土曜日の本日は、3週間ぶりの九州自然歩道。10:44に南国交通バスを鹿児島県伊佐市大口里の八坂神社前で降りてトレッキングを開始した。少しスタートが遅いが、これが最速の交通手段。
大口里から市内の中央を流れる羽月川を越えて、対岸に渡る。街路に植えられたカエデは赤く発色し始めている。2kmぐらい歩いて、前回、九州自然歩道を離脱した鳥巣集落に11:07に到着した。
大口の中心の市街地の対岸の集落はほとんどが農地で、のんびりとした雰囲気。稲わらロールがこの地には本当に似合う。しばらくポツリポツリと家のある集落に沿った舗装路を歩く。
県立北薩病院を過ぎたところで、畑の中でコンバインを操作してなにやら収穫をしているところに出くわした。先端がカラカラに乾燥した赤茶けた作物を刈り取っている。この作物が何なのか分からない。思い切って畑の中に進み、トラクターを運転しているおじさんに声を掛けたら、「ソバだよ」と教えてくれた。「あれが花」、と指さす先には、見慣れた白い花が咲いていた。収穫期のソバは初めて見た。畑に落ちていた実を指先でつぶしてみたら、白い蕎麦粉のようなものが出てきた。ここの蕎麦を食べてみたい。
舗装路を何回か曲がり広い道路に出ると、このあたりには珍しい自動車の渋滞が現れた。大口郊外にある名勝地として知られる曽木の滝に続く車列のようだ。渋滞している車の横を通り抜けて12:45に曽木の滝に到着した。ここは東洋のナイアガラと呼ばれる名勝地。ちょうど紅葉の時期と重なり、駐車場には車があふれていた。
曽木の滝は川内川の川幅の広い部分に形成された滝で、10mほどの落差で落ち込んで盛んに水しぶきを発している。真ん中で2つに分かれているところなど、たしかにナイアガラの滝と形態は似ている。
ここには食堂が数軒あったため、ちょっと気になる古民家風の店に入ったところ、1時間ほどかかるという。空席ができたら電話で呼び出してもらうようにお願いして、曽木の滝公園内にある野草薬草館を見学させてもらった。
ここは無料で見学できる不思議な施設で、館内の案内の女性の植物の知識がとても豊富だった。薬草茶を頂き、また、たっぷりと薬草の知識を仕入れることができた。
そうこうするうちに、古民家風の食堂の野草庵から電話で呼び出しがあった。急いで食堂に向かい、薬草膳の昼食とした。この店は飛騨高山から移築した古民家を使っているそうで、とても雰囲気が良い。客足が絶えないのもよく分かる。
昼食を終えて14:50に行動再開したときには、曽木の滝に到着してから2時間以上が経過していた。15:12に曽木の滝を見渡せる位置に架けられた新曽木大橋を渡り、先を急ぐ。
曽木の滝までは透き通った水が流れていたのだが、ダム湖の部分に入ると水面は一面の水草に覆われており、異様な光景。調べてみると、この水草はボタンウキクサとホテイアオイとのこと。隙間なく湖面を埋めている。とても湖面とは思えないほど。
大鶴湖の湖畔に沿って1kmほど進むと、1909年から発電に使われていた曽木発電所が、1967年に完成した鶴田ダムによって湖底に沈んだ遺構が見える地点に着いた。しかし残念なことに、現在はダムの水位が高い時期で、遺構のほんの先端のみが湖面から見える状態だった。
曽木発電所遺構を通過したところですでに15:30。目標としていた鶴田ダムまで12kmほどあるが、日が暮れそうなので先を急ぐ。ときおり木々の間から見える緑色の湖面を眺めながら、ほとんど自動車の通らない県道404号線の舗装路を下流に向かって進む。
ようやく鶴田ダムに到着したのが18:00。すでに日没を過ぎ、辺りは暗くなっている。ダムの畔にはふれあい館という展示施設兼食堂があったが、食堂の営業は11:00~14:00と昼のみ。さいわい自動販売機が入口にあったため、飲料水の補給を行った。
ダムから1kmほど下った鶴田ダムふれあいパークの広い駐車場で野営をすることとして、明かりの全くないところでテントの設営作業を開始した。夜空から星が落ちてきそうなほど美しく輝いている。近くの山では、シカがよそ者に対して警戒音をしきりに鳴らしていた。
2020年11月14日 九州自然歩道 61日目 鹿児島県伊佐市大口里~薩摩郡さつま町鶴田ダム 晴れ 気温23/8 距離24.3km 行動時間7:36 平均速度3.9km/h 39347歩
往路交通: