九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 109日目 巨大な岡城址と巨大な磨崖仏 大分県竹田市豊後竹田駅~豊後大野市朝地駅 2021年7月24日

 本日はJR豊後竹田駅近くのホテルからのスタート。7:00にホテルのパンと目玉焼きの朝食を摂ってから、7:50に行動開始。レトロな造りを模した駅舎の裏手の切り立った崖からは滝が流れ落ちている。

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レトロな造りのJR豊後竹田駅

 落門の滝という、駅舎越しに見られる滝として有名である。絵になる風景ではあるが、山の上に川が流れているはずはないなと思って調べてみると、第3代藩主中川久清の時に城原井路という灌漑用水を崖の上に引いてきたもの。町全体を庭園のように見立てたのだろうなと感じる。

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駅舎の向こう側の崖には落門の滝

 駅前に流れる稲葉川に架かる竹田橋を渡って市街地に進む。中心地は無電柱化されていて、レトロな街並みが映える。落ち着いた光景だ。

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駅前の竹田橋を渡って中心街に進む

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無電柱化された落ち着いた街並み

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 町外れまで進み、岡城公園の入口から坂を上り、8:25に岡城址に到着。目の前には巨大な石垣が聳える。

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岡城公園の坂を上る

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上った先には城壁が聳える

 本日の一番乗りだった。シャッターを開けたばかりの料金所で入城料を支払う。このところの雨で石段が滑りやすくなっているから気を付けるようにと注意を促される。

 左手に崖を見ながらアスファルトの道を200mほど進み、ゆっくりとした石段を登る。たしかに石段は苔むしていて滑りやすい。しかもこの石段は300mほども続く。受付の前に竹の杖の貸し出しがあったのも頷ける。

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料金所から左手に崖を見ながら進む

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この石段を登って本丸方面に進む

 石段の上にある大手門の石垣を通って場内に入る。立派な石垣で、重機のない時代にこんな仕事ができたと言うことが驚異。大手門から左に進むと西の丸に続く石段が見えてくる。これは両側を丸い石で装飾を施した石段で、いかにも城主を迎える舞台にふさわしい。

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迫力のある大手門

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西の丸の入口にあたる石段

 西の丸の西の城壁の端まで進むと、竹田の町がはるか下に見える。西の丸からは中川民部屋敷跡、賄方跡、籾倉跡と順路に従って進む。

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西の丸の上から竹田の町を望む

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周囲には多数の遺構が残る

 大手門近くまでぐるりと廻って城址の南壁に出る。前を見ると絶壁に守られた本丸が、後ろを振り返ると石垣のカーブが美しい西の丸が見える。

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東を見れば本丸を守る岸壁

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西には西の丸の城壁が聳える

 東に進んで太鼓櫓門跡をくぐり、三の丸跡の広場に出る。ここには岡城を詠った「荒城の月」の作曲者の滝廉太郎銅像が建てられている。

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太鼓櫓門をくぐる

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三の丸の広場には滝廉太郎銅像

 二の丸跡から石段を登ると本丸の高台に出る。南側は大野川を見下ろす絶壁。不思議なことに南の方から荒城の月の最初の4小節のメロディがユーフォニアムのような低音で繰り返し聞こえてくる。この方向には竹田高校があることから、吹奏楽部の低音パートが特訓しているのかと思ったが、あまりに長く繰り返しが続く。

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本丸に到着

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本丸の南は大野川まで絶壁

 気を付けて断崖の下を見てみると、大野川に沿った国道502号線に自動車が通過すると1秒ほど後でメロディが聞こえてくる。路面を一定の速度で自動車が走ると音楽が流れるメロディロードのようだ。この場所で聞こえてくる音としてはピッタリ。謎が解けてスッキリした。

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国道502号線が音源だった

 1時間近く岡城址を巡った後、9:20に下原門から下城。なんとも巨大な城跡だった。料金所でもらったパンフレットを見ると、1185年に源義経を迎えるために緒方三郎惟栄が築城し、大友氏の一族の志賀氏が居城としていた1586年には薩摩の島津の大軍を3度にわたり撃退し、難攻不落の城と知られたとか。たしかに北を稲葉川、南を大野川に囲まれた325mの天神山に築かれたこの山城は堅固な砦そのもの。しかも、スケールが大きい。

