九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 112日目 ここは桃源郷か?それとも地獄か? 大分県竹田市久住町法華院温泉山荘~中岳~稲星山~久住山~星生山~法華院温泉山荘 2021年8月8日

 4:00に初めての山小屋泊の朝を迎えた。周りの部屋からはすでにガタゴト音がしている。山の朝は早い。カーテンを開けると東の空が明るい。天気予報では雨だったが、嬉しい誤算。急いで朝食を済ませて7:45に行動開始。

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法華院山荘で迎えた朝

 出かける前にベテランぽい人に天気を聞くと、11時ぐらいまでは持ちそうだとの返事。山荘の裏手の山道から三俣山(みまたやま)の山裾の急斜面を上る。坊ガツルの湿原がずいぶん下の方に見えてきた。

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ビックリするほど天気が良い。三俣山の裾野を登り始める。

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坊ガツルがずいぶん下に見えてきた

 8:15に急坂を上り終え、一面の砂で覆われた北千里が浜に到着した。真っ平らな河原のような地形だ。右手の山は植物の生えていないむき出しの山。頂上付近から噴煙が上がっているのが見える。子供連れの女性が石を拾っている。硫黄が含まれているので集めているとか。振り返ると堂々とした山容の三俣山(1744m)。今日は最後にここに上りたいなと思いながら、分岐点のスガモリ越の位置を確認して先に進む。

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北千里が浜

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むき出しの山肌からは噴煙が上がる

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振り返れば三俣山が聳える

 北千里が浜の平らな斜面が終わるとゴツゴツの岩が大量に転がった斜面となる。しばらく急斜面と格闘して、火口の縁と思われるところに8:50に出た。ここが久住別れという久住連山の西の山々をつなぐ交差点のようなところ。

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ガレ場を上った先が久住別れ

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久住別れから三俣山を振り返る

 久住別れからは東に稜線を進む。最初の目標は天狗が城。狭い稜線の道を進む。天狗が城の下には濃い緑色の水をたたえた御池が見えてきた。狭い稜線のわりには難なく進み、1780mのピークには9:26に到着した。

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稜線の先が天狗が城

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稜線の右手には御池が見える

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 ここからはゴロゴロ石の積み重なったガレ場を登り、9:42に九州本島内で最も高い中岳(1791m)に到着。坊ガツルは遙か下に見える。

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次は中岳

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中岳から望む坊ガツル 正面は平治岳

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中岳頂上からのパノラマ

 中岳の頂上からは右手に御池を見ながら南に進む。桃源郷とはこんなところだろうかと考えながら進む。ガレ場を上った先が稲星山(1774m)。到着時刻は10:17。ガスが出てきて、風が吹き始めた。

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中岳から御池を見ながら下る 左は久住山

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すぐ先に稲星山

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 頂上から1kmほど先に久住山の山頂が見える。標高差100mほど下って100mほど上ったところだ。11:00に久住山(1787m)の頂上に到達。

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久住山

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久住山を下った久住別れの先には星生山

 このあたりからガスが立ちこめたり、小雨が降ってきた。11:35に久住分かれまで戻り、避難小屋で小休止して、今後の計画を考えることにした。

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久住別れの避難小屋で小休止

 久住別れから近いのは星生山。名前がいい。稜線には岩が立ち並び、姿も良い。西千里ヶ浜まで進み、直登コースを上って12:22に星生山(1762m)の山頂に到達した。山頂からは噴煙の出るところがよく見える。ここで、山小屋で作ってもらった弁当を拡げて昼休みとした。

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まずは西千里が浜を進む

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途中から星生山に向かって直登

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頂上からは噴煙がよく見えた

 星生山からの下りは、コースを変えて稜線を下ることとした。岩稜帯を越えるコース。晴れていたら気持ちが良さそうだが、ガスでどのコースを選んだら良いか分かりにくい。風も危険なほど吹いてきた。大粒の雨も降ってきた。急いで、しかし慎重に歩を進め、13:18に久住別れの避難小屋に待避して雨宿りすることにした。意外なことに避難小屋には誰もいない。すでにみんな下山したのだろうか?外は大雨となり、風が強く吹き付ける。雷鳴も聞こえてきて地獄の風景に変わる。

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稜線を下りはじめたときはすでに雨

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だんだん楽しむ余裕はなくなってきた

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ここは地獄の入口かもと思い始めた

 雨が少し弱くなった頃を見計らって、14:00に行動を再開した。すぐ後ろからザイルを持ったベテラン風の若者が下りてきた。聞けば法華院温泉山荘でアルバイトをした経験のある岩登りのエキスパート。星生山の岩場にコースの下見に来たとのこと。雨が強くなったので今日は岩登りを諦めて下山するという。心強い。

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ザイル青年と下りはじめた

 雨は強くなったり弱くなったりを繰り返す。上るときには砂浜のようだった北千里が浜には、くるぶしぐらいの川が流れている。滑らないように気を付けながら下りて、15:03に法華院温泉山荘に無事に帰着。行動終了とした。

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北千里が浜には川が流れはじめた

 雨はさらに強くなる。周囲の人の携帯から緊急避難速報の音が鳴っている。尋ねてみると台風9号が直撃しているとのこと。私の携帯は鳴らないまま。携帯電話のキャリアを見直す必要がありそうだ。

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帰り着いたときは大雨だった

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九州自然歩道112日目 2021年8月8日 大分県竹田市久住町法華院温泉山荘~中岳~稲星山~久住山~星生山~法華院温泉山荘 曇りのち大雨 25/18℃ 行動距離10.8km 行動時間7:21 25228歩

九州自然歩道 111日目 標高454mの秘湯から標高1303mの秘湯を目指して 大分県竹田市直入町長湯温泉~竹田市久住町法華院温泉山荘 2021年8月7日

 今回の九州自然歩道トレッキングは、大分県竹田市直入町にある長湯温泉からのスタート。ここではどうしてもやりたいことがあったため、仕事を半日休んで温泉の旅館に前泊した。

 やりたかったこととは、ガニ湯に浸かること。秘湯マニアの方はご存じかとおもう。ガニ湯のある長湯温泉には、本数は少ないもののバスがすぐ近くまで通っているし、現場まで登山装備を要するところもないので、これが秘湯か?と言われる方もいるかと思う。しかし、入りにくさの点では日本でも屈指の温泉ではないかと思う。その理由は、湯船が開放感に溢れすぎていること。囲いなどはまったくないいさぎよく全周丸見え状態で、しかもそれが温泉街のメインストリートに沿った河原にある。北には旅館の窓がずらりと並び、東にはプランターの並ぶ天満橋、南には交通量の多い道路から道行く人の声が聞こえ、西は川の上流に向かって開けた状態。衆人環視のもとで湯船に浸かるのは度胸がいる。

 決行したのは旅館での食事を終えた20:00。小雨が降っていた。正面の旅館の窓の明かりがガニ湯を煌々と照らしている。15mほど離れた橋の下の脱衣カゴに脱いだ服を投入して、足下に気を付けながら湯船に向かい、手にすくってかけ湯をしてからドボンと浸かる。湯船の底はヌルヌルして、注意しないと転倒しそうだ。旅館の窓からこちらを覗く人がいる。背後の道路からも男女のヒソヒソ声が聞こえる。気にしない。できるものならやってみろだ。湯温は39℃ぐらいか。ぬるめだが、この季節には心地よい。お湯を手にすくうと薄茶色で、鉄分の強い匂いがする。

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念願のガニ湯でくつろぐ

 翌朝は5:00に起床。外は雨。7:30に旅館の朝食を頂き、8:10に行動開始。さいわい雨は止んでいるが、今にも降りそうな空。まずは長湯温泉街のメインストリートを歩き、ガニ湯を眺めながら芹川に沿って西に向かう。芹川は河床が岩でできた板敷き川。実家の近くの川もこうだったなと思いながら歩く。

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明るい時間帯のガニ湯

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芹川に沿って西に進む

 右手にラムネ温泉。ここは日本一の炭酸泉で、前回はここで身体中にまとわりつく細かな泡を楽しませてもらった。橋を北に渡って進むと小さな温泉場が点在している。気になったのが葛淵温泉。組合員のみに入浴が許されたローカルオンリーの温泉。

