今回の九州自然歩道トレッキングは祖母山の登山口にあたる竹田市神原集落からの再開。同地の民宿に前泊した。
このあたりのいきさつは、前回の107日目のエントリーに書いておいたが、祖母山からの下山途中に転倒して足首を痛め、同日は下山口近くの民宿に宿泊した。この民宿は、驚くほど料理のクオリティが高く、また翌朝はご主人が痛めた足を気遣って豊後竹田駅まで自動車で送ってくれた。
この九州自然歩道トレッキングのルールは、公式ルートをもれなく踏破すること、再開地点までは公共交通機関を利用すること、離脱地点からも公共交通機関を利用することとしているため、ルール違反になってしまうが今回は勘弁して頂きたい。どうしてもこの神原の民宿に再び泊まりたかったからだ。ついでに言うと、豊後竹田駅からは竹田市の運営するオンデマンドのバスがあるので、一応は公共交通機関が利用可能なルートである。ただし、日曜の運行がないので、休日に祖母山に登ろうと考える登山客にはいささか利用しづらい運行条件である。竹田市にはその点は一考して頂きたいところ。
どうしても前泊したかった民宿清流の紹介もしておこう。外見はただの民家を改造し、となりに鉱泉の山小屋風の風呂を設置したどこにでもあるような民宿。驚いたのはその料理。最初にテーブルにセットされたのはお造りと小鉢が数点のちょっとおしゃれな和食会席かと油断させておいて、そこから3点ほどフレンチテイストの皿でグイグイ攻めてくる。
おもなものだけ解説するが、お造りは夏のカンパチ(当地の養殖カンパチは夏が旬)。手作り豆腐はオリーブオイルと天然塩で食べさせる。エノハ(ヤマメ)の唐揚げは骨まで食べられる火の通し方で。口直しに出てきたのが味噌とチーズのテリーヌで、発酵×発酵の強烈なパンチ。最後は豊後牛をミディアムで焼いて、ジャポネソース(たぶん)で。付け合わせのトマトの糖度が10度!近くて、これもビックリ。デザートにはシャーベットにモモと焼きたてのビスケットを添えて。
ここ神原は、最初の店舗まで自動車で30分近くかかる、ユネスコ・エコパークに認定された秘境。こんなところで食べられる料理ではないんですけど、と思いながら、今回も料理を堪能した。
シェフはフランスで料理修業をされたまだ若手。美味しいと褒めると喜んでくれるが、お世辞抜きに美味しい。料理の技術もアイディアも優れているが、素材もまた素晴らしい。
客室はほんの数室で、知られてしまうとすぐに予約の取れない民宿になってしまいそうで、あまりみんなに知らせたくはないが、この民宿にはまた、晴れた日に祖母山に登るために再訪したいと思っている。(民宿清流 0974-67-2612)
さて、トレッキング再開の本日は民宿でガッツリと朝食を頂いて、7:50に行動開始。ご主人が痛めた足を心配して、玄関の外までお見送りに来てくれた。
まずは県道8号線竹田五ヶ瀬線を竹田の市街地に向かって進む。雨はパラつく程度。道路の右手には清流が流れる。川の音を聞きながら心地よく歩く。足首の状態は、平地を歩く程度ならば問題はない。
8:15に神原渓谷大橋の下をくぐる。川の水の色は透き通るよう。嫗岳(うばたけ)郵便局を通過。その先にはコンクリートの橋が見えてきた。橋桁は低い。増水時には水面下になる沈下橋かもしれない。
9:02に門田の三叉路を右折した。この辺りで雨が強く降り出したため、レインコートを着用。この辺りの川では火山岩が冷却中にできる六角形の柱状節理が見られる。川幅が狭く、水の勢いは強い。
9:10に出会橋から県道8号線を離れて、対岸の非舗装路を進む。こちらに進む理由はすぐに分かった。明正井路という大正時代に作られた石でできた水道橋をくぐることができるからだ。長さは90m。美しいアーチの水道橋である。下を流れる川の色は深い緑。
さらに足元の悪い道を進むと竹田湧水群の最初の湧水である塩井湧水に9:27に着いた。さっそくザックからカップを取り出しテイスティング。美味しいような気がする。周囲は水田。宮崎に比べると、田植えの時期はかなり遅い。
