九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 36日目 雨の天草締めには温泉 熊本県上天草市白嶽~上天草市松島 2020年7月26日

 周囲が明るくなりはじめる5:00に目が覚めた。今日もやっぱり雨。幸い四阿(あずまや)の屋根があるので、濡れずに撤収作業ができる。これまで2日間も雨の中で過ごすと、濡れているのが当たり前ぐらいの気持ちになってきた。今日は天草の島内を歩く最終日になるので早めにスタートしたい。目標は松島の温泉。テキパキと撤収作業を終え、雨具をきっちり装着して、6:00に行動を開始した。

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白嶽はこんなところ

 白嶽からは崖のエッジ部分をしばらく歩く。晴れていたら見事な眺めだろうなと思いながら、ときどき雲の切れるときに写真撮影を試みるが、カメラがずぶ濡れになる。濡れた指ではシャッターがなかなか下りない。ここは東の八代海に面した山の斜面が山崩れを起こしたかのように切り立っているため、稜線からの眺めが頗る良いだろう。

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白嶽の山頂を望む

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雨が降りしきる

 7:25に蕗岳(つわたけ)との分岐に到着した。蕗岳も眺望が良いらしいが、今日はダメだろう。片道10分以上の道のりで体力を消費したくなかったので今回はスキップ。少し進んだところに四阿があったため、荷物を下ろしてシリアルの朝食とした。最初は真っ白な風景だったが、ガスが晴れてくると美しい景色が広がる。このルートは晴れた日に歩きたかった。

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蕗岳分岐付近の四阿

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少し雲がなくなれば海が見える

 さらに山道を1時間半ほど歩く。時折、これでもかというぐらい雨が降る。そんなときは無理をせずに木の下でじっと考え事をすることにした。たとえば、山中の標識で××まで0.6kmと書いてあったのに行けども行けども目標にたどり着けずヘトヘトになって地図を見ると確かに地図上の直線距離は0.6kmぐらいで実際には50回ぐらい小さなスイッチバックを繰り返しておまけに等高線が15本ぐらいあったりしたときに、標識に表示する目的地までの記載はどうしたら登山者に親切か?などということである。

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雨と付き合う

 そうこうしながらさらに1時間半ほど歩き、9:04に牟田峠に到着した。ひさしぶりにアスファルトの道路に出た。今日もイノシシには2回遭遇したが、アスファルトの道の上では遭遇する機会はかなり減る。そういえばこの48時間、ヒト科のヒトという動物に会っていない。まあ、まだ寂しくはないが。ほんの200mほどアスファルトの道路を歩き、ふたたび山道に入った。この山道は路盤が整備してあり、けものみちよりも数段歩きやすい。

 30分ほど歩いて金毘羅山(260m)に到着した。さらに30分ほど歩くと金比羅神社が現れた。木々の間から町が見えてきた。人には会わなくても結構なので、水が欲しい。龍ヶ岳以降補給がまったくなかったので、水がなくなってしまっている。渇きはつらい。

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金比羅神社

 金比羅神社から45分で茶屋峠に出た。舗装路と交わり、大きな浄水場があるが、残念ながら自販機は見当たらない。ここから天草最後の山となる高舞登山(たかぶとやま、116m)への登り口に入る。登山道は良好に整備してあり、30分ほどで頂上に着いた。頂上には展望台があり、天草五橋がすべて視界に入る。それにしても島々の浮かぶ天草の海はきれいだ。

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浄水場はあるが水はない

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晴れた!

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 この景色を楽しみながら、最後の水で天草最後の山コーヒーを淹れる。ついでに誰もいない展望台で雨具を乾かす。

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 ここから先は町に出るだけなので、雨具は要らないだろうと思ったら大間違い。高舞登山から国道までのわずか800mほどの山道だが、たぶんここしばらくは誰も歩いていないと思われる荒れようだった。蜘蛛の巣に藪漕ぎに泥道。雨具をつけておけばよかったと思ったが後の祭り。国道に出たときは上下とも蜘蛛の巣と泥まみれになってしまった。

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最後に藪漕ぎとは

 上天草島最北端の合津(あいつ)の町は温泉と漁港の町。松島温泉の足湯があったため浸かってみようかと思ったが、ふやけ切った足が靴からなかなか抜けないため断念。とりあえずランチとすることとし、海鮮丼を頂いた。

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合津の町

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足湯があったが足がふやけてしまって靴が簡単には脱げない

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合津港

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 ランチのお店で立ち寄り湯をしているホテルを聞いて、近くの松島観光ホテルの温泉に浸かりに行った。大浴場にただ一人。ゆっくりと手足を伸ばして極楽極楽。

