今週の九州自然歩道トレッキングも、金曜日の夜に前泊した宮崎県日之影町の日之影温泉駅TR列車の宿からのスタート。5:15に起床して、コーヒーを飲んでから、小雨の中を6:00に行動開始。200mほど進んでから、コーヒーカップを洗面台に置き忘れたのに気がついて走って取りに行ってきた。まったく、朝は頭がボーッとしている。
気を取り直して県道6号日之影宇目線を上って青雲橋に向かう。トンネルを出てトンネルに入っていく高千穂線の鉄橋をくぐる。2005年に台風の影響を受けて廃線になってしまった高千穂鉄道だが、まったくすごいところを走っていた鉄道だ。いまさら後悔しても始まらないが、自分が九州に来たときには、まだ現役で走っていたのに、乗っていないのが残念無念。高千穂線と同様に、昨年、人吉辺りを歩いていたときに乗る予定だった絶景で知られる肥薩線の八代-吉松間も、直前の水害による被災のために乗っていない。いつでも乗れると思い込んでいたからだ。テツの諸兄からしたら、なんと馬鹿なことをと怒られてしまいそうだ。自分の周囲には鉄分の多い人間がいなかったのだ。テツの方から急いでこれだけは乗っておけとアドバイスを頂いたら、今後はなるべく素直に従っておこうと思う。
青雲橋には6:43に到着。橋のたもとには道の駅があるが、まだ開店前。ここからは、しばらく交通量の多い国道218号線の歩道を歩く。
7:17に波瀬集落まで来たところで雨が強くなってきた。バス停の屋根の下で雨具の上のみ装着して、ふたたび歩き始めた。
7:27に国道沿いのファミリーマートに立ち寄り、朝食用のサンドイッチと昼食用のおにぎりを購入。店の前にザックを下ろして、カフェラテとサンドイッチの朝食とした。
7:43に行動を再開し、100mほど先から国道218号線から右折して上野峠に向かう。しばらくは集落の中の舗装路を歩き、平底、一の水を通過する。
8:10に上野峠と七折鍾乳洞との分岐に着いた。ここからは人家のない林道に入る。峠越えには悪路があるとの情報があり、また雨も強くなってきたので、ここで雨具のズボンも装着。靴下にはヒルの忌避剤も丁寧に塗布した。
傾斜の急な舗装林道を上り始めた。すぐに動物避けの柵が現れたが、ここを通過してさらに勾配の強い林道を上る。途中から舗装路から非舗装路に変わるころには、標高は500mほどだったが、雲の中に入ったようで、周りの視界は悪くなる。
8:51には車の轍の付いた林道は終点となり、ここからは細い徒歩道となる。しだいに踏み跡は不鮮明となり、油断するとずり落ちてしまいそうなガレ場を500mほど歩いた。15分ほど歩いたところで再び林道が現れ、9:10に上野峠の九州自然歩道の案内板に到着した。
峠から先は歩きやすい林道だった。しばらく林道を下ると、下の方に集落が見えてきた。9:50に自動車の通行のある舗装路との交差を横断し、さらに圃場の中の道を進んで、10:00に野方野集落に到着した。このあたりで雨が強くなり、道路沿いの尾の上大師堂でしばらく雨宿りした。太師堂の小屋の中には四国八十八カ所の幟が置いてある。
10:13に行動を再開し、すぐに高千穂と天岩戸(あまのいわと)との分岐に到着した。ここから天岩戸に向かって右折したところで、ちょうど男性たちが捕獲したイノシシを処理しているところに出くわした。許可をもらって作業を見学させてもらった。今朝、罠で捕獲したばかりの個体だとのこと。4人の男性が皮を剥ぎ、内臓を取り出し、肉を小分けにしている。手慣れた様子だった。今日はこれを焼き肉にするとのこと。美味しそうだった。
野方野から舗装路を北に進む。10:31に立石の交差点を左折。坂を下った先の亀山城橋で岩戸川を越えた。橋の上から下に流れる川が見えないほど深く鋭角なV字谷だ。岩戸川の上流部分には天の岩戸がある。
10:47にこの先の大野原交差点で県道と合流。交差点には農産物の直売所があったが、これといって気になる商品は見つからなかった。ここからは県道を北に進む。右手に「日向の黒馬」のコマーシャルで知られる神楽酒造。さらに進むと天岩戸交差点に到着。交差点の正面には交番があったが、ここも神社風。