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ラムネ温泉も心地よい

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葛淵温泉はローカルオンリー

 さらに橋を渡り田んぼの中の道を歩く。8:30に直入小学校の脇を通過。ここは学校に入ってはいけない感がある道だが、気にせず進むと独立した農道だと分かる。さらに進んで、円山公園の横を通り抜け、8:36に新橋でいったん2車線の舗装路に出て700mほど進んだ後、8:43に筒井集落で右折して舗装された農道を長野集落に向かう。こんな家を借りて、自分で手を入れて住んでみたいなと思うような古民家がある。その先の農道の脇に、本日はじめて目にした九州自然歩道の標識。ここも古すぎて何と書いてあるか判別不能

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こんな家を借りて住んでみたい

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美しい田んぼの中の道を進む

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大分県内の標識はビンテージ感の強いものが多い

 細い道をたどって西に向かい、8:57に長野温泉のながの湯に到着。ここはポツンと一軒家の温泉。九州自然歩道のエキスパートの蛸鹿さんが入った温泉ではないかと思う。心地よさげではあるが今日は距離が長いので先を急ぐ。自販機で飲料水のみ購入して通過する。道沿いの向日葵が美しい。

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ながの湯も気になる温泉

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夏は向日葵

 9:21に柏木集落を通過。ここで舗装路を真っ直ぐ進んだが、道を間違えた。正しい道はここから細い山道に入る。道路脇で男性が伐採した竹を燃やしている。ここから柚の木(ゆのき)に向かう道の方が涼しくて良いよと教えてくれる。

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柏木集落からは左の細い山道に進む

 両側を木に囲まれて涼しい、というか薄暗い道を歩いて、9:58に柚の木集落を通過し、10:09に県道412号線に合流した。

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ほどなく県道412号線と合流

 交通量の少ない県道を1kmほど歩き、10:22に小倉交差点を左折して県道30号線に進む。さらに1kmほど県道を歩いたところで、10:33に右に曲がって境川集落に入った。集落の中心あたりから北西に真っ直ぐ伸びる道に入る。ここを歩く人は少ないのだろう。バイクの女性がわざわざ停まって、道分かりますか?と尋ねてくれる。

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県道412号線と30号線の交差する小倉交差点を左折する

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境川集落からは北西に一直線

 境川集落から2kmほど歩いたところで舗装路を横切り、11:14に徳の尾牧場と書かれた看板の横を通過する。本来の九州自然歩道はこのあたりで右手の山林に入っていくはずだが、入口が見当たらない。蛸鹿情報でもここからしばらくはひどい藪だったということなので、廃道と化しているのだろう。牧草に囲まれた舗装路を歩く方が気持ちいい。正面には久住連山が見えてきた。3kmほどひたすら真っ直ぐの道を、牧草の匂いを楽しみながら歩く。青空まで見えてきた至福の時間。

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空まで続くような草原の道は最高!

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振り向けば竹田の町と祖母山系

 このまま1日歩いても良いかなと思うぐらい心地よい道だったが、11:41に舗装路に突き当たる。右に曲がるとガンジー牧場。お昼時だが、旅館の朝食を力いっぱい食べたためあまりお腹が空いていない。ソフトクリームとパンのみ軽く食べながら小休止とした。店内は子供連れの家族で賑わっている。大きな荷物を背負った汗臭いサングラスのおっさんは客観的に見て異質。周囲からの視線を感じて、何となく居心地が悪いので、12:13には退散することにした。

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ガンジー牧場のソフトクリームは美味しかった

 ガンジー牧場から東に200mほど進み、さらに左折して北向きに牧草地を500mほど上る。牧草地の途切れた山裾から右に折れて、広葉樹の山の中に進む。足元はぬかるんでいる。ほどなく下から伸びてきたコンクリート舗装の朽網岐れ(くたみわかれ)登山道と合流した。快適なコンクリート舗装路だが、ところどころで砂防ダムの工事が行われており、大きな土石流が起こった後のよう。

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ガンジー牧場からさらに久住山の裾野まで牧草地を進む

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牧草地の突き当たりから右に折れて山道に進む

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朽網岐れ登山道と合流

 12:44には舗装路が終わり、山中の山道に入る。すぐに道が20mほど崩落しているところに出くわしたが、こういったところには丁寧に迂回路がつけられている。この先もところどころ道が流されている。赤いテープを目印に進まないと道を見失いやすい。

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登山道には崩落した所もある

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丁寧に迂回路が設置してある

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踏み跡がついていないところもあるので赤テープの確認を

 ゴロゴロと大きな石の転がる急斜面を高度差で200mほど上り、13:25に目の前がパッと開けた。木道の敷いてあるここが佐渡窪。雨が降ると木道は沈下してしまうようで、山沿いに迂回路が設置してある。今日はさいわい木道を歩くことができる。絵になる素晴らしい光景だ。

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ゴロゴロ石の急斜面を上る

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その先は別世界の佐渡

 佐渡窪の平地を歩いた後は、150mほどの標高差の鍋割峠を登る。左手に見える白口岳には崩落の跡が見える。峠の道もところどころ土石流で流されているが、問題なく進む。14:13に鉾立峠に到着。佐渡窪で追い抜いていった男性と峠の上で一緒になり、しばらくコースの情報を教えてもらう。

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佐渡窪を過ぎると鍋割峠

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左手の白口岳には崩落箇所がいくつか見える

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でも全般的には整備状況は最上級

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鉾立峠に到着

 峠を下りはじめると先には山荘の屋根らしきものが見えてきた。ゴールは近い。ここから先は土石流に見舞われたようで、大きな石がコースを埋めている。重機で道を開いたようで、石を避けてコースを作ったところも見られる。

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下りはじめると山荘の屋根が見えてくる

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下りの道には大量の土石流が流れ込んだよう

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石を動かしたところもある

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ゴール直前には心地よい木道も

 灌木の中の木道を歩いたその先にはテントがいくつか張られており、目の前には坊ガツルの湿原がひろがっていた。テントサイトのすぐ上の法華院温泉山荘には14:55に到着。今日と明日はここにお世話になることにしている。宿泊客は少ないようで、個室を使うことができた。1303mの標高の地にある乳白色の温泉に浸かる。ここは天国か?

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こんなところにテントを張るのも良い

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法華院温泉山荘に到着

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個室が使えた

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部屋の窓からは坊ガツルが一望できた

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温泉に浸かったら、心と身体がとろけてしまいそうだった

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九州自然歩道111日目 2021年8月7日 大分県竹田市直入町長湯温泉~竹田市久住町法華院温泉山荘 曇り 29/22℃ 行動距離20.2km 行動時間6:46 33461歩

往路:博多BT12:21西鉄高速バスとよのくに号-大分駅要町14:50/大分駅4番バス乗り場15:20竹田大野コミュニティバス-道の駅ながゆ温泉17:10 長湯温泉前泊

九州自然歩道 110日目 標高600mの集落を巡り歩いたあとは炭酸泉でゆっくりと手足を伸ばす 大分県豊後大野市朝地駅~竹田市直入町長湯温泉 2021年7月25日

 本日は豊後竹田駅近くのホテルで4:00に起床。熱いコーヒーを飲んでから5:00にホテルを出た。日の出は5:22となっているが、四方を山に囲まれた竹田はなかなか明るくならないようだ。駅に着いたときには駅舎はまだ暗い。ホームに上って入線してきた始発列車を迎えた頃に、ようやく空が薄紫色に変わりはじめた。

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豊後竹田駅はまだ暗かった

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列車が入線した頃ようやく空に赤みが増してきた

 5:16に豊後竹田駅を出発した豊肥線の車内は乗客2名。定刻どおり5:23に朝地駅に到着し、YAMAPのコースを設定してから行動を開始した。

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朝地駅に到着

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YAMAPの設定を終えて歩き始める

 小賀川に架かる駅前のアーチ式石橋の朝地橋を渡り、国道57号線を陸橋で越える。朝地の町は眼下に広がる。

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朝地橋を渡って進む

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すぐに朝地の町は眼下に

 舗装された山道を登る。ここからのコースは何度も右左折を繰り返すので、地図をよく確かめる必要がある。標高300mほどの丘を歩いているときに日の出の光が差し込んできた。

