九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 80日目 鹿屋の思い出は薔薇の香りと櫻の花 鹿児島県鹿屋市横尾岳~鹿屋市今坂 2021年1月31日

 昨夜は標高420mほどの横尾岳公園にテントを設営した。夜中にテントを出て空を見上げた。月齢は16.9日で非常に明るく、ライトなしで芝生の上を走ることができそうなほどだった。オリオン座が天頂近くに輝いていた。月明かりがあるにもかかわらず、オリオン座の中にたくさんの星が輝いている。写るかどうか分からなかったが、写真を撮ってみた。星の数が多すぎて星座が分からないほどだった。

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カメラを手に持ってオリオン座を撮影してみた わかるかな?

 朝は6時前に目が覚めた。気温は0℃。テントの中を暖めるのと、身体を温めるために、お湯を沸かし、コーヒーを淹れた。テントの中に馥郁たる香りが漂う。コーヒーを楽しんでからテントの外に出ると、東の山の端から太陽が出るところだった。太陽がすっかり顔を出したのを確認してから撤収作業を開始した。

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軽量化のためにアルコールバーナーを試用中

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テントを出たらちょうど日が昇ってきた

 7:40に撤収作業を終え、鹿屋の市街地を眺めていると、航空自衛隊鹿屋基地の滑走路あたりから飛行機のエンジンのアイドリング音が聞こえてきた。アイドリング音は次第に高い音に変わり、滑走路の上の金属色の小さな点が南端に移動したかと思うと、音が急に大きくなり、白い飛行機が離陸した。飛行機が薩摩半島の方向に飛んでいくのを見届けてから、本日の行動を開始した。

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山上から飛行機を見送って出発

 横尾岳公園から下山を開始し、7:58に林道との分岐に到着した。ここからアスファルト舗装の快適な林道を下っていく。本日は雲量0の快晴。空が青い。林道は北西に向かって斜面を下りるが、東に西にカーブを描いて下りていくため、志布志湾が見えたり、錦江湾が見えたり、木々の間からの景色を楽しむことができる。麓が近くなってきたところでキャンプ場の標識を見つけたため、覗きに行ってみたら、すでに太陽光発電の機材が設置してあり、キャンプ場は跡形もなかった。

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快適な林道を下りていく

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本日快晴

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志布志湾まで見渡せる

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キャンプ場の標識を見つけて覗きに行った

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すでに太陽光発電所に変わっていた

 9:03に林道横尾岳線の終点に到達し、ここからは県道73号線を左折して進む。県道の行く手には浜田の町が見えてきた。これも大隅半島に特異的な事象として気がついたことだが、道路脇の藪の木に、空のペットボトルや空き缶が差し込んであるのを見かける。まさか、害獣除けということではないだろう。飲み終えた空容器をポイ捨てしようと思って、後から誰かが回収しやすいように木に差し込んだのだろうか?

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林道ここに終わる

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県道73号線と交差

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県道の先には浜田の町が見えてきた

 浜田の町まで1kmぐらいの地点で、ちょっと寄り道をする。秘湯として知られるアビルランドという温泉に立ち寄ってみたかったからだ。池のほとりにある温泉施設まで行ってみた。残念ながら本日は休館。やむなく県道に復帰し、9:30には国道269号線と合流する浜田交差点に到着した。

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秘湯アビルランドの看板を見つけた

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池のほとりの温泉

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残念ながら日曜定休

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あきらめて浜田に向かう

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浜田で国道369号線と合流

 ここから、本来のコースは国道269号線を北に向かうのだが、交通量が多く危険と思われる。交差点の先に海に向かって続く細い道があったので、海岸に突き当たるまで進み、ここから2kmほど海岸を歩くことにした。

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狭い道を海に向かって進む

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砂浜を歩く

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砂浜の先に松林

 10分ほどのんびりと砂浜を歩くと、松林が現れ、芝生の生えた快適そうなキャンプ場が整備してあった。トイレやシャワーもある。散歩をしているおじさんに挨拶をして聞いてみると、ここは地元の方が清掃をして管理しているキャンプ場とのこと。隅から隅まできれいに手入れされている。

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松林の先には芝生

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トイレ、シャワー付きのキャンプ場があった

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海辺のテントサイトも気持ちよさそう

 聞けばこのおじさん、地元の元漁師の方。このキャンプ場は小学校の跡地で、ここの小学校を卒業されたとのこと。現在は、小学校は国道を挟んだ反対側に移転している。昭和9年生まれのおじさんは、亡くなった父と同年代。大東亜戦争中も浜田漁港から錦江湾に漁に出かけていて、機銃掃射にあったこともあるそう。鹿屋に来たならば、ぜひ航空自衛隊の資料館に立ち寄って、特攻隊の資料を見て行ってくれと言われる。天国の父から言われたような気がして、資料館に立ち寄ることを約束して別れた。

