九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 108日目 神原渓谷の清流を眺めながら竹田の町に 大分県竹田市神原~竹田市豊後竹田駅 2021年7月23日

 今回の九州自然歩道トレッキングは祖母山の登山口にあたる竹田市神原集落からの再開。同地の民宿に前泊した。

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今回もお世話になった民宿清流

 このあたりのいきさつは、前回の107日目のエントリーに書いておいたが、祖母山からの下山途中に転倒して足首を痛め、同日は下山口近くの民宿に宿泊した。この民宿は、驚くほど料理のクオリティが高く、また翌朝はご主人が痛めた足を気遣って豊後竹田駅まで自動車で送ってくれた。

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まずはこんな夕食がセットされる

 この九州自然歩道トレッキングのルールは、公式ルートをもれなく踏破すること、再開地点までは公共交通機関を利用すること、離脱地点からも公共交通機関を利用することとしているため、ルール違反になってしまうが今回は勘弁して頂きたい。どうしてもこの神原の民宿に再び泊まりたかったからだ。ついでに言うと、豊後竹田駅からは竹田市の運営するオンデマンドのバスがあるので、一応は公共交通機関が利用可能なルートである。ただし、日曜の運行がないので、休日に祖母山に登ろうと考える登山客にはいささか利用しづらい運行条件である。竹田市にはその点は一考して頂きたいところ。

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骨まで食べられるエノハの唐揚げ

 どうしても前泊したかった民宿清流の紹介もしておこう。外見はただの民家を改造し、となりに鉱泉の山小屋風の風呂を設置したどこにでもあるような民宿。驚いたのはその料理。最初にテーブルにセットされたのはお造りと小鉢が数点のちょっとおしゃれな和食会席かと油断させておいて、そこから3点ほどフレンチテイストの皿でグイグイ攻めてくる。

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味噌とチーズのテリーヌ

 おもなものだけ解説するが、お造りは夏のカンパチ(当地の養殖カンパチは夏が旬)。手作り豆腐はオリーブオイルと天然塩で食べさせる。エノハ(ヤマメ)の唐揚げは骨まで食べられる火の通し方で。口直しに出てきたのが味噌とチーズのテリーヌで、発酵×発酵の強烈なパンチ。最後は豊後牛をミディアムで焼いて、ジャポネソース(たぶん)で。付け合わせのトマトの糖度が10度!近くて、これもビックリ。デザートにはシャーベットにモモと焼きたてのビスケットを添えて。

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豊後牛のステーキ 付け合わせの野菜のクオリティも高い

 ここ神原は、最初の店舗まで自動車で30分近くかかる、ユネスコエコパークに認定された秘境。こんなところで食べられる料理ではないんですけど、と思いながら、今回も料理を堪能した。

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デザートのシャーベットにはモモと焼きたてのビスケットが添えられる

 シェフはフランスで料理修業をされたまだ若手。美味しいと褒めると喜んでくれるが、お世辞抜きに美味しい。料理の技術もアイディアも優れているが、素材もまた素晴らしい。

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民宿の前の川も美しい

 客室はほんの数室で、知られてしまうとすぐに予約の取れない民宿になってしまいそうで、あまりみんなに知らせたくはないが、この民宿にはまた、晴れた日に祖母山に登るために再訪したいと思っている。(民宿清流 0974-67-2612)

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朝食のカボスの味噌汁!も意表を突かれて美味しい

 さて、トレッキング再開の本日は民宿でガッツリと朝食を頂いて、7:50に行動開始。ご主人が痛めた足を心配して、玄関の外までお見送りに来てくれた。

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手を振ってスタート

 まずは県道8号線竹田五ヶ瀬線を竹田の市街地に向かって進む。雨はパラつく程度。道路の右手には清流が流れる。川の音を聞きながら心地よく歩く。足首の状態は、平地を歩く程度ならば問題はない。

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県道8号線を進む

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清流の川の音を聞きながら進む

 8:15に神原渓谷大橋の下をくぐる。川の水の色は透き通るよう。嫗岳(うばたけ)郵便局を通過。その先にはコンクリートの橋が見えてきた。橋桁は低い。増水時には水面下になる沈下橋かもしれない。

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神原渓谷大橋の下をくぐる

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川の水は透き通る

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前方の橋は沈下橋

 9:02に門田の三叉路を右折した。この辺りで雨が強く降り出したため、レインコートを着用。この辺りの川では火山岩が冷却中にできる六角形の柱状節理が見られる。川幅が狭く、水の勢いは強い。

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柱状節理の見える川岸

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絵になる川の流れ

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 9:10に出会橋から県道8号線を離れて、対岸の非舗装路を進む。こちらに進む理由はすぐに分かった。明正井路という大正時代に作られた石でできた水道橋をくぐることができるからだ。長さは90m。美しいアーチの水道橋である。下を流れる川の色は深い緑。

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出合橋からは非舗装の道を進む

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石造りの水道橋が見えてくる

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深い緑色の川

 さらに足元の悪い道を進むと竹田湧水群の最初の湧水である塩井湧水に9:27に着いた。さっそくザックからカップを取り出しテイスティング。美味しいような気がする。周囲は水田。宮崎に比べると、田植えの時期はかなり遅い。

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さらに川沿いの道を進む

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塩井湧水

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ここで水を汲むことができる

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カップテイスティングしてみる

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周囲は美しい緑の水田

 集落の中を進み、さらに地図に従って進むが、10:00に九州自然歩道は圃場で行き止まりとなっていた。害獣避けの柵があるが、その先の道は消失している。やむなく沈下橋を渡り、県道8号線に迂回した。