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まだ薄暗い山道を登りはじめる

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ようやく太陽の光が差し込んできた

 6:04に石ケ原集落を歩いていると、男性がネットに囲まれた畑でスイカを収穫していた。挨拶を交わして話しを聞くと、昨晩、イノシシに収穫直前のスイカを半分近く食べられてしまったとのこと。畑の中にはスイカの赤い切れ端が散乱している。傷んでいない大きなスイカの玉を抱えて持ってきて、一つ持って行けという。数kgもあるスイカをザックに入れて持ち歩くわけにはいかない。丁重にお断りした。

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圃場に囲まれた石ケ原集落

 趣味で自宅のために栽培している畑のようで、いろいろな作物が少量ずつ植えられている。ちょうどオクラは開花時期で、黄色い花を見ることができた。落花生は花が地面に着いたところで、これから実を付けるところだという。その部分を持ち上げて見せてくれた。

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オクラの黄色い花が咲いていた

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落花生は土に潜ったこの部分に実を付ける

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美味しそうな枝豆

 その他にも、トウガラシ、カラーピーマン、八朔、白鳳(モモ)。モモはもいだばかりのものを、袋付きで一つ持って行けと手渡された。これはザックに入れておいた。

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モモも栽培していた

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ひとつ頂いた

 お礼を言って先に進む。ここから池在集落まではおよそ1kmが廃道で、足下がぬかるみ、藪漕ぎを強いられるところも散在した。九州自然歩道はこういった集落と集落をつなぐなんと言うことはない区間が一番怪しい。生活路として使われなくなると、非舗装路はあっというまに廃道化してしまう。

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石ケ原~池在間は廃道

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倒木は当たり前

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藪漕ぎ上等

 しばらく蜘蛛の巣まみれになりながら泥の中を歩き、ようやく6:36にビニールハウスが見えたときはホッとした。池在からはコンクリート舗装路になる。集落の家にはノウゼンカヅラのオレンジ色の花が映える。土手にはキツネノカミソリのオレンジも見られる。

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久しぶりの本格的な藪漕ぎで、舗装路が見えたときにはホッとした

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ノウゼンカヅラ

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これはキツネノカミソリか?

 6:53に池田大原線分岐を直進する。ここで直交する新しい道の下をくぐる。この道は地図には記載されていない。

 サヤノ木集落を通過して、7:05に白石集落から二車線の舗装路に合流して、左折して高度を上げていく。振り返ると祖母山が頂上を雲に隠れながらも見えてきた。

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白石の先で2車線路と合流

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高度を上げると祖母山系が見えてきた

 7:10に標識は立っていないものの、地図の上では山道に右折ポイントとなった。少しだけ迂回することになるが、並行して舗装路があり、山道に進むべきか迷う。雰囲気がいかにも廃道だからだ。

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標識はないが九州自然歩道の地図は右折を示す

 しかし、可及的にオリジナルコースを踏破というルールに従い廃道感の漂う山道に進む。しばらくすると右手に菩薩像だろうか、2体の仏像が現れた。優しい表情にホッとした。手を合わせて藪の中に進んだ。

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仏像に手を合わせて進む

 藪漕ぎはほんのわずかで、すぐに落ち葉の積もった山道に出た。7:20には山道を抜けて舗装路に復帰した。

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さいわいほとんど苦労せずに山道に出た

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すぐに舗装路にたどり着く

 舗装路をさらに進み、7:30に標高500mほどの白石峠に到着した。振り返ると祖母山が頭を雲の上に出している。祖母山はこんな日に登りたかった。峠の頂上は舗装路で何もないが、ザックを下ろして小休止することにした。どうせ自動車は通らない。昨夜、買っておいた竹田名物の丸福の塩唐揚げを朝食に食べた。あっさりして美味しかった。

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峠で振り返ると祖母山がくっきり

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道路脇にザックを放り出して休憩

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竹田名物の丸福の唐揚げを朝食にした

 7:50に行動を再開した。峠を越えると1車線に変わり、舗装状態も劣化した。道路脇にはサルスベリの花が咲いている。カーブを歩いていると、急に正面から自動車がやってきてぶつかりそうになった。アウト-イン-アウトのコーナーリングをしてきた自動車だった。

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1車線の道に変わる

 まさかこんなところを人が歩いているとは思ってもみなかったのだろう。ちょうどそこには恐淵入口の標識。淵までしばらくありそうだったので行かなかったが、轢いてしまった人間を淵に放り込んだら見つからないような場所であることは確かだった。

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恐淵入口とは恐ろしい

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この先に恐淵がある

 8:10に標高599mの鳥屋(とや)集落を通過。ここから左折して山道に進む。しっかりしたコンクリート舗装路で、とくに問題はなかった。ここで本日はじめての九州自然歩道の標識を発見。かなり前に設置されたものと思われ、文字はほとんど読めず、カヅラが絡まっていた。

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鳥屋の集落を歩く

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集落の先で左に折れる

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本日最初の九州自然歩道の標識だが古すぎる

 8:20に神角神社にお参りして先に進む。この先で舗装路に合流。ここも鳥屋の集落の一部のようで、法面の草はしっかり刈ってあり、きれいである。道端には紫陽花が植えられていたが、これも手入れの状態は良好。

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神角神社

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集落周辺の手入れは良い

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よく手を掛けられた紫陽花

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 8:32に標高629mの峠を通過。ここにも古い標識が設置してあった。その先には城山への登山口。ここには鳥屋城という山城があったよう。

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標高629mの峠を通過

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城山登山口

 9:02に放牧場の横を通過した。5、6頭の放牧牛がこちらをしげしげと眺めていた。柵が終わるところから左折して非舗装路に進む。

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道路脇には搬出を待つ材木が並ぶ

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牧場では牛に睨まれた

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牧場の先から左に入る

 牧場横の道はメインテナンスの自動車が頻繁に通過するためか、轍がついており、歩きやすかった。その先の下り斜面は踏み跡がなく、迷いやすい。地図を見ながらゆっくりと歩を進め、9:12に国道442号線と交差する田の尻に到着した。

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そこそこ車の通った痕跡がある

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前に集落が見えてきた

 ここには把握できていないバス停があったため、時刻表をチェックしていると急に雨が降り出した。さいわい、バス停には屋根とベンチがあるので、ここでパンを食べながら小休止とした。

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田の尻バス停で雨宿り

 雨はなかなか止まなかったが、9:30に行動再開し、山越えの舗装路を進んだ。志屋の集落には牧草地が拡がる。のんびりとした風景の中を歩いているうちに雨は小降りとなってきた。

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牧草地を見ながら進む

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のんびりしたこういう光景には癒やされる

 10:10に県道との合流地点に着いたときには、雨はすっかり止んで日が差してきた。道路脇にラジコンカーレース場があったため覗きに行ってみた。すでに廃業しているようだった。残念。

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県道との合流点に到着

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ラジコンカーサーキットを覗いてみた

 小休止の後に10:25に行動再開。県道から山道に右折する。山道の周囲の草は刈ってあり、最近、重機で整備した痕跡がある。怪しいなと思いながら進むと、太陽光発電所が建設されていた。最近の山はこんなパターンが多い。木材の搬出か太陽光である。

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交通量の多い県道を100mほど歩いて、すぐに右の山道に入る

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いやに道が整備されている

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思った通り太陽光発電所が現れた

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それも何カ所も

 正面に久住を望む好立地であるが、まだまだ太陽光発電所を建てていくようだ。山道の脇には私道の道路使用に関する文書掲示が何カ所かに設置されている。太陽光発電の業者と軋轢でもあったかななどと考えながら先に進む。

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私道の使用に注意を促す文書が何カ所かに

 10:40に山道から舗装路に入り、しだいに高度を下げていく。木々の間から長湯温泉の町が見えてきた。下りの斜面にもキツネノカミソリと思われるオレンジ色の花が咲いている。

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500mほどの標高からしだいに高度を下げていく

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長湯の市街地とその向こうには久住連山

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斜面にはまたキツネノカミソリ

 11:05には長湯温泉の天満神社に到着。芹川に架かる橋を渡った向こうが長湯温泉の中心街のようだ。古くから続く旅館が多いよう。与謝野晶子と鉄幹の歌が刻まれた歌碑や、山頭火の句碑が道端に並んでいる。ぶらぶらと中心街を歩きながら、11:30にバス停のある道の駅ながゆ温泉に到着して行動終了とした。

