本日は坊津秋目の民宿がんじん荘からのスタート。ここは釣り宿で、ご主人が早朝に釣り客の瀬渡しのために出かけていたため、朝食は8:00からと遅くなった。しかし、そのお詫びというわけでもないと思うが、朝食にはアオリイカの刺身をつけてくれた。これが甘くて美味しかった。
9:10に宿を出て歩き始めた。秋目集落から、次の目標地点の亀ヶ丘の標識を見て、舗装路を左折して山道に進んだが、すぐに道が無くなり先に進むことができなくなった。もう一度舗装路まで戻って、正しい道への入口を探したところ、藪に隠された石段が見つかった。舗装路からわずか10mで藪漕ぎがはじまり、いやな予感がする。
その後も、ところどころに石段や手すりがあるところもあるものの、基本的にはかすかな踏み跡を頼りに藪漕ぎをしながら先に進む。振り返ると青い海が藪の間から見えるのがわずかな救い。草の絡まった標識で、コースが間違っていないことは確認できた。
45分ほど藪と格闘しながら進んだ先の道は崖崩れで、完全に行く手を塞がれていた。崖の土砂の上に靴の踏み跡がかすかに残っており、先行した人はここを乗り越えていったようだ。しかし、自分の技量ではおそらく50%以上の確率で転落するだろうなと思い、途中まで登ったところで最期の地になるかもと海の方向を向いて写真を撮ったときに、崖の下に巻いて進めそうなルートが目に入った。藪をかき分け進んだら、ルートを示すテープが見つかり、その後は順調に進むことができた。
わずか900mの藪漕ぎに1時間以上をかけて進み、10:16に舗装路に出ることができた。やれやれと思ったのもつかの間、舗装路を100m進んだところでふたたび山道への左折の標識が出てきて、藪漕ぎへの恐怖を感じながら登りはじめた。さいわい今回はそれほど荒れた山道ではなく、10:37には亀ヶ丘に向かう舗装路への分岐に到達した。
ここからは快適な舗装路だが、風が強い。切り通しを抜けて、低木樹の中の舗装路を歩き、10:50に亀岩にたどり着いた。ゴツゴツの岩でできた亀岩の先端まで行って写真を撮ったが、風が強くて飛ばされそう。景色は最高だが、両手を離すと危険で、写真を撮るのには苦労した。
10:58には、亀岩から200mほど進んだ亀ヶ丘(387m)に到達した。ここには360°の眺望が得られる展望所があり、バイクや自動車の人たちが景色を楽しんでいた。
しばらく眺望を楽しんだ後、舗装路を南に進んだ。この舗装路には亀ヶ丘林道の標識が設置してあった。アップダウンの少ない快適な林道だ。南の山には発電用と思われる風車が見えてきた。
自動車のまったく通らない亀ヶ丘林道を進んでいたが、11:45に今岳への分岐を示す九州自然歩道の標識が現れた。標識はあるものの、入口が分からないほどの荒れようで、またもや藪漕ぎラッシュかと絶望的な気分に襲われた。
亀ヶ丘林道から今岳への峠越えの山道は、最初の30mほどは意外なほどきれいで、その後は倒木や藪漕ぎの連続。決して楽しい道ではないが、20分ほど我慢して進めば、下り坂になり、いったん舗装路に出る。
舗装路を渡ると、すぐに山道に誘導する標識が現れ、もう一度藪漕ぎを我慢して進むと、今岳の集落まで降りることができた。
舗装路を5分ほど歩き、12:37に枕崎へのバスの出る今岳バス停に到着し、本日の行動を終了することとした。
13:00のバスを待っていると、枕崎方面から到着したバスを降りた地元の女性から、どこから来たかと話しかけられた。聞けば、今岳集落の長を代々務めてきた家の方で、集落の名前の由来となった今岳の頂上に建つ神社の管理を数百年にわたって行ってきたとのこと。円錐形の姿のよい山である今岳は、半島の先端の野間岳と姉妹の山だとする伝説があるという。家によってお茶でもいかがかと誘われたが、バスの時間まであまり余裕がない。残念だったがご遠慮させてもらった。
今岳からはバスで枕崎に向かい、せっかくだからJRの南の終着駅となる枕崎駅から鹿児島中央駅までの3時間ほどの列車の旅を楽しもうと、指宿枕崎線に乗車して福岡への帰途に着いた。
2020年12月13日 九州自然歩道 69日目 鹿児島県南さつま市坊津秋目~今岳 晴れ 気温16/9℃ 行動時間3:26 距離7.4km 14802歩
復路交通:
今岳13:00鹿児島交通バス-枕崎13:55/15:53JR指宿枕崎線-鹿児島中央駅18:43/19:06九州新幹線さくら408号-博多20:43