幹線に乗車して、鹿児島中央駅できりしま6号に乗り換えて、右手の車窓に錦江湾を見ながら進む。今日は桜島からものすごい噴煙が東に向かってたなびいている。1月ぐらいに歩いた大隅の山々には大量の火山灰が降り注いでいるのではないかと気になる。

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博多からは九州新幹線

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鹿児島中央駅からは特急きりしまに乗り換え

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今日の桜島はものすごい噴煙を噴き出している

 宮崎駅には定刻どおり10:57に到着した。宮崎の空は青い。ここから西に500mほど歩いたところの宮崎ナナイロ前バス停で時刻表を確認する。土曜日も11:51発の小林駅行のバスがあることを確認して、まずは一安心。軽く昼食を摂り、夕食用の食材を購入する。

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宮崎駅に到着

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宮崎の空は抜けるように青い

 バスは12分遅れでやってきた。ひょっとしたら乗り過ごしたかと思うぐらいだったが、バス停で待っていた5人ぐらいの方々は何事もなかったかのように乗車する。ここは何事ものんびりの宮崎だった。12分ぐらいで慌てることはなかった。

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宮崎駅からしばらく歩いたナナイロ前でバスを待つ

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今回は軽量のザックを使用

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バスに乗り込む

 バスを待ちながらもう一つ気になったのが、天気予報。現在の宮崎は、雲一つ見えない真っ青な空が広がっているのだが、週末の太平洋側は荒れた天気になりそうですと、出かける前に天気予報で言っていたのが気になる。アプリで天気予報を見てみると、宮崎市の日曜日は100%の雨。夜8時頃から降り出して、夜中の3時からは100%雨が降りっぱなし。先週末に引き続き、またもや大雨に襲われるのかと、いやな予感がする。予報よ、外れてくれと祈りながらバスに乗り込んだ。

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こんなに空が青いのに

 紙屋西町には予定よりも20分遅れの12:56に到着。宮崎ではこれぐらいは気にしない。バス停からは紙屋の集落を通って13:09に前回、九州自然歩道から離れた西内山集落の分岐点に到着した。

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紙屋西町でバスを降りる

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のんびりとした集落の中を進む

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この先が前回離脱した分岐点

 傾いた標識を見ながら、九州自然歩道を歩き始める。小学校の跡地のような広い集会所の横を通り、山の中に進んでいく。紙屋の町が下の方に見えてきた。

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この標識が目印

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立派な集会所は学校の跡か?

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山道を登ると町が下に見えてきた

 13:25に峠を通過するところで、地図では三叉路なのだが、実際には五叉路になっているところがあり、地図を眺めてどちらに進むべきかと悩んでいると、ちょうどそこに白い軽トラが通りかかった。運転席の男性が窓を開けて、九州自然歩道はこっちの道だと、自分が思っていたのと90度違う道を指さす。その先に三叉路があって、標識を左折だよと教えてくれた。車を降りてきて、もうヒルが出るから靴下の中にズボンの裾を入れろという。その後で上から忌避剤をスプレーしてくれた。ヒルは見たことがないが、先月、大隅のうわば高原で佐賀県のもうすぐ九州自然歩道完歩氏が7カ所もヒルに吸い付かれたという話を聞いてから、恐ろしくて仕方がない。イノシシ狩りをするというこの男性から、ヒルの出る現場での正しい靴下の履き方を教わってよかった。

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ここが地図にはない五叉路

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男性からズボンの裾を靴下の中に入れるように指示された

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正しい道はこっちだった

 峠からは舗装路を下り、3分ほどで三叉路に出た。男性の言うとおり九州自然歩道の標識があり、左折して太尾方面に向かう。このルートは九州自然歩道ポータルサイトの地図とは異なるが、標識に従うこととする。

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舗装路をのんびりと下る

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九州自然歩道の標識が左折を示す

 左折後は舗装されていないが、歩きやすい山道を進む。山を越えたところには伐採された斜面が広がる。伐採地を通り過ぎ、ヘアピンカーブを一つ曲がると舗装路に出た。

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こんな山道もいい

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伐採地のヘアピンカーブを曲がる

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丘を越えたら舗装路に出た

 13:41に太尾集落を通過して、舗装路をさらに北に進む。地図ではしばらく舗装路を示す二重線になっているため、油断してそのまま進んでいると、稜線に進むはずがいつまでも麓を進んでいる。GPSを見てみると分岐点をすでに通り過ぎ、400mほど間違えて進んでしまっている。