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天満神社

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芹川を渡ると長湯の中心街

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与謝野晶子と鉄幹の歌碑

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山頭火の句碑

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バス停に到着

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道の駅ながゆ温泉

 大分駅行きのバスの時間は13:50で、あと2時間ほどもゆっくりできるため、町中を見物することにした。

 まずは長湯温泉療養文化館御前湯という由緒正しげな温泉に立ち寄る。玄関前に飲泉場があったため、カップを出してテイスティング。茶色の水。鉄の匂いが強くて一口でギブアップ。

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長湯温泉療養文化館御前湯

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飲泉は自分の口には合わなかった

 次に訪れたのはガニ湯。有名な温泉なのでご存じの方も多いと思うが、人間になって娘を嫁にしたいと願ったカニ(ガニ)の伝説のある温泉。有名な理由はこの伝説のためではなく、オープンエアーの温泉であるため。露天風呂というより、露出風呂といったほうがよいのか。そばにある橋の下で服を脱ぎ、衆人から丸見えの湯船に飛び込むのだ。無料なのだが、なかなか実行する人はいないようだった。私も遠慮しておいた。手を浸してみると、温度はやや低く、38℃を下回るぐらいだった。

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ガニ湯

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ぬるめのお湯だった

 最後に訪れたのはラムネ温泉。ここは32.3℃と湯温は低いものの、炭酸ガスの含有量が1300ppmと日本最高の数値を示す温泉。建物の設計は藤森照信。今日はここに浸かることにした。写真をお見せできないのが残念だが、魅惑的な建物の中に進むと、低温の高炭酸含有泉が1か所と、42℃から39℃ぐらいまで段階的に低くなる3つの温かい温泉が設置されていた。いずれもかけ流し。

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ラムネ温泉

 汗まみれの服を脱いで、かけ湯をしてから高炭酸含有泉に浸かると、身体中の産毛に気泡がまとわりつく。それを手で拭うと、お湯の表面にジュッと発泡する。最初は寒く感じていたが、次第に慣れてきていつまでも浸かることができる。

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不思議な雰囲気の建物

 ときどき温かい浴槽に浸かりに行っては、また低温の浴槽に戻る。そんな温泉を1時間ほど楽しんでから、13:50のコミュニティバスに乗って大分駅までの帰途に着いた。

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九州自然歩道110日目 2021年7月25日 大分県豊後大野市朝地駅~竹田市直入町長湯温泉 曇りときどき雨 28/22℃ 行動距離16.9km 行動時間6:00 30109歩

復路:道の駅ながゆ温泉13:50コミュニティバス大分駅8番乗り場15:30/要町16:02西鉄高速バスとよのくに号-博多BT18:40

九州自然歩道 109日目 巨大な岡城址と巨大な磨崖仏 大分県竹田市豊後竹田駅~豊後大野市朝地駅 2021年7月24日

 本日はJR豊後竹田駅近くのホテルからのスタート。7:00にホテルのパンと目玉焼きの朝食を摂ってから、7:50に行動開始。レトロな造りを模した駅舎の裏手の切り立った崖からは滝が流れ落ちている。

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レトロな造りのJR豊後竹田駅

 落門の滝という、駅舎越しに見られる滝として有名である。絵になる風景ではあるが、山の上に川が流れているはずはないなと思って調べてみると、第3代藩主中川久清の時に城原井路という灌漑用水を崖の上に引いてきたもの。町全体を庭園のように見立てたのだろうなと感じる。

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駅舎の向こう側の崖には落門の滝

 駅前に流れる稲葉川に架かる竹田橋を渡って市街地に進む。中心地は無電柱化されていて、レトロな街並みが映える。落ち着いた光景だ。

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駅前の竹田橋を渡って中心街に進む

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無電柱化された落ち着いた街並み

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 町外れまで進み、岡城公園の入口から坂を上り、8:25に岡城址に到着。目の前には巨大な石垣が聳える。

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岡城公園の坂を上る

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上った先には城壁が聳える

 本日の一番乗りだった。シャッターを開けたばかりの料金所で入城料を支払う。このところの雨で石段が滑りやすくなっているから気を付けるようにと注意を促される。

 左手に崖を見ながらアスファルトの道を200mほど進み、ゆっくりとした石段を登る。たしかに石段は苔むしていて滑りやすい。しかもこの石段は300mほども続く。受付の前に竹の杖の貸し出しがあったのも頷ける。

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料金所から左手に崖を見ながら進む

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この石段を登って本丸方面に進む

 石段の上にある大手門の石垣を通って場内に入る。立派な石垣で、重機のない時代にこんな仕事ができたと言うことが驚異。大手門から左に進むと西の丸に続く石段が見えてくる。これは両側を丸い石で装飾を施した石段で、いかにも城主を迎える舞台にふさわしい。

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迫力のある大手門

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西の丸の入口にあたる石段

 西の丸の西の城壁の端まで進むと、竹田の町がはるか下に見える。西の丸からは中川民部屋敷跡、賄方跡、籾倉跡と順路に従って進む。

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西の丸の上から竹田の町を望む

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周囲には多数の遺構が残る

 大手門近くまでぐるりと廻って城址の南壁に出る。前を見ると絶壁に守られた本丸が、後ろを振り返ると石垣のカーブが美しい西の丸が見える。

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東を見れば本丸を守る岸壁

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西には西の丸の城壁が聳える

 東に進んで太鼓櫓門跡をくぐり、三の丸跡の広場に出る。ここには岡城を詠った「荒城の月」の作曲者の滝廉太郎銅像が建てられている。

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太鼓櫓門をくぐる

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三の丸の広場には滝廉太郎銅像

 二の丸跡から石段を登ると本丸の高台に出る。南側は大野川を見下ろす絶壁。不思議なことに南の方から荒城の月の最初の4小節のメロディがユーフォニアムのような低音で繰り返し聞こえてくる。この方向には竹田高校があることから、吹奏楽部の低音パートが特訓しているのかと思ったが、あまりに長く繰り返しが続く。

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本丸に到着

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本丸の南は大野川まで絶壁

 気を付けて断崖の下を見てみると、大野川に沿った国道502号線に自動車が通過すると1秒ほど後でメロディが聞こえてくる。路面を一定の速度で自動車が走ると音楽が流れるメロディロードのようだ。この場所で聞こえてくる音としてはピッタリ。謎が解けてスッキリした。

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国道502号線が音源だった

 1時間近く岡城址を巡った後、9:20に下原門から下城。なんとも巨大な城跡だった。料金所でもらったパンフレットを見ると、1185年に源義経を迎えるために緒方三郎惟栄が築城し、大友氏の一族の志賀氏が居城としていた1586年には薩摩の島津の大軍を3度にわたり撃退し、難攻不落の城と知られたとか。たしかに北を稲葉川、南を大野川に囲まれた325mの天神山に築かれたこの山城は堅固な砦そのもの。しかも、スケールが大きい。

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本丸を囲う城壁

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東端の下原門から下城

 志賀氏の後は中川氏が1871年廃藩置県で城を去るまで277年間居城とされていた。明治の廃城令で1974年に建造物が競売に掛けられ、石垣のみが残されたとか。その後、人の入らない城山として荒れ果てていた頃、滝廉太郎がモデルにして荒城の月を作曲している。

 ここに城があった頃は、さぞや素晴らしい光景だったろう。自分がジェフ・ベゾス氏のような大富豪だったら、西の丸と本丸と天守閣の再興のための資金をポンと寄付するのになと夢想しながら岡城址を後にした。

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下原門から舗装路を下る

 岡城址から東に向かって勾配の強い滑りやすいアスファルトの道を恐る恐る下る。稲葉川の流れる水音が聞こえてくると、その先には竹田発電所が見えてくる。現在、発電所は改修工事中で建物は撤去されている。

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現在改修中の竹田発電所

 9:46に坂を下り終えて目の前の開けた河原が柱状節理の露頭で知られる十川(そうがわ)。ここの柱状節理は、9万年前の阿蘇の大噴火の際に流れ出た溶岩が冷えて固まった際に、6角形や5角形の規則正しい割れ目(節理)を形成しながらできたもの。稲葉川はここで川幅を狭めて勢いよく東に流れ、南から流れ込む大野川と合流する。