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2020年7月26日 九州自然歩道 36日目 熊本県上天草市白嶽~上天草市松島 雨ときどき曇り 気温27/24℃ 距離11.3km 行動時間8:10 平均速度1.8km/h  25449歩

九州自然歩道 35日目 絶景の観海アルプスを縦走 熊本県上天草市龍ヶ岳~上天草市白嶽 2020年7月25日

 龍ヶ岳のキャンプ場は快適だったが、山頂にあるため風が強い。夜中に何度もテントが飛ばされそうなほどの風雨に襲われた。

 5:45に目が覚めた。今日も雨。テントの中でホットチョコレートとシリアルの朝食を摂る。小雨になったところでダラダラと撤収作業をはじめ、8:00に行動を開始した。

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定番となってきたシリアルの朝食

 龍ヶ岳の山頂は雨で、濃いガスが立ち込めていて視界が悪い。キャンプ場から、九州自然歩道に復帰するため、舗装路を2kmほど下る。さらに1kmほど進んだところで地図を見ながら左に折れたが、この道が誤りで、1kmほど進んだところでようやく道が違うことに気が付いた。来た道を戻り、左に折れる心細い山道が九州自然歩道であることを確認して先に進んだ。昨日は100%舗装路で快調に飛ばせたが、今日はどうも山道が大半のようだ。しかも雨の中。

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キャンプ場はガスの中

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雨も降りしきる

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ここの分岐点がわかりにくかった

 さっそく食事中のイノシシに出くわす。雨の日は鼻が利かないのか、足音が聞こえないのか、それともこんな日に山登りをする奴なんかいないと安心しているからか、この後も3回イノシシに遭遇した。

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食事中のイノシシの足跡

 山道はなかなか先に進まない。あまり人が通っていない道で、雨に加えて草の水滴が容赦なく体にかかる。そんな山道を苦労して上り下りして、9:56に三ツ岩という眺望の良いポイントにたどり着いた。ここでようやく荷物を下ろして水分補給を行う。

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三ツ岩からの眺め

 三岩から先は、雨が小降りになり、ときどき日が差してきた。そんなときにはイノシシはいないが、今度はヘビが道の真ん中で日向ぼっこしている。ヤマカガシは生態系の上位に位置しているのを意識してか、あるいは雨で冷えて動きが遅いのか、なかなか道の真ん中からどいてくれない。

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ヤマカガシも有毒

 道を間違えたり、ヘビに通せんぼされたりで、コースタイムよりもずいぶん遅く、12:28にようやく念珠山(503m)の頂上に到着した。ここも眺めが良い。龍ヶ岳から連なる山々は観海アルプスと名付けられているだけあって、どの山からも天草の海がたっぷりと見られる。

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特徴的な山容の念珠岳

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眺めがすばらしい

 念珠山からは長い道のりを経て二弁当峠に15:32に到着した。ここでは車の通行が止められた廃トンネルを経由して次の目的地に向かうのだが、ちょうどここで雨が土砂降りになってきた。やむなく廃トンネルに逃げ込んだが、廃トンネルはライトもなく、薄気味悪い。心霊スポットのようであまり滞在したくなかったが、すさまじい土砂降りで、外に出ることはかなわない。

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二弁当峠の廃トンネル

 ようやく小雨に変わり、次の鹿見岳(286m)への登山口に入る。わりと歩きやすい山道。頂上近くは石段が整備されていた。もちろん頂上からは海が見えた。

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鹿見岳への石段

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 鹿見岳からは山道と舗装路を繰り返し進み、矢嶽神社に17:20に到着した。ここには巨石でできた遺跡があるとのこと。少し回り道して、ドルメンと呼ばれる巨石の屋根を石柱が支える形態の遺跡を見に行ってきた。重機のない時代に、こんな巨石をどうやって配置したのか不思議だ。

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白嶽も威厳のある山だ

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白嶽中腹の矢嶽神社

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ドルメン

 ここからは最後の踏ん張りで、右手に海を見ながら崖に沿った山道を進み、373mの白嶽の頂上には18:03に到着した。眺めは最高。天草五橋や八代、西には雲仙も見える。白嶽の頂上に到着したころから雨が止んだ。本日も、終わりよければすべてよし。

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白嶽頂上

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天草の島々

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2020年7月25日 九州自然歩道 35日目 熊本県上天草市龍ヶ岳山頂キャンプ場~上天草市白嶽 雨のち曇り 気温26/22 距離18.9km 行動時間10:19 平均速度1.8km/h 37025歩