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太尾集落を進む

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こんな道も快適

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なんということのない里山の風景なのだが、心が和む

 進んで来た道を引き返し、13:58に標識を見つけて九州自然歩道に復帰。ここからは非舗装の山道なのだが、地図ではこちらが舗装路として表示されている。ここから先の山道は、勾配はあるが広葉樹に囲まれた心地のよい道。踏み跡もしっかり付いている。整備状況は良好で、ときどき倒木が現れる程度。途中の山中に標識が出てくる。終盤は踏み跡がなくなるが、大きな問題はなく正しいコースをとることができた。

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二重線の舗装路を進んでいたつもりだったのだが間違っていた

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400mほど引き返し標識の見落としに気がついた

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正しい道は右だった

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この山道が理想的

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標識も出てきた

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少し荒れた部分もあるが許容範囲

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ほどなく舗装路に出た

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標識の方向は気にしない方が良い

 14:37に山越えが終わり、岩前集落の県道401号線の舗装路に出る。標識はあまり関係ない方向を向いているが気にしない。先行者の10年前のブログではここで徒渉するとなっており、昨年のヤマトホの放映でも靴を脱いで膝まで川の中に使って渡っている場面が流れたような記憶がある。ところが、九州自然歩道ポータルサイトの地図では200mほど浦の名川を上流に行ったところに橋があり、そこを渡ることができそうだ。とりあえず県道401号線をしばらく西に進むと橋が見えてきた。通行止めにもなっていない。あっさりと徒渉を回避して、14:39に岩前橋を無事に渡ることができた。

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このあたりが徒渉地点かと覗いてみる

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なんなく橋を渡ることができた

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本日の水量はそれほど多くない

 橋を渡った先の岩前集落は、人は住んでいないようだが、圃場がきれいに整備されており、イノシシ避けの柵が設置されている。道路周辺の草刈りもしっかり行われていて、満開の桜が美しい。春の日差しも優しく、桃源郷のようだ。行ったことはないが。桜の木の下でコーヒーブレイクにすることにした。

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岩前集落の圃場はしっかり整備されていた

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桃源郷のよう

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コーヒーブレイク

 ほうじ茶ラテで小休止の後、14:55に行動再開。14:57に広沢集落と綾方面に分かれる分岐が出てきた。ここは右折して綾方面に向かう。ここから先は広沢湖に流入する浦の名川に沿った快適な舗装路。交通量ほとんどない。圃場にレンゲらしい植物が植えてあるのが見える。鳥の声しか聞こえない静かな山間を歩く。

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分岐を右の綾方面に進む

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道路沿いの圃場にはレンゲが咲いていた

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この景色はたまりません

 道路の右にはときおりダム湖が見えてきた。上流に近いところは褐色の濁りが見える。土砂が流入しているのだろうか。下流に進むにつれて水の色が緑色に変わってきた。ダム湖を囲む山林には広葉樹が多く、山のところどころがパステルで塗ったような淡い色に染まっている。

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こんな風景ならばいつまでも歩いていたい

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まだまだ続く

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 九州自然歩道ポータルの地図ではこのあたりに1カ所、舗装路を外れてダム湖のすぐそばを歩く道があるよう。気をつけて歩いていると、ガードレールに赤テープが巻いてある箇所がある。ダム湖に向かって行く木にも赤テープが巻いてあるので、とりあえずガードレールを乗り越えて見に行ってみたが、そのままダム湖に向かって進んでいる。道はダム湖に水没しているのかもしれない。墓穴を掘る前に引き返した。

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赤テープが九州自然歩道の入口かと覗く

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湖に真っ直ぐ進んでいるので引き返す

 その後も、ダム湖の眺望を楽しみながらのんびりと舗装路を進む。長さのあるダム湖で、もう4km近くダム湖に沿って歩いている。ときどき崩落箇所の補修をしているが、徒歩での通行には問題はない。そうこうするうちに15:55に広沢橋に到着した。ここは広沢ダムがまっすぐ見える地点。九州自然歩道はダム体までの1kmほどの道は進まず、ここから左折して山中を真北に向かうようになっている。まずは橋のたもとで喉の渇きを癒やすために小休止。