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浜田の海岸にはゴミがない

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海が透き通る

 キャンプ場から先も、靴を濡らしながら海岸沿いを歩き、垂水に向かって北上する国道269号線が、鹿屋に向かう県道68号線と分岐する三叉路に10:10に着き、ここからは鹿屋に向かって海から離れる県道を上り始めた。

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砂浜をズンズン進む

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水があってもお構いなしに進む

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気持ちのよい海岸だった

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砂浜の先からはかのやばら園に向かって山手の道路に入る

 1.7kmの上り坂を歩き、10:49にかのやばら園に到着した。まずは自動販売機で炭酸飲料を購入して喉を潤す。正面に聳える霧島が丘展望台に向かい、ぐるっと360°の眺望を楽しんだ。ばら園はシーズンオフで、花はあまり咲いていないよう。展望台を出ると、正面には高隈山系の白山、横岳、大箆柄岳(おおのがらだけ)、御岳が仲良く並んでいる。次の目標地点はここだ。

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わりと急な上り坂を1.7km

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かのやばら園に到着

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霧島が丘展望台

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展望台では荷物を下ろして景色を堪能

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展望台の正面には高隈山系 左から白山、横岳、大箆柄岳、御岳

 展望台の前には瀟洒な建物がある。見てみると、くろぶたの丘という地元で育成された黒豚をメインにしたレストラン。11:30の開店を待って、ランチをとることにした。お勧めの黒豚グリルランチを食べたが、肉の味がしっかりして、柔らかく、美味しかった。

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くろぶたの丘 食べ物の匂いがした

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おしゃれなレストランがあった

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おすすめはやっぱり黒豚

 食事を済ませたら先に進もうかと思っていたが、本日はバラ園無料というアナウンスが聞こえてきた。せっかくなので立ち寄ってみることにした。バラは主には春と秋に開花するものが多いので、現在は剪定後であまり花をつけているものはなかったが、2割ほどの株に花がついていた。香りのよいものもあり、十分に楽しむことができた。シーズンにもう一度来てみたいものだ。

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かのやばら園に立ち寄った

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花は2割ほど

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温室内のバラはよく管理されている

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園内にはバラの香りが漂う

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シーズンにまた来たい

 12:54にバラ園を出発し、鹿屋に向けて丘を下り始める。正面には高隈山系が近づいてきた。13:25には鹿屋の平野部に位置する野里集落に入った。ここで国鉄大隅線の線路跡に向かって右折する。大隅線は、かつて志布志、鹿屋、垂水、国分を結んでいた大隅半島を横断する動脈だった。1987年に廃止されているが、乗ってみたかった。13:30に大隅野里駅跡を通過した。

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ばら園から坂を下る

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正面には高隈山系が近づいてきた

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野里の集落から右折して線路跡を進む

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鹿屋の次の駅の野里駅

 13:33に野里から左折して、鹿屋基地の滑走路の西に端に沿って進む。14:00に桜花の慰霊碑に着き、手を合わせる。桜花は小学館の図鑑にロケット戦闘機として掲載されていたのでよく憶えている。しかしその頃は、桜花に降着用の車輪がないことは知らなかった。無邪気なものである。

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滑走路の西端の道路

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滑走路の西には圃場が拡がる

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その向かいに桜花の慰霊碑

 14:02には野里小学校前を通過した。集落の墓地も通過したが、どこを見ても、大隅半島のお墓は手入れがよい。この地域の方々は、神話の時代から先祖を大切にしているかのようだ。

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大隅地区はどのお墓も手入れがよい

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町もきれい

 14:18には柳の交差点に着き、鹿屋市の中心に向かう県道550号線に右折して進む。14:35には慰霊碑前交差点を通過し、14:50に航空自衛隊資料館に到着した。資料館の前には巨大な二式飛行艇が展示してあった。資料館は予約制の見学で、午後3時からの最終の見学時間に間に合った。受付で記帳して見学させてもらったが、見学者は自分一人。桜花によるものも含めた特攻隊の戦死者ほとんどすべてが、顔写真付きで展示されていた。

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県道550号線を鹿屋中心地に向かって進む

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鹿屋航空基地に到着

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資料館に進む

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資料館の前には二式飛行艇

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資料館の2階は零戦以外は撮影禁止

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至誠に悖る勿かりしか

 15:30に航空自衛隊資料館を出て、慰霊塔バス停まで歩いた。この慰霊塔は、特攻隊による戦没者のための慰霊塔。次の九州自然歩道トレッキングの再開は、慰霊塔にお参りするところから始めるつもりだ。

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 2021年1月31日 九州自然歩道 80日目 鹿児島県鹿屋市横尾岳~鹿屋市今坂 快晴 気温14/4℃ 行動時間6:38 距離20.4km 39299歩

 復路交通:鹿屋慰霊塔前16:08-垂水港16:40/17:10-鴨池港17:45/18:15-鹿児島中央18:45/19:51九州新幹線みずほ614号-博多21:07