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十川の柱状節理

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南からの大野川と合流する

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見事な節理が形成されている

 九州自然歩道は柱状節理の岩の上に架けられたコンクリートの橋の上を越えて十川集落に向かって進むが、この橋は増水時には水中に隠れてしまう沈下橋のよう。

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沈下橋を越えて十川集落に進む

 十川柱状節理を越えて濁淵川に沿って十川の集落を抜ける。以前はこの集落が岡城の城下町だったようだが、加藤清正の進言を受けて竹田の町を開いたとのこと。

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濁淵川を上流に進む

 十川、狭田の集落を過ぎ、狭田橋を渡ってしばらく山中の道を歩く。道端のカンナが燃えるように赤い。

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狭田橋を渡る

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しばらく山道を進む

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燃えるようなカンナは夏

 10:16に井の向集落でほどなく舗装路に出た。舗装路を進んで早尾原の集落に入ると、自販機を見つけて小休止。喉を潤してから進み、早尾原古墳の案内表示を見つけ、人家の間を通り抜けて現場まで行ってみたが、草木に覆われた盛土が見えただけ。

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しばらくのんびりとした山間を歩く

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期待して寄り道したものの

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藪と化していた

 さらに500mほど進むと、普光寺磨崖仏の表示を見つけ、寄り道をすることとした。300mほど九州自然歩道から下った先には普光寺の立派な山門が見えた。本堂にお参りを済ませて振り向くと、谷を隔てた向こう側の切り立った崖に日本最大級とされる10mを越えるほどの不動明王が彫られていた。右には大きな空洞(龕、がん)の中に舞台が設置され、さらにその右の龕には投込堂が建てられている。

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普光寺に向かって進む

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山門をくぐって普光寺に

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谷の向こう側に磨崖仏と2つの龕

 せっかくなので、谷を下りて見に行くことにした。磨崖仏を近くで見るとさらに大きく、覆い被さるようにも感じる。階段を上り、中央の舞台に上ると、龕の中には多数の仏像。右の龕の投込堂にもお参りすることができる。磨崖仏にお参りした後は、本堂に戻り、11:00にベンチに座って持参したいなり寿司の昼食とした。

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近づくとさらに大きな磨崖仏

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舞台から投込堂にも行ってみた

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龕の中には多数の仏像が設置されている

 普光寺で一休みした後、11:35に行動再開。舗装路を快適に進み、12:08に用作三叉路を左折して中九州横断道路の下のトンネルをくぐる。

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用作には棚田が続く

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中九州横断道路を越えると朝地の町

 坂の下には家並みが見えてきた。小賀川の向こう側には朝地の町が拡がる。12:30に目的地に設定していた朝地駅に到着して行動終了。駅に併設された観光案内所でアイスクリームを食べながら休憩させてもらう。冷房が効いて心地よい。

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小賀川を挟んだ向こう岸が中心地

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朝地駅で行動終了

 今日は朝地駅から西に一駅、豊肥本線に乗車して竹田の町に戻ることとした。

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豊肥本線で竹田のホテルに戻る

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九州自然歩道109日目 2021年7月24日 大分県竹田市豊後竹田駅豊後大野市朝地駅 曇り 29/22℃ 行動距離12.2km 行動時間4:40 20955歩

九州自然歩道 108日目 神原渓谷の清流を眺めながら竹田の町に 大分県竹田市神原~竹田市豊後竹田駅 2021年7月23日

 今回の九州自然歩道トレッキングは祖母山の登山口にあたる竹田市神原集落からの再開。同地の民宿に前泊した。

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今回もお世話になった民宿清流

 このあたりのいきさつは、前回の107日目のエントリーに書いておいたが、祖母山からの下山途中に転倒して足首を痛め、同日は下山口近くの民宿に宿泊した。この民宿は、驚くほど料理のクオリティが高く、また翌朝はご主人が痛めた足を気遣って豊後竹田駅まで自動車で送ってくれた。

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まずはこんな夕食がセットされる

 この九州自然歩道トレッキングのルールは、公式ルートをもれなく踏破すること、再開地点までは公共交通機関を利用すること、離脱地点からも公共交通機関を利用することとしているため、ルール違反になってしまうが今回は勘弁して頂きたい。どうしてもこの神原の民宿に再び泊まりたかったからだ。ついでに言うと、豊後竹田駅からは竹田市の運営するオンデマンドのバスがあるので、一応は公共交通機関が利用可能なルートである。ただし、日曜の運行がないので、休日に祖母山に登ろうと考える登山客にはいささか利用しづらい運行条件である。竹田市にはその点は一考して頂きたいところ。

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骨まで食べられるエノハの唐揚げ

 どうしても前泊したかった民宿清流の紹介もしておこう。外見はただの民家を改造し、となりに鉱泉の山小屋風の風呂を設置したどこにでもあるような民宿。驚いたのはその料理。最初にテーブルにセットされたのはお造りと小鉢が数点のちょっとおしゃれな和食会席かと油断させておいて、そこから3点ほどフレンチテイストの皿でグイグイ攻めてくる。

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味噌とチーズのテリーヌ

 おもなものだけ解説するが、お造りは夏のカンパチ(当地の養殖カンパチは夏が旬)。手作り豆腐はオリーブオイルと天然塩で食べさせる。エノハ(ヤマメ)の唐揚げは骨まで食べられる火の通し方で。口直しに出てきたのが味噌とチーズのテリーヌで、発酵×発酵の強烈なパンチ。最後は豊後牛をミディアムで焼いて、ジャポネソース(たぶん)で。付け合わせのトマトの糖度が10度!近くて、これもビックリ。デザートにはシャーベットにモモと焼きたてのビスケットを添えて。

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豊後牛のステーキ 付け合わせの野菜のクオリティも高い

 ここ神原は、最初の店舗まで自動車で30分近くかかる、ユネスコエコパークに認定された秘境。こんなところで食べられる料理ではないんですけど、と思いながら、今回も料理を堪能した。

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デザートのシャーベットにはモモと焼きたてのビスケットが添えられる

 シェフはフランスで料理修業をされたまだ若手。美味しいと褒めると喜んでくれるが、お世辞抜きに美味しい。料理の技術もアイディアも優れているが、素材もまた素晴らしい。

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民宿の前の川も美しい

 客室はほんの数室で、知られてしまうとすぐに予約の取れない民宿になってしまいそうで、あまりみんなに知らせたくはないが、この民宿にはまた、晴れた日に祖母山に登るために再訪したいと思っている。(民宿清流 0974-67-2612)

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朝食のカボスの味噌汁!も意表を突かれて美味しい

 さて、トレッキング再開の本日は民宿でガッツリと朝食を頂いて、7:50に行動開始。ご主人が痛めた足を心配して、玄関の外までお見送りに来てくれた。

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手を振ってスタート

 まずは県道8号線竹田五ヶ瀬線を竹田の市街地に向かって進む。雨はパラつく程度。道路の右手には清流が流れる。川の音を聞きながら心地よく歩く。足首の状態は、平地を歩く程度ならば問題はない。

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県道8号線を進む

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清流の川の音を聞きながら進む

 8:15に神原渓谷大橋の下をくぐる。川の水の色は透き通るよう。嫗岳(うばたけ)郵便局を通過。その先にはコンクリートの橋が見えてきた。橋桁は低い。増水時には水面下になる沈下橋かもしれない。

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神原渓谷大橋の下をくぐる

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川の水は透き通る

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前方の橋は沈下橋

 9:02に門田の三叉路を右折した。この辺りで雨が強く降り出したため、レインコートを着用。この辺りの川では火山岩が冷却中にできる六角形の柱状節理が見られる。川幅が狭く、水の勢いは強い。

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柱状節理の見える川岸

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絵になる川の流れ

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 9:10に出会橋から県道8号線を離れて、対岸の非舗装路を進む。こちらに進む理由はすぐに分かった。明正井路という大正時代に作られた石でできた水道橋をくぐることができるからだ。長さは90m。美しいアーチの水道橋である。下を流れる川の色は深い緑。

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出合橋からは非舗装の道を進む

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石造りの水道橋が見えてくる

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深い緑色の川

 さらに足元の悪い道を進むと竹田湧水群の最初の湧水である塩井湧水に9:27に着いた。さっそくザックからカップを取り出しテイスティング。美味しいような気がする。周囲は水田。宮崎に比べると、田植えの時期はかなり遅い。

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さらに川沿いの道を進む

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塩井湧水

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ここで水を汲むことができる

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カップテイスティングしてみる

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周囲は美しい緑の水田

 集落の中を進み、さらに地図に従って進むが、10:00に九州自然歩道は圃場で行き止まりとなっていた。害獣避けの柵があるが、その先の道は消失している。やむなく沈下橋を渡り、県道8号線に迂回した。

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沈下橋を渡って右岸の県道に戻る

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この辺りにも柱状節理が見える

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県道沿いには花が多い

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 県道を進み、10:27に牧の城集落の長瀬橋で九州自然歩道に復帰。県道8号線は長瀬橋を渡って左岸に進むが、九州自然歩道は右岸の山道に入る。

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右岸の山道を進む

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 10:51に入田(にゅうた)橋を渡り、県道8号線に復帰。三叉路の商店に自販機があったため、飲料水を購入して小休止。ここで、大雨に遭遇。降っては弱くなり、降っては弱くなると繰り返すため、なかなか出発するタイミングが図れない。ようやく11:20に行動を再開した。

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入田橋を越えて左岸に戻る

 雨が降る中を進むと、道路脇に泉水湧水があり、数台の自動車が止まっている。大きなポリタンクで水を汲んでいる人がいるため、ここでもカップを取り出してテイスティング。水辺の草を摘んでいる人がいたので声をかけると、イタリアンの出張シェフが水汲みに来たついでにクレソンを摘んでいるとのこと。竹田の湧水群ではここが一番美味いと推薦してくれた。ついでに、神原のフレンチのことを尋ねると、業界でも有名とのこと。話しているうちに、また雨が強くなってきた。しばらく湧水の木の下で雨が弱くなるのを待つことにした。

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道路脇の泉水湧水にも車が集まる

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泉水湧水にはクレソンが生えている

 雨宿りの後、しばらく歩を進めて12:00に河宇田湧水に到着。ここには広い駐車場があり、水くみの方たちで混み合っている。隣には中華蕎麦の店があり、こちらも行列。あまりに人が多いので、カップ1杯のテイスティングの後、歩き始めるとその先には中島公園河川プール。川をせき止めた楽しそうなプール。ここも多くの子供連れで賑わっている。

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河宇田湧水は人で混み合う

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河宇田湧水の先にある中島公園河川プール

 県道8号線をさらに進み、12:12に入田三叉路に到着。地図ではここで九州自然歩道は山道に入るが、この先は廃道化との事前の情報がある。今回は無理をせずに舗装路に迂回。12:27に2つのトンネルの間の山道に右折して山道に進む。

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地図ではここから山道に入る

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2つめのトンネルの手前で山道に右折

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 右手から九州自然歩道が合流するはずであるが、標識は見当たらず、先に進む。九州自然歩道の標識は見つからなかったが、道ばたに次の目標地点の小富士山登山口の手作りの標識を見つけ、畑の中の道に進む。道はだんだん心細い状態になり、最後は久しぶりの藪漕ぎ。草と蜘蛛の巣をかき分けて進み、杉の植林の中の道に出る。

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九州自然歩道との合流地点は見つからず、手製の標識に従って進む

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だんだん怪しい状態になり

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最後は藪漕ぎ

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蜘蛛の巣にまみれて進む

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がまんして進むと山道が現れる

 しばらく進むと、墓陵に続く石塔が現れ、100mほどコースを外れて山に登り、13:15に竹田の藩主を長く務めた中川家の墓陵に到着した。竹田市街を眼下に望む、といいたいところだが、樹木が勢いよく伸び、眺望は期待の半分ほど。手を合わせてから先に進む。

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石塔が現れたら上に向かって進む

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中川家の墓標が建つ

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竹田の町を見守る位置にある

 山中の道をしばらく下る。雨がまた強くなってきた。片が瀬集落の公民館の軒先を借りて、13:47から民宿で作ってもらった弁当の昼食とした。ちょうど雨脚が強くなるタイミングで、よい雨宿りとなった。

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舗装された山道で山を下る

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公民館の軒先を借りて弁当を食べるうちに日が差してきた

 14:19から行動再開。両側を畑に囲まれた直線路を抜け、14:30に鞍が田尾集落で左折。カーブを曲がりながら高度を下げ、14:51に滑瀬橋で国道502号線を越えた。

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鞍が田尾集落に向かう直線路

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カーブの向こうに川が見える

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滑瀬橋を越える

 トンネルを抜けると竹田の町に入る。トンネルの手前に九州自然歩道の上り口があったはずだが、どうもその辺りの法面はコンクリートで固められているよう。

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かつてはトンネル手前の法面を上る道があったよう

 トンネルを抜けて、岡城公園への入り口を曲がり、素掘りのトンネルを抜けると、15:11に岡城の石垣が正面に見えた。

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素掘りのトンネルを抜ける

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城址に到着

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城壁を眺めて引き返す

 城址は明日の楽しみに取っておき、稲葉川に抜け、川に沿って進んだ。しばらく川を見ながら歩いて16:00に豊後竹田駅近くの竹田温泉で行動終了。

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稲葉川に架かる人道橋を渡る

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川沿いに町に向かう

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竹田温泉で行動終了

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九州自然歩道108日目 2021年7月23日 大分県竹田市神原~竹田市豊後竹田駅 雨 28/22℃ 行動距離20.8km 行動時間8:14 35145歩

往路:西新9:16福岡市営地下鉄-博多9:19/博多バスターミナル9:41高速バスとよのくに号-大分駅要町13:37(1時間半遅れ)/大分13:47-豊後竹田14:59/送迎自動車-神原(コミュニティバスあり)

九州自然歩道 107日目 終日水行此如何 宮崎県西臼杵郡高千穂町五ヶ所~大分県竹田市神原 2021年7月17日

 昨夜は疲れ果てて、昼食の残りのおにぎりを食べただけで眠りについてしまった。ときおり響くシカの鳴き声を聞きながらぐっすり眠っていたら、夜半に大きな音で目を覚ました。原因は雨。四阿の下に入り口が隠れるようにテントを設置していたのだが、屋根の下に入らない頭の部分には、テントに直接雨が降りつける。もともとテントというのは雨音が響きやすいのだが、それでもこの雨は猛烈だ。新橋のガード下で、山手線と京浜東北線が同時に入線したときよりもうるさいぐらい。雨音を聞いていると恐ろしくなってきた。

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霧と雨のため、朝になってもなかなか明るくならない

 大雨の音でうつらうつらして朝を迎えた。幸い雨は小降りに変わっていた。5:00に起床したが、霧に包まれており、明るくならない。天気予報をみると、今日は一日中降水確率が100%。おまけに雷雨注意報まで出ている。本格的に降り出す前に、急いで荷物をパッキングした。

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荷物をまとめて出発準備

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周囲は牧草地の高原

 5:50に行動開始。歩き始めるとともに大粒の雨が降り出し、あわてて四阿に戻って上下の雨具を装着した。遠くから雷鳴が聞こえてきた。最近の天気予報は本当に精度が高い。雷の発生まで当ててしまう。三秀台を降りたところで、屋根のあるバス停を見つけた。ここでしばらく雨宿りした。

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激しい雷雨に襲われた

 雨は覚悟でどうにかなる。問題は対応策のない雷だ。雷鳴はだんだん近づいてきて、閃光の5秒後には音が鳴り響くようになってきた。距離はおよそ1.5km。バス停の小屋の中で、本日の計画を再検討してみた。

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バス停の中で行動計画検討

 このバス停から高千穂バスセンターまでのコミュニティバスは1日3本ある。いまなら、ここから福岡に引き返すこともできる。もし先に進んだら、標高差800m、15kmの道のりを進んで祖母山の山頂に到り、そこから5km標高差1500mの急傾斜の山道を下ることになる。下りの斜面はすでに大分県竹田市。当地の天気予報は午後には60%の降水確率と改善傾向。天気予報に賭けてみることにした。しばらく雨宿りしていたら、雷鳴がずいぶん遠くなっていったので、6:40にバス停を出て、とりあえず行動を再開した。