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こういう風景がたまらない

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ときどき工事箇所はある

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広沢橋から正面にダム体が見える

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広沢橋を渡って小休止

 小休止の後、林道に進み、地図の指示する位置から直登を開始した。下の方にはかすかに踏み跡が見えるが、上の方には見当たらず、どうコースをとったらよいか分からない。信じられないような傾斜で、地図をよく見ると200mほどの標高差を一直線に進むかのようなコースとなっている。がんばって50mほども登ったところで、コンクリートを吹き付けた法面に出た。これ以上進むのは危険。法面を横断して反対側に登り口がないかと探すが、シカぐらいしか登れそうにない斜面しかない。やむなく16:27に直登コースから撤退して林道を迂回することにした。

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林道を進む

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ここを登れとGPSが指す

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コンクリートを吹き付けた法面に出たが、ここは登れません

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頑張ってここまで来たが、危険すぎ

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法面の反対側の斜面も絶望的

 深い谷間で薄暗くなってきた林道を進んでいると、16:31に九州自然歩道の標識と、想定外の登りコースの入り口が見つかった。コースはこちらに付け替えられたようだ。

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諦めて林道を迂回しようと進むと標識があらわれた

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こんな山道がつけてある

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やや荒れ気味だが文句はない

 倒木は多いが、きちんとした山道がつながっている。なにやら気になる看板も見られるが、無事に200mを登り終え、17:03に東西からの林道の合流点となる尾根の部分に到達した。ここからは舗装路となり、100mほど西に進み、17:09にヘアピンカーブを道なりに進む。直進方向も遊歩道となっているようだった。

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踏み跡も確か

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不吉な表示は気になるが

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舗装路の峠にたどりつく

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舗装路を進む

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直進路もあるが、ヘアピンカーブを道なりに進む

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そろそろ下り道が現れるはず

 地図ではそろそろ舗装路から急な下りの山道が始まるところとなる。とりつきがなかなか分からなかったが、17:16に下りの山道の入り口を見つけて、真っ直ぐに降下をはじめた。しばらくは木に赤テープが巻かれ、踏み跡も着いていたが、傾斜が急になるにつれて山道は消失した。倒木も多い。下草にシダが増えたあたりから方向が分からなくなり、残り100mほどの標高差を真っ直ぐ降りた。GPSで確認するとコースから30°近くズレているが、正しいと思われる方向を見ても状況に大差はない。強引に藪漕ぎして進み、砂防ダムに出た。最後は3つの砂防ダムを乗り越えて、17:48に舗装路に出ることができた。近くに遊歩道の標識があったが、これは九州自然歩道とは異なる遊歩道のようだった。

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ここから下り道にとりつく

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最初は踏み跡が明瞭

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倒木を越え越え進むと踏み跡は消失

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こうなったら真っ直ぐ下るのみ

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砂防ダムが出てきた

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砂防ダムを3つ乗り越える

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舗装路にたどり着く

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この遊歩道は九州自然歩道とは別のもののよう

 ここからしばらく歩くと広い駐車場が現れ、照葉大吊橋の標識があらわれた。18:16に照葉大吊橋に到着したが、17:00で営業は終了し、吊り橋を見ることはできなかった。明日は8:30に吊り橋の営業開始。日も落ちて暗くなってきたため、ここで行動を終えることにした。今日は天気が良く、ところどころ悪路もあったが、広葉樹の美しい山を歩くことができたなと、満足な一日だった。

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広い駐車場が現れる

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国定公園の立派な石柱が

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大吊橋の表示が現れた

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吊り橋に着いたときにはすでに営業終了後

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晩ご飯はパスタとビーフシチューにサラダ

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2021年3月27日 九州自然歩道 92日目 宮崎県小林市野尻町紙屋西町~東諸県郡綾町照葉大吊橋 晴れ 21/16℃ 行動時間5:21 15.0km 31083歩 

往路交通 西新6:08福岡市営地下鉄-博多6:21/6:45九州新幹線つばめ309号-鹿児島中央8:33/8:49日豊本線きりしま6号-宮崎10:57/宮崎ナナイロ前11:51宮崎交通バス-紙屋西町12:56