集落の中を進み、さらに地図に従って進むが、10:00に九州自然歩道は圃場で行き止まりとなっていた。害獣避けの柵があるが、その先の道は消失している。やむなく沈下橋を渡り、県道8号線に迂回した。
県道を進み、10:27に牧の城集落の長瀬橋で九州自然歩道に復帰。県道8号線は長瀬橋を渡って左岸に進むが、九州自然歩道は右岸の山道に入る。
10:51に入田(にゅうた)橋を渡り、県道8号線に復帰。三叉路の商店に自販機があったため、飲料水を購入して小休止。ここで、大雨に遭遇。降っては弱くなり、降っては弱くなると繰り返すため、なかなか出発するタイミングが図れない。ようやく11:20に行動を再開した。
雨が降る中を進むと、道路脇に泉水湧水があり、数台の自動車が止まっている。大きなポリタンクで水を汲んでいる人がいるため、ここでもカップを取り出してテイスティング。水辺の草を摘んでいる人がいたので声をかけると、イタリアンの出張シェフが水汲みに来たついでにクレソンを摘んでいるとのこと。竹田の湧水群ではここが一番美味いと推薦してくれた。ついでに、神原のフレンチのことを尋ねると、業界でも有名とのこと。話しているうちに、また雨が強くなってきた。しばらく湧水の木の下で雨が弱くなるのを待つことにした。
雨宿りの後、しばらく歩を進めて12:00に河宇田湧水に到着。ここには広い駐車場があり、水くみの方たちで混み合っている。隣には中華蕎麦の店があり、こちらも行列。あまりに人が多いので、カップ1杯のテイスティングの後、歩き始めるとその先には中島公園河川プール。川をせき止めた楽しそうなプール。ここも多くの子供連れで賑わっている。
県道8号線をさらに進み、12:12に入田三叉路に到着。地図ではここで九州自然歩道は山道に入るが、この先は廃道化との事前の情報がある。今回は無理をせずに舗装路に迂回。12:27に2つのトンネルの間の山道に右折して山道に進む。
右手から九州自然歩道が合流するはずであるが、標識は見当たらず、先に進む。九州自然歩道の標識は見つからなかったが、道ばたに次の目標地点の小富士山登山口の手作りの標識を見つけ、畑の中の道に進む。道はだんだん心細い状態になり、最後は久しぶりの藪漕ぎ。草と蜘蛛の巣をかき分けて進み、杉の植林の中の道に出る。
しばらく進むと、墓陵に続く石塔が現れ、100mほどコースを外れて山に登り、13:15に竹田の藩主を長く務めた中川家の墓陵に到着した。竹田市街を眼下に望む、といいたいところだが、樹木が勢いよく伸び、眺望は期待の半分ほど。手を合わせてから先に進む。
山中の道をしばらく下る。雨がまた強くなってきた。片が瀬集落の公民館の軒先を借りて、13:47から民宿で作ってもらった弁当の昼食とした。ちょうど雨脚が強くなるタイミングで、よい雨宿りとなった。
14:19から行動再開。両側を畑に囲まれた直線路を抜け、14:30に鞍が田尾集落で左折。カーブを曲がりながら高度を下げ、14:51に滑瀬橋で国道502号線を越えた。
トンネルを抜けると竹田の町に入る。トンネルの手前に九州自然歩道の上り口があったはずだが、どうもその辺りの法面はコンクリートで固められているよう。
トンネルを抜けて、岡城公園への入り口を曲がり、素掘りのトンネルを抜けると、15:11に岡城の石垣が正面に見えた。
城址は明日の楽しみに取っておき、稲葉川に抜け、川に沿って進んだ。しばらく川を見ながら歩いて16:00に豊後竹田駅近くの竹田温泉で行動終了。
九州自然歩道108日目 2021年7月23日 大分県竹田市神原~竹田市豊後竹田駅 雨 28/22℃ 行動距離20.8km 行動時間8:14 35145歩
往路:西新9:16福岡市営地下鉄-博多9:19/博多バスターミナル9:41高速バスとよのくに号-大分駅要町13:37(1時間半遅れ)/大分13:47-豊後竹田14:59/送迎自動車-神原(コミュニティバスあり)