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とりあえず行動再開

 県道8号線を進み、五ヶ所集落から右折して祖母山の登山口に向かう。雨は強く雨具を打つ。

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五ヶ所から祖母山登山口に向かう

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雨は容赦なく降る

 前方に尖った山頂が見えてきた。地図を確認するとおそらく三尖という山。そのまんまの名前。舗装路から砂利道に変わるが、歩きやすい。その先にも高い山が出てきた。おそらく黒岳。黒岳、親父山、障子岳と1500mを越える山々が祖母山まで連なっているはずだが、雲のために手前の方しか見えない。

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おそらく手前が三尖で、奥は黒岳

 7:57に広い駐車場のある一の鳥居に到着した。ここから先の舗装状況は良好。雨さえ降っていなければ、よっぽど快適だと思う。

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一の鳥居

 8:30に北谷登山口に到着した。ここにも広い駐車場があり、小屋、トイレがある。小屋でしばらく休憩し、ナッツの朝食とした。

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北谷登山口の小屋

 小屋の中で登山届を記入し、8:50に行動再開。カウンターを1回押して、登山道に進んだ。しばらく急な斜面を登る。木々が勢いを和らげてくれるものの、雨は依然として強い。雷鳴は鳴り止んだ。山で雷は危険なので、いつまでも鳴り止まない場合は撤退する覚悟は持っていたので助かった。

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カウンターを1回押して進む

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登山道に進む

 9:43に稜線に出た。木の下で小休止。荷物を下ろすと楽になる。まだ身体ができていないようだ。

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2合目、3合目と、標識はきちんと整備されている

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しばらくは傾斜は強いが登山道の整備状況は良好

 稜線に到達すると、ここからは緩やかな山道になる。千間平と名付けられている。木々の間を進み、5合目の標識を通過した後、10:05に宮崎、熊本、大分の三県境に到着した。ここには小さな境界標識が立つだけ。

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稜線に到着して一休み

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稜線からは緩やかな道が続く

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三県境

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その先もなだらかで快適な山道

 10:54に視界が開け、国観峠に到着した。九州自然歩道のオリジナルコースは、ここで左折して大分側に下山していくのだが、あと1時間も歩けば祖母山の山頂だ。迷わず山頂を目指すことにした。

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開けた草地が国観峠

 国観峠から先はやや傾斜が強く、滑りやすいが、危ないところにはローブが設置してある。さすが百名山は整備状況がよい。

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8合目を通過 国観峠からは傾斜は急になる

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9合目を通過

 11:52に9合目を過ぎ、もう一踏ん張りで12:04に1756mの祖母山の山頂に到着した。このとき雨は止んでくれた。しかし、残念ながら一面の雲で眺望はなかった。

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先が明るく見えてきた

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山頂に到着

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山頂には祠が建つ

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残念ながら本日は雄大といわれる眺望はなし

 写真を撮ってから、雨が降り出さないうちに下山を開始した。300mほど進んだところで右折して、少し遠回りになるが避難小屋に立ち寄ってみることにした。

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回り道になるが9合目避難小屋に向かう

 12:30に9合目小屋に到着したが、よく整備されていて感心した。以前は市が管理する有料の有人小屋だった。現在は無料の避難小屋として開放されている。ここで、上から下までずぶ濡れになった服を干して、しばらく休憩とした。

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立派な小屋だった

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小屋の中も快適

 1時間ほど小屋で身体を休めた後、13:40に行動再開。14:07に国観峠に到着した。今度はここから北に進み、竹田市に向かう。

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国観峠を経て

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竹田市神原に向けて下山開始

 国観峠からは下りのみだが、傾斜がきつい。荷物を持ったときは、上りは身体への負担が大きいが、下りは危険だ。気をつけてゆっくり下る。

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下山路はかなりの急斜面が続く

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木道が付けられている

 一人で登ってきた登山者に出会った。北九州からの登山客で、午前中の雨で登山を諦めようと思ったところ、昼から雨が上がったので登ってきたとのこと。徒渉地点が何カ所かあるが、いずれも増水して危険なため、気をつけるように言われた。

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下山路も美しい

 この辺りはブナの森。雨が止んで、雲を通った柔らかい日差しが差してくると、緑が美しく映える。大きな水の音が聞こえる。山頂からまだそれほど下っていないのに、連日の雨のせいか、ものすごい水量だ。谷川というよりも、傾斜が強いため滝となっている。

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ブナの森に豊かな水が流れる

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 14:48にさきほど注意を受けた渡渉地点についた。ローブが渡してあるが、膝上の徒渉となる。倒木に足をかけて、滑る岩にしがみついたが、ザックの一部は水没した。この先も何カ所か、膝下の徒渉を行う。一度濡れてしまうと、その後は何も抵抗がなくなる。しかし、ふやけた靴下がつま先を圧迫して、左の親指の爪が剥がれかけてきたような気がしてきた。

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徒渉地点に到着

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ふだんは足首ぐらいの徒渉地点が今日はヒザまで迫る

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こんな徒渉も気が抜けない

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でもさすがに百名山の整備状況は良い

 15:47に5合目小屋に到着。ここは大きい小屋だか、無人ですこし薄気味悪い。中には入らず、外で休憩した。小屋の横を流れる川には御社の滝。

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5合目小屋も立派

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すぐ下には御社の滝

 ここから先の山道は川沿いに進む整備状況のよい山道。渡渉地点があったが、もう気にならない。歩きやすいように木製の階段が設置してあったのだが、雨のために非常に滑りやすく、うっかり出した足が滑って左足首を捻ってしまった。それほど強い痛みはなかったので、気にせずそのまま歩き続けた。

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渓流沿いの心地よい道

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水量は豊富

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川の流れにはうっとりとする

 16:30には登山口駐車場に到着した。予想どおり、本日の登山客は1名のみ。

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神原登山口に到着

 本日滞在を予定している神原集落までは残り3kmほど。2車線の舗装道路が続くが、自動車はまったく通らない。最後の力を振り絞って歩いていたが、途中で脱水症状が生じて、道ばたでダウンしてしまった。10分ほど横になっていたら回復してきたため、残り1kmを進む。

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高規格の舗装路に出る

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途中で脱水症状が出てきてふらつく

 17:54に本日宿泊の民宿に到着。窓から山が見える絶好のロケーション。さっそく鉱泉のお風呂に浸かって筋肉をほぐす。お風呂も川沿いで、窓から爽やかな風が入る。

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やっとのことで予定していた民宿に到着

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落ち着いた民家風

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窓からの景色が良い

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お風呂からの景色も素晴らしい

 なによりも食事が素晴らしかった。和食ではあるが、なぜかソースにもこだわりがあり、フレンチのコンセプトを感じる。聞けばご主人はフランスのトゥールーズで料理を学んだ後、湯布院で働き、地元のこの地で民宿を開いたとのこと。

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食事には感激した。この他にも4品。

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ゆっくりと食事をとることができた

 食事が終わった頃に、同宿の二人組の男性が話しかけてきた。明日、祖母山に登るという。しばらく山の話しや宮崎の古墳の話しなどをして盛り上がる。

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エノハ(ヤマメ)の塩焼き。ソースにもこだわりがある。

 最後にデザートのシャーベットを頂く。これも美味しい。

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デザートにはカボスのシャーベット。添えられたポン菓子にはサフランで香りが付けてある。

 部屋に戻って布団に倒れ込む。下りで痛めた左足首が痛んできた。明日、歩けるかどうか心配しながらウトウトと眠りに入っていった。

 

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九州自然歩道107日目 宮崎県西臼杵郡高千穂町五ヶ所~大分県竹田市神原 雨のち曇り 24/19℃ 行動距離21.1km 行動時間11:59 41442歩

 

2021年7月18日後記

 翌朝、民宿の布団で目を覚ますと、左足首が痛くて立ち上がれない。昨日の木製階段で滑って転倒した際に捻挫してしまったようだ。本来の今日の予定は、竹田市神原から湧水群を見て、岡城まで20kmほど歩いて、豊後竹田駅から帰途につく予定だったが、20kmも歩く自信はない。

