九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 9日目 万葉の都市太宰府を堪能 福岡県筑紫野市柚須原~筑紫野市二日市温泉 2019年10月27日

 昨夜はイノシシの足音を気にしながらも、20時には眠りについた。今朝は6時までしっかり眠ることができた。よく眠れた。休養十分だ。

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 これまでの野営では、背中が痛かったり、寒かったり、傾斜地で足を突っ張ったり、いろいろな問題があって満足に眠れなかったが、今回は初めてよく眠ることができた。平坦地にテントを設営し、保温機能のあるアンダーシャツを着て、マットを敷いただけで、これだけ快適な睡眠が手に入る。 

 現在の気温は9℃ぐらいだが、あまり寒く感じない。これも初めて着てみるアンダーウェアのおかげだ。やせ我慢はするものではなかった。軽量化も大切だが、最低限の快適性との折り合いが大切だと実感した。

  6:30になり、外が明るくなってからテントの外に出た。シュラフをたたみ、マットの空気を抜いてバッグに詰め、テントを撤収して7:01に行動を開始。白糸の滝の分岐点に朝日が差し込んできた。

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ようやく日が差し込んできた

  九州自然歩道のこの部分は、三郡山(さんぐんさん)の山頂のレーダーサイトまで続く舗装路で、自動車の交通はまったくなく、南面は開けて見晴らしがよい。しかも、沢が流れていて、水も手に入る。ただし、ところどころに大きな落石があるのは気になる。

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  切り通しを折り返して、東に西に向きを変えながら高度を上げ、8:25に標高938mの三郡山の頂上に到着。歩行距離は3.77km。この山は宝満山を含む三郡山地の最高峰で、見通しがよいことから、航空機の監視レーダーが設置されている。しかし、このレーダーに視界を遮られるために、山頂からの眺望はあまりよくない。

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三郡山の頂上が見えてきた

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三郡山山頂

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三郡山山頂から北方の眺望 福岡空港の滑走路がわずかに見える

  三郡山からは南西に向きを変え、宝満山に向かって縦走を開始。ここからは舗装なしの山道だが、両側を広葉樹に囲まれ、よく整備された道で歩きやすい。20分ほどで標高901mの頭巾山に到着した。ここは木々に囲まれ、まったく眺望はない。頭巾山の山頂近くには玉水と名付けられた水場があり、いざというときには役に立ちそうだ。

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三郡山から頭巾山への縦走路

 

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水場があるが枯れていた

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ほどなく頭巾山山頂

  さらに宝満山に向かって南西に尾根伝いの道を進む。緩い下りの山道で、整備状況はよく、黄葉が始まった広葉樹が美しい。右手の広葉樹の木々の間から、大宰府の市街地が見え隠れする。

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頭巾山から仏頂山への縦走路

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仏頂山山頂

 40分ほどで868mの仏頂山に到着し、そのまま歩を進め、9:39に標高829mの宝満山山頂に到着。歩行距離は6.59km。宝満山は三郡山群では標高は低いものの、頂上にはしめ縄をつけられた大きな岩が鎮座し、竈門神社の上宮社殿が建てられており、かつての修行の場の中心としての威厳を感じる。 

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宝満山山頂

 

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宝満山山頂の竈門神社上宮社殿

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太宰府の町は眼下に

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宝満山キャンプ場は頂上の直下

 頂上の岩場でミカンの朝食をとっていると、次々に大宰府方面からの登山者がやってくる。しばらくすると山頂には30人を超えるような人が集まってきたため、早々に登山口のある竈門神社に向かって下山を開始することとした。

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宝満山登山道はよく整備された石畳

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  竈門(かまど)神社への下山路もよく整備された石段が続く。筑紫野市が主催する健康関連のイベントが開催されているらしく、登ってくる人が多く、狭い石段では上りの人に道を譲る時間も長くなる。下山道は、宝満山の山頂からのほぼ直登のコースとなっており、傾斜が急だ。11:24に麓の竈門神社に到着した。

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竈門神社本殿

  竈門神社は現代と信仰とがうまく調和した魅力的な神社だ。本殿は小ぶりながらも整った造りで、現代的なガラス張りの社務所や、カエデで囲まれた石段を見わたすことができるカフェまで境内にある。境内の樹齢数百年と思われるケヤキの木が、風景に見事に調和している。竈門神社の住職さんは、すごいプロデュース力がある。ひょっとしたら、プロのコンサルタントが力添えしているのかなと思うほどだ。

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現代的な社務所 御札KIOSKとでも呼びたくなる

  竈門神社のカエデは参道の石段を覆うようにずらりと並んでおり、紅葉の時期には美しいだろう。また来たいなと思いつつ、太宰府天満宮へと進む。

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参道のカエデの紅葉は見事と言われる

 