九州自然歩道 34日目 棚田の向こうに拡がる天草の海 熊本県天草市栖本~上天草市龍ヶ岳 2020年7月24日

 今日から天草市の中心地である本渡から東に11kmほどの栖本から九州自然歩道トレッキングの再開。昨夜も先々週に引き続き友人宅にお世話になり、6:00に起床。本渡バスセンターから栖本まで7:10発のローカルバスで向かい、7:50に行動を開始した。

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降りしきる雨

 あいにくの大雨。どのぐらいの雨かというと、渋谷の街頭で100人にインタビューしたら99人ぐらい絶対にこんな天気の日には山に登らないと回答するほどの大雨。自分も、こんな日に歩かないといけない理由が見つからず、バスは7:32に栖本馬場のバス停に到着したものの、バス停の屋根の下で7:50まで最初の一歩が踏み出せなかったほど。

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こんな雨の中を歩く理由は、、、

 栖本の町の中を東にしばらく進み、倉岳の登山道に向かって曲がる。タバコ畑ではこの雨の中で長靴を履いて作業している女性がいる。どこに行くかと尋ねられ、倉岳に登ると答えると、こんな雨の中をご苦労様と返された。いやいやあなたの方がもっとご苦労様ですと心の中で思いながら、倉岳への道を先に進む。倉岳の麓まで雲底が下がっているため、頂上が見えないどころか、どんな山さえもわからない。標識には頂上まで12kmと書いてあるため、それなりの覚悟を決める。

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雲が低く、どんな山かもわからない

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眺望もない

 登山道は舗装路で、路面の状態は良好。自動車の交通もほとんどなく歩きやすい。雨だけが問題。時折、前が見えないほど強く降り、すぐ近くで雷鳴が聞こえる。

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これ以上降っているときが大半だが、その時には写真も撮っていられない

 頂上まで3kmぐらいの地点でカヤツ丸展望台という絶景で知られるビューポイントがあったが、本日は絶対に絶景でない自信があったためパス。ゴアテックスのレインコートの中に雨が侵入してきて気持ちが悪いため、何とかして早く山頂にたどり着きたい。山頂には屋根のある施設があるだろうと期待して。

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天気が良ければ行ってみたいカヤツ丸

 11:30に倉岳(682m)の山頂に到着した。残念ながらガスで何も見えない。山頂には倉岳神社があり、この鳥居の向こうに拡がる天草の島々と八代海がすばらしく美しいはずだが、本日は真っ白な写真のみ。残念無念。もう一つ残念なことに、山頂まで来たが屋根がない。今朝出発してから一度も荷物を下ろしていない。

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山頂からの眺望はゼロ

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鳥居からの眺望もゼロ

 お腹も空いてきたが、この雨の中ではどうしようもない。倉岳の山頂からは棚底の町に向かって下り始める。10分も下ったところに休憩用の東屋があった。風雨が強いため雨が降り込むが、荷物を下ろしておにぎりを食べながら休憩とした。

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ホッと一息休憩所

 しばらく休憩していると雨が弱くなってきた。ビチョビチョのレインコートを着て、再び歩きはじめる。靴の中もビチョビチョ。この靴もゴアテックスのはずだが、ここまで激しい雨には歯が立たないようだ。山の斜面からは水が滝のように落ちてきて、ときおりその水流を跨がなければならない。雨の音が激しいせいか、いつもはさっさと逃げていくイノシシが、かなり近づくまで気が付かずに道端で食事に専念している。生まれたばかりのうり坊も一緒に食事をしている。

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こんな状態ではイノシシも気が付かないのだろう

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ときおり道路にも水が流れ出している

 次第に高度が下がり、標高270m程度まで下りたところで視界が開けてきた。棚田の向こうに海が広がる。これが見たかった風景。この地域の稲もすでに穂をつけている。

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棚田の向こうに拡がる天草の海

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生育が早い天草の稲

 14:30に棚底の市街地に到着した。残念ながら、Google Mapに出てくる飲食店の3つは閉店したか休業中。やむなく先に進み、JAの経営しているスーパーでお惣菜を購入して2回目の昼ご飯とした。

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棚底は小さな漁村

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ようやく見えた倉岳の全貌

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 JAを15:20に出て、本日の目標である龍ヶ岳山頂の天文台とキャンプ場に向かう。距離は11kmほど。18:00ごろには到着できるだろう。幸い、雨は止んで、道路が乾いてきた。

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天文台の案内標識

 龍ヶ岳までの道のりもすべて舗装路。快適に歩く。棚底の街並みが眼下に見える。

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棚底の街並みが見える

 雨もほとんど降らないまま、18:00に龍ヶ岳(469m)の山頂に到着した。ガスが少しかかっているが、天草の島々と南の方には鹿児島県の長島と思われる島まで見える。

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龍ヶ岳頂上からの眺め

 山頂にはミューイ天文台がある。50cmの反射式望遠鏡を備えた天文台で、夜には望遠鏡による天文観測の供覧もあるが、本日は天候が悪く、観測はないとのこと。内部のみ見学させてもらう。