 朝食の時に、畳に座ることができないため、椅子を用意してもらった。痛がる私を見て、ご主人は豊後竹田駅まで自動車で送りましょうと言ってくれる。ふだんから宿泊客の送迎もしているとのこと。

 九州自然歩道トレッキングを中断することになるが、次回、この民宿に前泊して継続するという手もある。むしろそれがいい。もう一度、あの夕食を楽しみたい。

 ということで、3日連続で進むはずだった九州自然歩道トレッキング再開編だが、今回はウィルスではなく、外傷による中断と相成った。人類のウィルスへの勝利の証と張り切って歩いたものの、多難な幕開けを予感させる。

 

復路: 竹田市神原民宿清流送迎(平日のみオンデマンドコミュニティバスあり)10:30-豊後竹田駅11:00/12:12豊肥線大分駅13:23/要町バスターミナル14:02-博多バスターミナル16:42

九州自然歩道 106日目 2か月ぶりの九州自然歩道 宮崎県西臼杵郡高千穂町竜泉寺~高千穂町五ヶ所 2021年7月16日

 全国128±100名ほどの九州自然歩道トレッキングファンの皆様、長らくお待たせしました。2か月もご無沙汰してしまいました。この間、何があったかはさておき、人類がウィルスに勝利した証として(COVID-19以外ですが)、ここに九州自然歩道トレッキングの再開を宣言いたします。

 本日、金曜日は有給休暇を取得して宮崎県高千穂町にやってきた。出勤日と同じ時間の6:15に起床して、シャワーを浴びて朝食を摂った後、ザックを担いで西新駅に向かった。7:39の会社に向かう人たちで満員の地下鉄に乗り込み、周囲の冷たい視線に15分ほど耐えた後に博多駅で下車。博多駅のバスターミナルから、高千穂行きの高速バスに乗り、定刻よりやや遅れて11:50に高千穂バスセンターに降り立った。15分ほどコミュニティバスの到着を待ち、12:23に前回5月18日に九州自然歩道を離脱した竜泉寺バス停に到着した。福岡を出るときは快晴だったが、本日の高千穂の天気予報は雨。バスを降りた時には小雨がパラついていた。

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九州自然歩道トレッキング再開地点の高千穂町竜泉寺

 12:25にYAMAPの地図を祖母山に設定して行動開始。現在の気温は23℃だが、湿気がひどくてムシムシする。上野川に沿って敷設された舗装路を北上する。スタート地点は標高400mほどだったがすぐに500mを超えた。12:48に集落の最後の人家を過ぎた辺りで、すでに息が上がってきた。2か月ぶりのトレッキングに、まだ身体がついていかない。

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上野川に沿った道を進む

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勾配はきつく、すぐに息が上がる

 親父山林道では木材の搬出作業をしていたが、私に気がつくと作業を止めて、重機のアームを回転して通してくれた。ときおり雨が降ってきて身体を濡らすが、どちらかというと涼しくてよいぐらいなので、雨具は着けずに歩いた。

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木材の搬出作業中

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林道をずんずん進む

 13:25に林道親父山2号線は終点となり、四季見原キャンプ場に向かう舗装路に合流した。ここでしばらく小休止。すっかりなまってしまった身体を休ませる。

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林道の終点でしばし休憩

 四季見原に向かって進むと、5分ほどで上野川に架かる橋に出た。橋のたもとに、竜が岩滝遊歩道の看板がある。舗装路を進むよりもショートカットになりそうなのでこちらを選択。渓谷に沿ってコンクリートの階段が設置してあり歩きやすい。ここ何日かの雨で水量は多く、ものすごい轟音が聞こえてくる。しばらく進むと橋があり、それを渡ったところに竜が岩滝。50mほどの落差の見事な滝。周囲には紅葉がたくさん生えているので、紅葉の頃にはさぞ美しいだろう。

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上野川に架かる橋のたもとから遊歩道が始まる

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渓流に沿った遊歩道を進む

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美しい水の流れ

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落差50mの竜が岩の滝

 滝から階段をしばらく上ると竜が岩滝遊歩道は終わり、13:56にふたたび先ほどまでの舗装路に合流した。足がつってきたのでここで小休止。

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ふたたび舗装路に合流

 ふたたび歩き始めると道路左の斜面に親父山キャンプ場が見える。ただし、ここはしばらく管理されていないようで、草木が生え放題。状態のよい舗装路だが、勾配はかなりきつく、汗が噴き出てくる。14:33に道路脇に谷川が流れていたため顔を洗って小休止。今日は休みが多い。

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廃キャンプ場か?

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谷川で顔を洗う

 14:46に四季見原キャンプ場に向かう舗装路と分かれて、左の山道に進む。この時点で標高は1200m。ずいぶん高度が上がった。

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この標識から舗装路を離れる

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こんな山道

 山道は200mほどで舗装路と合流したが、またすぐに九州自然歩道の標識が出て、右折して山道に進んだ。この山道はやや荒れたどうと言うことのない道。多数のシカに遭遇した。崩落箇所もあり、ほぼ並行して舗装路が整備されているので、無理をして通行する必要はないかもしれない。

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すぐに舗装路から右の山道に進む

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ところどころ崩落した廃道のよう

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しばらくゴロゴロ石の山道を歩く

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舗装路に合流

 15:34に舗装路に合流した。このあたりで、雨が強くなり、ザックにレインカバーを付け、レインコートを装着した。良好な舗装路続く。自動車の通行はない。

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雨が強くなってきた

 16:08に両足が攣って小休止。しばらく舗装路に座って筋肉がほぐれるのを待った。

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道路の脇でしばし休憩

 16:31に黒原越の峠を通過した。依然として良好な舗装路が続く。この辺りで舗装路から外れて林道に進む右折ポイントがあるはずなのだが、見つからないため舗装路を進む。

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黒原越を過ぎる

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ときおり雨が強くなる

 地図を見るとかなり迂回しているが、17:05に九州自然歩道に合流した。舗装路の先には、牧草地や五カ所集落の家が見えてきた。このころから降り方がひどくなってきた。レインパンツも装着して歩き始める。ここでまたすぐ山道に左折するところを見落としてしまった。やむなく、舗装路を迂回して九州自然歩道に戻った。

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木々の間から集落が見えてきた

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九州自然歩道はこの下に並行していたようだ

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ここで右から来る九州自然歩道と合流

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ふたたび分岐点を見失い、舗装路を迂回する

 しばらくは牧草地の中を進む。周囲にはシカが多く、山の中腹の草地には数頭が群れているのが見える。自分の姿に気がつくと、「キー」と鋭い警告音を発して木々の中に入っていく。

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九州自然歩道は牧草地の中だった

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シカの足跡があちらこちらに

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牧草地の丘陵を歩くのは心地よい

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ときおり標識があって安心する

 1時間ほど牧草地の中の道を進み、大きなウシの飼育舎を通過して、18:18に県道8号線との分岐に到着した。正面には三秀台という小高い丘。その名は、祖母山、阿蘇山久住山という九州中部の名峰を一度に眺められることで付けられたが、残念ながら本日はいずれも雲の中。

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牛舎の脇を通過する

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県道8号線の向こうが三秀台

 18:30に三秀台のウエストン碑に到着。Walter Westonは英国の聖職者で、明治期に日本各地の山々を登り、日本アルプスという名を始めて使ったと言われている。Weston卿が祖母山に登頂したことがあるとのことで、三秀台には彼の碑と鐘が設置されている。鐘をカランコロンと鳴らして、行動終了。雨の中をテントの設営を行い、とりあえず横になった。今日はクタクタで、夕食を作る気力も起こらない。

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ウェストン碑の鐘。カランコロンと良い音で鳴る。

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ウェストン卿

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2021年7月16日 九州自然歩道 106日目 宮崎県西臼杵郡高千穂町竜泉寺~高千穂町五ヶ所三秀台 曇りときどき雨 25/19℃ 行動時間6:10 行動距離17.5km 32415歩

 

往路交通:西新7:39-博多/博多BT8:25西鉄高速バスごかせ号-高千穂バスセンター11:44/12:05高千穂町ふれあいバス-竜泉寺12:21