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竈門神社を出て宝満山を振り返る

 太宰府天満宮には12:10に到着。本殿に参拝しようと思ったが、ずらーりと参拝の列が並ぶ。さすがにこれを見て萎えてしまい、本殿への参拝は諦めて、参道に進む。日曜だけあって、すごい人波だ。

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太宰府天満宮 本殿に参拝する人の列

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京都から菅原道真を追って飛んできたとされる飛梅

  名物の梅が枝餅でも食べようかと思ったが、どこも行列。梅が枝餅もあきらめて、昼食をとることにした。

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表参道も人の波

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太宰府表参道のスターバックス隈研吾設計

  昨日の夕食はクッキーなどの行動食しか食べていないので、温かいもの、汁ものが食べたい。ラーメン暖慕を覗くが、ここも行列。200mほど市街地に進んだところの小さなホテルの1階が食堂になっているところを見つけて入店。なんということはないチャンポンの昼食をとった。

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なんということもないチャンポン定食のランチ 温かいものが食べたかったのだ

  ここからは水瓶山、四王寺山と進む。連歌屋、三条と、歴史を感じさせる町名の住宅街を抜けて、水瓶山には13:37に到着。さっきまで登っていた、宝満山から三郡山までがきれいに見える。

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水瓶山の登山道を上る

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水瓶山の山頂から宝満山を望む

  水瓶山から九州自然歩道の標識に従って進むが、地図を見ても四王寺山という山の表記がないことに気が付く。411mとか、368mの無名のピークが記載されているだけだ。ひょっとしたら、四王寺山は一つの山の名前ではなく、山群を示しているのかなと思いつつ進む。

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水瓶山から四王寺山への縦走路

 

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水瓶山から四王寺の山道 このあたりには九州自然歩道の標識はあるものの、地図から200mほど離れている

  このあたりは、九州自然歩道の標識に従って進んでいるにもかかわらず、地図に記載されている自然歩道からは200~300m南にずれた位置を歩いている。尾根伝いに歩きながら、6世紀ごろの巨大な大野城の遺構とされるところを見物し、四王寺県民の森に到着。ここでは九州自然歩道の標識は途切れてしまっている。

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四王寺山 県民の森

 

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四王寺の山群にある大野城の遺構

  県民の森の南端から、再び九州自然歩道が続いているような表記の看板を目にして進むが、途中で道はなくなり、やむなく100mほど藪漕ぎをして、一般道までたどり着いた。少し進んだところで、再び何事もなかったかのように表示される九州自然歩道の標識を見つけ、これに従い進んで、岩屋山の頂上に15:49に到着。ここも本当は九州自然歩道からは外れているはずだ。

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岩屋山山頂の岩屋城址石碑

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岩屋山から三郡山系を見る

  岩屋山の山頂は、太宰府市筑紫野市が一望できる展望スポットだ。眼下には太宰府天満宮の森や、紫色の波打つ屋根が特徴的な九州国立博物館、巨大な大宰府政庁の跡地などが一望でき、正面には宝満山がしっかり見える。

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岩屋山からの眺望 波打つ屋根は九州国立博物館

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巨大な太宰府政庁の跡地が見える

  岩屋山からさらに南に進み、坂本八幡宮に16:00に到着。ここは令和の年号の典拠となる万葉集の歌が詠まれた歌会の開催された、当時の太宰府の長官にあたる大伴旅人の邸宅があったとされる場所に建てられた神社で、いまだに参拝客が絶えない。私もお賽銭を投げ込んで、1つ2つお願いをしてきた。効き目があるかどうかはわからない。

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令和ゆかりの坂本八幡

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  坂本八幡宮のすぐ近くには大宰府政庁の遺構がある。これは南北に200mほど、東西に100mほどもあり、巨大な遺構だ。現在の国会議事堂ほどもあるような敷地だ。当時、ここに木造の巨大な建築物が立ち並んでいたかと考えると、不思議な気がする。千年前まではここに政府機関があったのだ。ここまで見事に何物も消失してしまうものだということが理解できない。

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太宰府政庁遺構

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  九州自然歩道をトレースするのはここまでにして、今日は時間もあるので、これから二日市温泉で体をほぐして帰ることとした。大宰府政庁跡から2.9km。市街地をぬうように歩いて二日市温泉にたどり着いたのは16:55。お殿様が入ったとされる御前湯(入湯料250円)と、一般庶民向けの博多湯(入湯料300円)が真向かいに並ぶが、今日は博多湯に入ることとして、本日の行動を終えることとした。

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二日市温泉 御前湯

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二日市温泉 博多湯

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2019年10月27日 九州自然歩道 9日目 福岡県筑紫野市柚須原白糸の滝~筑紫野市二日市温泉 曇り時々晴れ 気温21/10 距離23.7km 行動時間8:09 44164歩

復路交通:JR鹿児島本線 二日市18:31-博多18:45/福岡市営地下鉄 18:50-西新19:04