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ミューイ天文台

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50cm反射式望遠鏡

 天文台ではキャンプ場のチェックインも済ませ、キャンプサイトに向かう。きれいに整備されたキャンプサイトでありがたい。ただし、山頂は風が強いため、ラインをしっかり張っておかないとテントが飛ばされそう。キャンプ場にはシャワーもあり、至れり尽くせり。終わりよければすべてよし。

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整備状況良好なキャンプ場

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2020年7月24日 九州自然歩道 34日目 熊本県天草市栖本~天草市龍ヶ岳山頂キャンプ場 雨のち曇り 気温27/23℃ 距離31.7km 行動時間10:50 平均速度3.2km/h 52313歩

九州自然歩道 33日目 本渡瀬戸歩道橋を渡って上島に 熊本県天草市本渡~天草市栖本 2020年7月12日

 今日は天草市の中心地である本渡からの出発。昨夜は友人宅にお世話になり、6:00に起床。そのまま本渡瀬戸歩道橋まで友人も一緒に歩いてくれることになった。

 7:57に本渡の中心街にある家を出た。しばらくは国道324号線に並行する街中の道路を歩く。そういえばかつては街の中にこんな映画館があったな、と思うような映画館が未だに健在。友人の同級生が経営しているとのこと。16世紀はこの辺りはキリシタン文化の中心だったからか、なんとなく文化の香りがする。

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 2kmほど歩いて天草工業高校のグラウンドに到着した。やはりユニークな構造。正門の近くにはテトラポットを模したような建築物がある。これはあとで調べてみたら2016年竣工の木製のトイレ。さらに回り込むと、3階建ての校舎が屋上の一部を削るようにして、5階建ての校舎の吹き抜け部分を貫通している。3階建ての旧校舎の上に、5階建ての校舎を新築せざるを得ない理由があったのだろうか。3階建ての校舎は途中で切断して、円形の窓を強引に取り付けたようにも見える。六角鬼丈の設計の宗教施設にこんな窓があったなと連想する。実習棟の形状も見れば見るほどユニーク。これも菊竹清訓設計の都城市民会館に似ているような。

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これがトイレ!

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3階建ての校舎を5階建ての校舎がまたぐ

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この実習棟もユニーク

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参考までに六角鬼丈設計の金光教福岡高宮教会

 高校の横の上島と下島の間の狭い水路に渡されているのが本渡瀬戸歩道橋。1978年完成の橋長124.8mのトラス式(三角形の組み合わせ構造)の橋。現在、自動車は隣の天草瀬戸大橋という1974年完成の橋を通行しているが、この橋は船舶の航行を考慮して海面からの高さが17mあり、ループ橋となっているため、歩道はあるものの徒歩や自転車の通行には難渋する。このため、歩行者と自転車の専用の橋として別に本渡瀬戸歩道橋が建設されている。中央の58mの部分が可動式で、10mと17mの2段階に昇降できる。

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本渡瀬戸歩道橋

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天草瀬戸大橋 歩道もあるがこちらは主に自動車交通

 本渡瀬戸歩道橋に到着したのが8:30で、こんな早くに航行する船舶は少ないだろうなと思いながら歩いて渡ったそのとき、サイレンが鳴って橋の信号が赤に変わった。有明海方面から船がやってきた。可動部分にかけられたウィンチが回転を始め、10mの位置に固定された下部を船が白い航跡を残して過ぎ去っていった。

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サイレンが鳴って信号が赤に変わる

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10mと17mの2段階の昇降

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これで船舶が航行できる

 ここからは集落を抜けて山道に入る。道路脇の田んぼでは水稲が栽培されているが、7月12日の現在、すでに穂をつけている。福岡ではいま田植えをしているようなところもあるのに。友人曰く、これは二期作とのこと。二期作という単語は、中学校以来聞いていなかった。それも、人の口から現物を見ながらの二期作というリアルな単語を聞いたのは初めてで、とても新鮮に感じた。中学校の時はメコン川流域の話だったっけ、とか思いながら歩いたところで友人は自宅に戻ることにした。この先は一人で次の集落まで山歩きを楽しむこととなる。曇ってはいるが、雨は降っていない。