11:09に天岩戸神社の鳥居前に到着した。雨がかなり強くなってきた。今日はちらほらと参拝客がいる程度。まずは西本宮に参拝。掲示を見ると、11:30から天岩戸のご神体を遙拝できるとのこと。しばらく集合地点で待っていると、若い神職の方が来て神社の後方の遙拝所に案内してくれた。ご神体の天岩戸は岩戸川を挟んだ向こう岸。千年以上前は洞窟だったらしいが、その後に風化が進み、崩れているとのこと。一帯は禁足地で、直接は見えないが、雰囲気は分かった。写真は不可。
天岩戸を遙拝した後は、天岩戸に隠れてしまった天照大神を表に出すために神々が合議を行ったとされる天安河原(あまのやすがわら)まで行ってみることにした。西本宮から500mほど上流にある。西本宮の境内からいったん舗装路に出て、天安河原の看板から舗装路を川べりまで下りていく。岩戸川の河原に整備されたコンクリート路を上流に進み、切り立った崖を左に曲がるとポッカリと口を開けた洞穴が目の前に現れた。中には鳥居と小さな祠が見える。洞窟の中には小さなケルンが多数作られている。なんとなく効き目がありそうなので、自分もケルンの一つに石を置いてみようと、河原で小石を探した。ところが、みんな川から石を探すからだろう。手の届くようなところには石がない。やむなく飛び石伝いに上流に進み、川の中に手を突っ込んで、ようやく一つだけ石を手に入れた。鳥居の近くのケルンのうえに石を置き、願をかけておいた。
12:00には天安河原から引き返し、12:11に参道の小洒落たカフェに席を取り、ランチとした。ベランダにはペチュニアのハンギングがセンスよくぶら下げてある。昼食には牛肉麺を頂き、しばらく休憩した。
雨はなかなか弱くならない。しかたなくびしょ濡れの雨具を再び装着し、12:43に折り返しの道を歩き始めた。
天岩戸神社の表参道を歩いていると、面白い古本屋を見つけた。無人の古本屋で、棚の本にはコメントが書いてあるカードが挟んである。気に入ったらガチャガチャで支払えと。そこまでは普通なのだが、よかったら自分の本を持ってきて、コメントを書いたカードを挟んで棚に入れておけと。こうすれば、人から人に気に入った本が手渡しでき、店主は場所代としてガチャガチャを購入してもらうということになる。注文の多い料理店のようだが、自分も気に入った本を勝手に人に渡す性格なので、こんなわがままな本屋が近くにあったら役に立つ。
本屋を出て天の岩戸橋を渡り、天岩戸東本宮にも参拝。こちらは神職の方の説明では、天照大神が岩戸を出て最初に居を構えた地とのこと。社殿は質素なのだが、境内にはピンと張り詰めた雰囲気が漂う。
野方野から歩いてきた舗装路を戻る。13:45には、あまりに雨が強いため、途中の立石集落の大師堂で雨宿りをさせて頂いた。このあたりは集落ごとに太師堂があり、いずれも室内がきれいに清掃されている。
小雨になったのを見計らって、14:20に行動再開。高千穂のあたりでは田植えの時期は標準的なようで、まだ田んぼに苗は植えられていない。雨の中で、棚田の緑が映えている。
野方野集落を通過し、14:26に県道204号線に合流した。ここからは岩戸川の南岸を高千穂に向かって歩く。途中で高千穂鉄道の鉄橋が見えてきた。美しい橋だ。
15:15に県道204号線から北に曲がり、雲海橋を渡る。川の水面までは100m以上ある。本当に深い谷間だ。こんなところまで太古の人がどうやって到達したのか、不思議でならない。
15:50に木立に囲まれた高千穂ユースホステルに到着した。ここで本日は行動終了。親切なホストの女性に迎えられ、すぐにお風呂に入って、雨で冷えた身体を温めることにした。
2021年5月15日 九州自然歩道 104日目 宮崎県西臼杵郡日之影町 日之影温泉駅~天岩戸~西臼杵郡高千穂町 高千穂ユースホステル 雨 22/18℃ 行動時間9:57 行動距離27.0km 41594歩