今朝はあまりの寒さで目が覚めた。気温は3℃だった。想定外の冷え込み。宮崎には一年中アロハシャツで過ごせるようなイメージがあったが、そんなイメージはガラガラと崩れ去ってしまった。そういえば昨夜は星がきれいだった。5:20に寝袋から這い出し、6:25に行動を開始した。
若山牧水記念文学館の前を通過して坪谷川を越える。たしか、中学校の教科書に載っていた若山牧水の歌がこれ。
「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」
この歌は当時から自分に刺さっていた。しかし、それ以上に中学校時代の思い出で若山牧水といえば、愛知県豊橋市の古本屋。初めて入る古本屋に緊張して、ガラス越しに中を眺めると、気難しそうな眼鏡をかけたおじさんが奥の帳場に座って何か読んでいる。引き戸を開けて入った私にはチラッと一瞥しただけで、挨拶はない。おずおずと手前の方から棚を眺めて、奥の方にたどり着いた。帳場の上に掛けられた額を見たら、若山牧水の手紙だった。この瞬間から、若山牧水ときたら、古本屋の眼鏡のおじさん。いまでもこの古本屋はあるだろうか?たしか、松葉通りにあったのだが。
町中を走る国道446号線をわずかに東に歩き、すぐに標識に従って左折して、西ノ内川に沿って北に向かう道に入る。
しばらくは舗装路を歩くが、人家が途絶えた7:10あたりで舗装路から砂利道に変わった。
砂利道はコンクリート舗装に変わり、急坂になった。7:35に庵登集落を通過したが、廃屋が数軒あるだけ。
その後、ふたたびアスファルト舗装路に変わり、7:47に登山口への分岐に到着した。九州自然歩道ポータルサイトのコースとヤマトホの進んだ進路は直進だが、YAMAPの登山道と九州自然歩道の新しい白い小型標識は左を指している。迷ったが左折して進むと、また白い小型標識が出て右を指している。標識に従って進み、7:58に鉄塔の設置現場に出た。ここでポータルサイトの地図とYAMAPの登山道が合流した。
ここには真新しい送電用鉄塔が建設されていて、そのために周囲が整地されている。資材を運ぶためだろうか。索道も設置されたままになっている。ここまでの山道も新しく整備して、法面補強をしており、九州自然歩道は新しくこちらに誘導しているよう。鉄塔にはまだ送電線は張られておらず、これからまだ一連の送電線設備が作られるのかもしれない。
伐採されたスギの切り株が座るのにちょうどよい高さにあるため、ここで小休止とした。眼下に東郷の町が見える。荷物の軽量化のため、本日用意した朝食は大豆バー1本のみ。物足りない。
8:09から行動再開。ここからは、蛸鹿さんやヤマトホでも紹介されている珍神(うずがみ)山の直登階段。標高394mの登り口から823mの頂上近くまで、南尾根になんの迷いもようなひたすら真っ直ぐに設置された階段を上りはじめる。ところどころ勾配の緩やかなところに階段のないところもあるが、基本的には無限に続くかと思われるほど長い真っ直ぐの木製の階段を上る。よくもこんなに長い階段を整備したものだと感心する。
9:11に珍神山(823m)の頂上に到着した。ここでは牧水公園で購入したカルピスウォーターを飲んで小休止。北斜面のスギの植林が伐採されているため、北にある美郷町西郷の方向の眺望がよく見える。
今日はバスの時間が14:27なので、気に掛かる。わずかな小休止の後、すぐに下りはじめた。整備状況の良好な南尾根の階段とはまったく異なり、下り道は踏み跡が不鮮明。珍神山の南斜面は広葉樹が拡がっていたのに対し、北斜面はスギの植林がなされているためか、シカ除けのネットが張り巡らされている。行きつ戻りつして、GPSで方向を確認しつつ藪の中を進んで林道まで下ることができた。林道に出るまでの最後の200mほどは、ノイバラの茂みを進んだため、露出した皮膚は傷だらけになってしまった。
ヤマトホのルートは林道を横断して、そのまま真っ直ぐ藪の中を下降するように突き進んでいるが、いくら探しても下り口も踏み跡もない。しばらく林道の東西を歩いて下り口を探すが、やむなく九州自然歩道の標識が指すように、林道を西に大斗の滝(おせりのたき)に向かって進むことにした。
林道歩きは快適だった。歩きやすい砂利道で、山の麓には美郷町の市街地が見える。正面には標高700mほどの九州山地の山々がどこまでも連なる。
10:08にヤマトホの選択したコースと合流した。ヤマトホコースも、藪を抜けた後は林道になっていたようだったようだ。さらに50mほど下には舗装された林道が見える。地図を見ると、これが九州自然歩道のよう。10:15に林道の間をつなぐ舗装された連絡路を下って、正式な九州自然歩道のコースに戻ることができた。林道から見える山の青葉は燃え立つよう。
1kmほど林道を下り、11:08に溝の内川に沿ったところまで出た。右手に渓流を眺めながら、スギ木立の中を快調に進む。渓流と山の組み合わせは最高に美しい。
11:37に国道388号線に出て、11:44に槇の鶴集落を通過した。11:53に通過した国道388号線上の小川集落には自販機があったため、飲料水を飲んで小休止とした。
小川集落からは国道に沿って左折し、12:02に小谷集落に到着。ここからは国道を離れて、左折して山道に入る。道端にミツバチの巣箱の置いてあるのんびりした道だと思っていたら、だんだん人気のない悪路に変わる。しばらくは藪をかき分けて進むが、ほんの少しの辛抱で、豊前坊神社からは状態のよい舗装路に変わってホッとした。
しばらく舗装路を歩き、12:36に町道との分岐を左折して、正面に標高898mの日陰山を眺めながら西に進む。
12:48に横八集落で町道102号線に右折して北に向かう。500mほど歩いた神門原集落から、九州自然歩道は左折して日陰山の山中に向かう。美郷町役場前からのバスは、7時台、9時台、14時台、18時台の4便があるが、14:27に乗らないと宮崎からの帰りの飛行機に間に合わない。12:57に神門原の交差点で九州自然歩道を離脱して2kmほど北の美郷町田代の集落に向かう。
13:10に愛宕集落を左折してふたたび国道388号線に戻り、13:25に美郷町役場にて行動終了とした。
2021年4月18日 九州自然歩道 99日目 宮崎県日向市東郷町 牧水公園~宮崎県東臼杵郡美郷町田代 美郷町役場 晴れ 17/3℃ 行動時間7:01 22.5km 40047歩
復路: 美郷町役場前14:27-日向市駅東口15:26/15:34日豊本線特急ひゅうが13号-宮崎16:21/18:43特急ひゅうが15号-宮崎空港18:53/20:40ANA4958-福岡空港21:20