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稲にすでに穂が見られてびっくり

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山の上からもう一度本渡瀬戸歩道橋を振り返る

 山道を登ると畑の手入れをしている方に出会った。聞けば、作物のほとんどがイノシシに荒らされてしまったとのこと。次に会ったスイカの収穫の方も同じ事を言う。スイカ畑は、ネットと電気柵で防御したうえ、プラスティックの箱をかぶせてある。手間のかかることだ。

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イノシシに荒らされたキュウリ畑

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イカも被害に遭う

 さらに山道を登り、高度を上げる。南の八代海に面した斜面には柑橘系が植えられている。雲高が低くなり、周囲がガスに包まれてきた。

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 10:10に朝食を摂ることにした。今日の朝食はビスケットと紅茶。地図を見ると、上りはもう少しだけのようだ。最高地点は250m程度。道の状態も良好で、雨さえ降らなければ快適この上ない。

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 山道が車道と交差しながら少しずつ高度を上げていく。南向きの斜面には柑橘系の樹木が植えられている。スダチのような小さな実がたくさんついているがなんだろうか。

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 しばらく進むと、峠を越して谷に沿って下り始めた。山道は依然として舗装された快適な道路。自動車の通行は皆無。小さな集落が現れる。集落の外れにバナナのような植物が育っている。熱帯の国に来たような気がする。

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このあたりが峠になる

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袋掛けしたモモも植えられていた

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これはバナナ?

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見事に成長している水田

 しばらくゆっくりとした道を歩いていると栖本の町が見えてきた。タバコ畑では収穫をしているようだ。街の中には商店と食堂がいくつかある。次のトレッキングの再開地点がここになるので、補給が可能だと助かるなと思いながらもう少しだけ先に進む。

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栖本の町が見えてきた

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タバコの収穫

 海の近くに宗教施設のような建物があるので覗きに行ったら、天草市立栖本病院だった。このセンスはいかがなものだろうか。

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 12:33には本日の目標と定めていた栖本温泉かっぱの湯に到着した。これにて本日の行動終了。かっぱ温泉のトロトロのお湯に浸かって極楽極楽。

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かっぱの湯

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2020年7月12日 九州自然歩道 33日目 熊本県天草市本渡~天草市栖本 曇り 気温27/24 距離15.5km 行動時間4:59 平均速度3.5km/h 23667歩

 

九州自然歩道 32日目 天草で海の幸を堪能 長崎県南島原市口之津~熊本県天草市本渡 2020年7月11日

 今日のトレッキングは、口之津港フェリーターミナルに諫早からの島鉄バスが7:57に着いたところから始まる。本当は福岡を出てからここに至るまで、いくつかの試練があったのだが、長くなるので今回は置いておこう。

 口之津から対岸の天草までのフェリーの出航時刻は8:30。コロナ対策のため、通常の半分ほどに減便されている。ターミナルでフェリーの乗船券を購入して、出航10分前のアナウンスでフェリーに乗り込む。徒歩で乗船するのは一人だけだった。フェリーには自動車が8台積載されている。船室には10名ほどの乗客の方がテレビを見ている。船の名はフェリーくちのつで総トン数は548トン。島原と天草の間の海峡である早崎瀬戸は波が穏やかで、ほとんど揺れを感じないまま9:00に鬼池港に到着した。

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口之津鬼池間を繋ぐ島鉄フェリー

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口之津を後にする

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天草の鬼池はすぐそこ

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自動車と一緒に下船

 鬼池港ではさっそく天草四郎がお出迎え。雨は降ったり止んだりを繰り返しているため、レインコートの上だけを着けて歩き始めた。鬼池港からは国道324号線上が九州自然歩道となっている。歩道が分けられているため危険はないが、交通量は多い。しばらくは海沿いの道で景色がよい。1時間ほど歩いたところで雨脚が強くなったため、道路沿いの商店に入り、朝食用にカフェ・オ・レとサンドイッチを購入して店内で食べさせてもらう。ここでレインコートのズボンを着用し、ゲーターも装着した。

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鬼池港の天草四郎

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海岸線の近くを歩く 沖には亀島

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国道324号線を通るため交通量は多い

 ここから先はときおり前が見えないほどの大雨に晒される。国道を走る自動車から水しぶきが飛んでくる。11:00に佐伊津港を過ぎ、国道と離れる地点にコンビニがあったため、雨宿りと休憩を兼ねて入る。イートインコーナーでコーヒーを啜りながら雨が小降りになるのを待って11:30に行動再開。

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白砂のきれいな本渡海水浴場

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本渡の市街地に入る

 天草市内には大学の同級生がいるため連絡をとり、昼を一緒にすることとした。白砂がきれいな本渡海水浴場から本渡の市街地に向かい、12:46に同級生宅に到着した。昼食後は14:40から再度、九州自然歩道に復帰し、キリシタン墓地と天草キリシタン館に向かった。再び雨が強くなってきた。キリシタン墓地は繁華街のアーケードからすぐのところに入り口の看板がある。600mほど坂を登り、キリシタン墓地を経て、天草キリシタン館に到着した。