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沈下橋を渡って右岸の県道に戻る

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この辺りにも柱状節理が見える

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県道沿いには花が多い

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 県道を進み、10:27に牧の城集落の長瀬橋で九州自然歩道に復帰。県道8号線は長瀬橋を渡って左岸に進むが、九州自然歩道は右岸の山道に入る。

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右岸の山道を進む

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 10:51に入田(にゅうた)橋を渡り、県道8号線に復帰。三叉路の商店に自販機があったため、飲料水を購入して小休止。ここで、大雨に遭遇。降っては弱くなり、降っては弱くなると繰り返すため、なかなか出発するタイミングが図れない。ようやく11:20に行動を再開した。

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入田橋を越えて左岸に戻る

 雨が降る中を進むと、道路脇に泉水湧水があり、数台の自動車が止まっている。大きなポリタンクで水を汲んでいる人がいるため、ここでもカップを取り出してテイスティング。水辺の草を摘んでいる人がいたので声をかけると、イタリアンの出張シェフが水汲みに来たついでにクレソンを摘んでいるとのこと。竹田の湧水群ではここが一番美味いと推薦してくれた。ついでに、神原のフレンチのことを尋ねると、業界でも有名とのこと。話しているうちに、また雨が強くなってきた。しばらく湧水の木の下で雨が弱くなるのを待つことにした。

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道路脇の泉水湧水にも車が集まる

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泉水湧水にはクレソンが生えている

 雨宿りの後、しばらく歩を進めて12:00に河宇田湧水に到着。ここには広い駐車場があり、水くみの方たちで混み合っている。隣には中華蕎麦の店があり、こちらも行列。あまりに人が多いので、カップ1杯のテイスティングの後、歩き始めるとその先には中島公園河川プール。川をせき止めた楽しそうなプール。ここも多くの子供連れで賑わっている。

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河宇田湧水は人で混み合う

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河宇田湧水の先にある中島公園河川プール

 県道8号線をさらに進み、12:12に入田三叉路に到着。地図ではここで九州自然歩道は山道に入るが、この先は廃道化との事前の情報がある。今回は無理をせずに舗装路に迂回。12:27に2つのトンネルの間の山道に右折して山道に進む。

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地図ではここから山道に入る

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2つめのトンネルの手前で山道に右折

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 右手から九州自然歩道が合流するはずであるが、標識は見当たらず、先に進む。九州自然歩道の標識は見つからなかったが、道ばたに次の目標地点の小富士山登山口の手作りの標識を見つけ、畑の中の道に進む。道はだんだん心細い状態になり、最後は久しぶりの藪漕ぎ。草と蜘蛛の巣をかき分けて進み、杉の植林の中の道に出る。

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九州自然歩道との合流地点は見つからず、手製の標識に従って進む

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だんだん怪しい状態になり

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最後は藪漕ぎ

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蜘蛛の巣にまみれて進む

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がまんして進むと山道が現れる

 しばらく進むと、墓陵に続く石塔が現れ、100mほどコースを外れて山に登り、13:15に竹田の藩主を長く務めた中川家の墓陵に到着した。竹田市街を眼下に望む、といいたいところだが、樹木が勢いよく伸び、眺望は期待の半分ほど。手を合わせてから先に進む。

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石塔が現れたら上に向かって進む

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中川家の墓標が建つ

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竹田の町を見守る位置にある

 山中の道をしばらく下る。雨がまた強くなってきた。片が瀬集落の公民館の軒先を借りて、13:47から民宿で作ってもらった弁当の昼食とした。ちょうど雨脚が強くなるタイミングで、よい雨宿りとなった。

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舗装された山道で山を下る

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公民館の軒先を借りて弁当を食べるうちに日が差してきた

 14:19から行動再開。両側を畑に囲まれた直線路を抜け、14:30に鞍が田尾集落で左折。カーブを曲がりながら高度を下げ、14:51に滑瀬橋で国道502号線を越えた。

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鞍が田尾集落に向かう直線路

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カーブの向こうに川が見える

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滑瀬橋を越える

 トンネルを抜けると竹田の町に入る。トンネルの手前に九州自然歩道の上り口があったはずだが、どうもその辺りの法面はコンクリートで固められているよう。

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かつてはトンネル手前の法面を上る道があったよう

 トンネルを抜けて、岡城公園への入り口を曲がり、素掘りのトンネルを抜けると、15:11に岡城の石垣が正面に見えた。

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素掘りのトンネルを抜ける

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城址に到着

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城壁を眺めて引き返す

 城址は明日の楽しみに取っておき、稲葉川に抜け、川に沿って進んだ。しばらく川を見ながら歩いて16:00に豊後竹田駅近くの竹田温泉で行動終了。

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稲葉川に架かる人道橋を渡る

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川沿いに町に向かう

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竹田温泉で行動終了

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九州自然歩道108日目 2021年7月23日 大分県竹田市神原~竹田市豊後竹田駅 雨 28/22℃ 行動距離20.8km 行動時間8:14 35145歩

往路:西新9:16福岡市営地下鉄-博多9:19/博多バスターミナル9:41高速バスとよのくに号-大分駅要町13:37(1時間半遅れ)/大分13:47-豊後竹田14:59/送迎自動車-神原(コミュニティバスあり)