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本丸を囲う城壁

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東端の下原門から下城

 志賀氏の後は中川氏が1871年廃藩置県で城を去るまで277年間居城とされていた。明治の廃城令で1974年に建造物が競売に掛けられ、石垣のみが残されたとか。その後、人の入らない城山として荒れ果てていた頃、滝廉太郎がモデルにして荒城の月を作曲している。

 ここに城があった頃は、さぞや素晴らしい光景だったろう。自分がジェフ・ベゾス氏のような大富豪だったら、西の丸と本丸と天守閣の再興のための資金をポンと寄付するのになと夢想しながら岡城址を後にした。

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下原門から舗装路を下る

 岡城址から東に向かって勾配の強い滑りやすいアスファルトの道を恐る恐る下る。稲葉川の流れる水音が聞こえてくると、その先には竹田発電所が見えてくる。現在、発電所は改修工事中で建物は撤去されている。

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現在改修中の竹田発電所

 9:46に坂を下り終えて目の前の開けた河原が柱状節理の露頭で知られる十川(そうがわ)。ここの柱状節理は、9万年前の阿蘇の大噴火の際に流れ出た溶岩が冷えて固まった際に、6角形や5角形の規則正しい割れ目(節理)を形成しながらできたもの。稲葉川はここで川幅を狭めて勢いよく東に流れ、南から流れ込む大野川と合流する。

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十川の柱状節理

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南からの大野川と合流する

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見事な節理が形成されている

 九州自然歩道は柱状節理の岩の上に架けられたコンクリートの橋の上を越えて十川集落に向かって進むが、この橋は増水時には水中に隠れてしまう沈下橋のよう。

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沈下橋を越えて十川集落に進む

 十川柱状節理を越えて濁淵川に沿って十川の集落を抜ける。以前はこの集落が岡城の城下町だったようだが、加藤清正の進言を受けて竹田の町を開いたとのこと。

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濁淵川を上流に進む

 十川、狭田の集落を過ぎ、狭田橋を渡ってしばらく山中の道を歩く。道端のカンナが燃えるように赤い。

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狭田橋を渡る

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しばらく山道を進む

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燃えるようなカンナは夏

 10:16に井の向集落でほどなく舗装路に出た。舗装路を進んで早尾原の集落に入ると、自販機を見つけて小休止。喉を潤してから進み、早尾原古墳の案内表示を見つけ、人家の間を通り抜けて現場まで行ってみたが、草木に覆われた盛土が見えただけ。

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しばらくのんびりとした山間を歩く

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期待して寄り道したものの

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藪と化していた

 さらに500mほど進むと、普光寺磨崖仏の表示を見つけ、寄り道をすることとした。300mほど九州自然歩道から下った先には普光寺の立派な山門が見えた。本堂にお参りを済ませて振り向くと、谷を隔てた向こう側の切り立った崖に日本最大級とされる10mを越えるほどの不動明王が彫られていた。右には大きな空洞(龕、がん)の中に舞台が設置され、さらにその右の龕には投込堂が建てられている。

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普光寺に向かって進む

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山門をくぐって普光寺に

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谷の向こう側に磨崖仏と2つの龕

 せっかくなので、谷を下りて見に行くことにした。磨崖仏を近くで見るとさらに大きく、覆い被さるようにも感じる。階段を上り、中央の舞台に上ると、龕の中には多数の仏像。右の龕の投込堂にもお参りすることができる。磨崖仏にお参りした後は、本堂に戻り、11:00にベンチに座って持参したいなり寿司の昼食とした。

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近づくとさらに大きな磨崖仏

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舞台から投込堂にも行ってみた

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龕の中には多数の仏像が設置されている

 普光寺で一休みした後、11:35に行動再開。舗装路を快適に進み、12:08に用作三叉路を左折して中九州横断道路の下のトンネルをくぐる。

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用作には棚田が続く

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中九州横断道路を越えると朝地の町

 坂の下には家並みが見えてきた。小賀川の向こう側には朝地の町が拡がる。12:30に目的地に設定していた朝地駅に到着して行動終了。駅に併設された観光案内所でアイスクリームを食べながら休憩させてもらう。冷房が効いて心地よい。

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小賀川を挟んだ向こう岸が中心地

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朝地駅で行動終了

 今日は朝地駅から西に一駅、豊肥本線に乗車して竹田の町に戻ることとした。

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豊肥本線で竹田のホテルに戻る

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九州自然歩道109日目 2021年7月24日 大分県竹田市豊後竹田駅豊後大野市朝地駅 曇り 29/22℃ 行動距離12.2km 行動時間4:40 20955歩