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本渡の中心地のアーケード

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ほどなくキリシタン館の看板が見える

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殉教者を悼んだ千人塚

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キリシタン墓地

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天草キリシタン

 雨が降りしきり、キリシタン館でゆっくりしている余裕がなかったため、次の目的地の十万山(239m)に向かうことにした。住宅地の中を縫うように進み、十万山の登り口にたどり着いた。登山道は舗装されているが、雨で濡れたアスファルトが滑りやすい。登山道の両側には木が生い茂っているため、雨はほとんど降り込まない。助かった。次第に雨脚が弱くなり、十万山の頂上に着いた頃にはほとんど雨は止んでいた。頂上に着いたのは16:47。しばらくすると同級生が自動車でやってきて、二人で展望台の上でコーヒーにすることにした。

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十万山への登山道

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頂上の展望台

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頂上からは本渡の市街地が一望できる

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今回は山コーヒーを二人分

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上島と下島の間の狭い水路に2本の橋が架かる

 コーヒーの後は、九州自然歩道に沿って亀川方面に下山した。苔のついた石段が雨に濡れて滑りやすく、1回派手に転んでしまった。その後は本渡の市街地に出て、十万山の頂上から眺めた可動式の昇降橋が気になって見に行った。ここも九州自然歩道のルート上。上天草島と下天草島との間の本渡瀬戸にかかる歩道専用の昇降橋。瀬戸を船舶が通過する際には中央部分が上がるようになっている。残念ながらこの日は橋が昇降するのを見ることはできなかったが。

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十万山からの下山路

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本渡瀬戸歩道橋

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昇降するところが見てみたい

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自動車はループ橋で往来する

 橋の袂にはちょっと風変わりな建物があったので見に行ってみた。天草工業高校だった。ちょうど学校関係者と思われる方が歩いていたので、兵舎のようなカマボコ型の建物が何か聞いてみたところ、実習棟とのこと。また、5階建ての校舎の吹き抜けに3階建ての校舎が嵌入する形のユニークな構造をしている。これは設計者や由来を調べてみないと。

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天草工業高校 左の建築物と建物の中央にコンクリート校舎が嵌入した建物が気になる

 工業高校の外観を見学した後は、2km離れた同級生の家まで歩き、18:57に到着。今晩は自宅にお世話になることにした。40年来の友人。つもる話がたくさんありそうだ。

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古い街並みを残す本渡市街地

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天草のホタウニ(赤ウニ) たまらん 醤油をつけると怒られる

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お造りはコチ、キンメダイ、イサキ、カンパチ、マグロホホ、マグロ頭頂、アジ、アオリイカ、タコ もう、たまらん

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2020年7月11日 九州自然歩道 33日目 長崎県南島原市口之津熊本県天草市本渡 雨 気温27/23℃ 距離21.7km(海上交通除く) 行動時間7:34 34246歩

九州自然歩道 31日目 長崎の締めくくりは柑橘の聖地 雲仙市小浜町諏訪の池~南島原市口之津 2020年7月5日

 5:30に周囲が明るくなって目が覚めた。諏訪の池キャンプ場は快適だった。夜中に何度か雨がパラついていたが、木の下にテントを設営していたため気にならなかった。洗面所で顔を洗って歯を磨き、テントを撤収して6:33に行動を開始した。

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諏訪の池キャンプ場

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 諏訪の池にはすでに多くの釣り人が集まっていた。池にボートを浮かべて釣りをしている人もいる。目の前で30cmほどのブラックバスを釣り上げ、リリースしている。

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トケイソウの花が咲いていた

 しばらくは諏訪の池に沿った舗装路を歩く。交通量は少なく、快適。今のところは曇りで、気温は上がらず、歩きやすい。

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 2kmほど進んだところで、舗装路から山道に入る。両側が畑で、見通しが良い。植えられているのはジャガイモだろうか。ところどころ踏み跡のない道があるが、だいたい歩きやすい。山の向こうに有明海が見える峠を越したところで雨が降り出したので、ザックにカバーだけ付けた。何度かスイッチバックを繰り返して坂を下り、小谷集落に着いた。

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正面に見えるのが鳳上山410m

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柑橘畑の地面にマルチシートが敷いてある

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 この集落は車がほとんど通らないようなので、道路の脇に椅子を出して、シリアルの朝食を食べ始めた。すると手に清掃道具を持った5、6人の女性が山の上の方から下りてきた。また、草刈り機のエンジン音も聞こえ始めた。今日はこのあたりの草刈りのようだ。

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シリアルの朝食

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重機での草取りも

 朝食を終えて、行動を再開する。しばらくはよく整備された舗装路を歩いたが、ほどなく脇の山道に九州自然歩道が分かれた。整備状況の悪い暗い道で、いやな予感がしたが、すぐに日当たりの良い道に変わりホッとした。この辺りは、山間部の奥の方まで水田が開墾されていた。作業中のおじさんに挨拶して、植え付けた品種を聞くとヒノヒカリとのこと。とても田植え機の入ることのできないような、奥まった、変形の田んぼなので、手植えだろうと思って尋ねると、小型の機械で植え付けたとのこと。人手がないので、維持は大変そうだ。

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舗装路から山道に下りていく

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狭い谷間を開墾した田んぼ 植え付けてあるのはヒノヒカリ

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どうやって田植え機を入れたのだろうか?

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田植えから1月ほど経過

 川沿いの道をさらに進み、9:40に山口集落に着いた。このあたりでだいたい7kmと、本日の行程の半分ぐらいを歩いたことにある。この集落にはどぶろく工房という造り酒屋があった。清酒は生産せず、どぶろくだけのよう。まったくお酒は飲まないが、珍しいので、小さな瓶があったら1本だけ買おうかと覗いたが、誰もいないようなので諦めた。

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どぶろく工房

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正面には愛宕山 291m

 山口から、しばらく舗装路を進むが、再び田んぼの中の道に分かれ、さらに山の中に入っていく。ちょうど口之津の北にある愛宕山の麓をなぞるようなコースを描いている。アップダウンはそれほどなく、周囲の景色を楽しみながら残りの数キロを進む。

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 残り2kmぐらいの地点で、口之津の港が見えてきた。道路の脇の民家で、大量のブラシのような物を洗っている人がいたので声をかけてみた。ブラシのような物は、メダカが卵を産み付ける支持体とのこと。見てみると、庭中にメダカの水槽が並べてある。大量に育てているのは、突然変異で色のついたメダカを掛け合わせて、新しい色のメダカを作るためとのこと。

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口之津の港が見えてきた

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黒いブラシ状のものに卵を産み付ける

 ゆっくりとした坂を下り、町の中に入った。交通量は多い。港に着いたところで、停泊しているフェリーに近づいてみると、フェリー乗り場は新しい建物に移動したとの看板がある。

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2008年の普賢岳火砕流の後に廃線になった島原鉄道の南部分の路盤が残る

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 200mほど先に、新築になったばかりのターミナルが見える。ちょうど、天草からのフェリーが入港してきた。フェリーが接岸するのを眺め、ターミナルに入ったのが11:35。これで九州自然歩道トレッキングの長崎県は終わりとなった。

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口之津フェリーターミナル

 ターミナルの中の食堂でランチを済ませた。まだ時間がたっぷりあるので、ここからは付録で、まずは以前から行きたかった果樹試験場(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 口之津カンキツ研究試験地)に行ってみることとした。ターミナルからはだいたい3kmほどの舗装路。ターミナル内には大型のコインロッカーがあるので、水と文庫本と財布だけサブザックに移し、バックパックはロッカーに入れて歩き始めた。果樹試験場についたのが13:02。古ぼけた建物だが、ここがデコポン発祥の地かと思うと感慨が深い。敷地の奥の方には、ビニールハウスが並び、山の上まで柑橘系などの緑が続いている。

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果樹研究所

 ここからさらに海に向かい、海岸沿いのアコウ群落を見物した。アコウとは、ガジュマルのように気根を出すイチジクの一種。このあたりのアコウは巨大で、天然記念物に指定されている。

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アコウの群生地

 さらに、瀬詰崎長崎鼻とめぐり、口之津の半島をぐるりと1周してしまった。瀬詰崎からは、次の目的地の天草がすぐ目の前に見える。頑張れば泳いで渡ることができそうなぐらい。次回の天草を楽しみにしている。

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目の前にはもう天草

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2020年7月5日 九州自然歩道 31日目 雲仙市小浜町 諏訪の池~南島原市口之津 曇りときどき雨 気温24/20 距離14.5km 行動時間5:02 平均速度4.0km/h 34516歩

九州自然歩道 30日目 雲仙地獄を堪能 雲仙市小浜町雲仙~雲仙市小浜町諏訪の池 2020年7月4日

 今日こそは九州自然歩道トレッキングを再開するぞと、張り切って4:20に起床した。5:30に家を出たが、200mほど進んだところで犬の散歩の人のマスクを見て、自分がマスクを忘れていることに気が付き取りに戻る。山に行くのにマスクが要るか?という気がして、うっかり忘れてしまう。しかし、マスクがないと、地下鉄の中では肩身が狭い。

 予定より1便早い5:49の地下鉄に乗り、6:02には博多駅に到着した。中央改札口に行き、長崎本線の時間を確認すると、またもや6:33のかもめ3号の標示がない!なんのアナウンスもないため、やむなくみどりの窓口に行き、かもめの指定席の発券をお願いすると、先週の窓口と同じ女性で覚えていてくれたようだ。「すみません、今日は雨ではないんです。長崎本線で自動車との接触事故があって、運転見合わせなんです。」

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 なんと2週連続で長崎本線のトラブルのために、トレッキング再開地の雲仙に向かうことができない。次のかもめ5号は7:17発だが、まず定時に発車する可能性はないとのこと。かくなる上は、高速バスはどうかと時刻表検索を行う。博多駅バスターミナル7:19発の島原行の高速バスに乗れば、雲仙に12:00ぐらいに着くことができそう。あとの行程が少しきつくなるが、こうなったらバスで行こうと、バスターミナルに急いだ。幸い空席はたっぷりあり、予約の後、朝マックを購入してバスに乗り込んだ。

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 バスで島原まで3時間余。長い。文庫本を半分読んだ。今日は新田次郎の本。これ以上読むと、この先読むものがなくなったら困ると思い、残りの2時間は映画を見た。2015年のアメリカ映画のThe End of the Tour。おそらく芸術的なのだろうが、正直言ってつまらなかった。映画が終わるころに、ようやく島原の島鉄バスターミナルに到着した。ここで雲仙行きのバスに乗り換え、40分かけて12:02に雲仙の前回トレッキングコースから離脱した地点に到着した。

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 雲仙の温泉街から南に進み、山道に入る。そのまま30分ほど歩いたところで、小地獄温泉に到着した。ここは秘湯感溢れる公衆浴場で、建物がとても風情がある。歩き始めたばかりだが、白濁系のこの有名な温泉には入ってみたかったので、20分ほど浸かってみた。とろりとしたお湯で、なんだか効き目がありそうだった。

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 本来は、この温泉で旅館からの取り寄せ弁当を食べる予定だったが、現在は休止中とのこと。やむなく、100mほど下ったところにあるホテルのレストランで瓦うどんなるもののランチとした。

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 ランチの後は、13:18に行動再開し、シーズンならばミヤマキリシマで埋まっている宝原(ほうばる)園地を経由して、高岩山の登山道に入る。ここは宗教の山で、登山道のいたるところに鳥居やしめ縄がしつらえてある。ゆっくり時間をかけて登り、14:14に高岩山の880mの頂上に到達した。残念ながら頂上付近は濃い霧に覆われており、まったく眺望はなかった。

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 地図を見ると、今日のコースは高岩山をピークとして、急傾斜の高岩山を下りた後は、ほとんどゆっくりした下り。濡れた石段に気を付けながら、14:39には高岩山登山口まで下り、15:12には塔の坂の集落に到着した。ここには廃校になった小学校を活用した南島原食堂があり、名物の手延べそうめんを提供しているはずだが、残念ながら日曜日の昼だけだった。

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 塔の坂集落からは、ほとんど交通のないようなコンクリート舗装路や山道を進み、15:40に舗装路に沿った八手観音の交差点に到着した。さらに600m進むと論所原エコパークに到着した。ここは美しく整備された芝生のオートキャンプ場と農園の広がる公園。残念ながら持ち込みテントは禁止のため、先に進む。

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 ここからは、畑の中と山道とをかわるがわる繰り返しながら、16:40に金比羅神社に到着した。ここから先は舗装路で、時折、人家も現れる。原山ドルメンという縄文時代の墓石の跡地を通過した後は、ジャガイモ畑の中を通り抜けて17:30に諏訪の池に到着した。ここには3つに分かれた広い池があり、ブラックバス釣りが盛んなよう。釣り人を眺めながら、18:00に諏訪の池の休暇村に到着した。

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 ここは国民休暇村で、キャンプサイトも整備されている。また、宿泊施設もあり、温泉は外部の人間も利用できる。キャンプサイトにテントを設営した後、フロントでキャンプサイトの利用料と温泉代を支払い、ゆっくりとお湯の中で手足を伸ばした。極楽極楽。

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2020年7月4日 九州自然歩道 30日目 雲仙市小浜町雲仙~雲仙市小浜町大亀諏訪の池休暇村 曇り 気温26/22 距離17.4km 行動時間5:57 平均速度3.3km/h 32061歩