九州自然歩道を週末に歩き倒す

目標は九州自然歩道の総延長2932km踏破。

九州自然歩道 67日目 真っ青な海を眺めながら野間岳から野間池に 鹿児島県南さつま市加世田~南さつま市野間池 2020年11月29日

 今日は宿で目が覚める。いつものテント泊ではなく、宿を予約した理由は、宿泊予定が加世田という比較的人口の多い地区であったことと、荷重をできるだけ減らすためにテント泊の機材を持ちたくなかったからだ。というのも、今日の行程の帰りの交通の自由度は極めて低く、目標地点の野間岳に東海岸から上った後、西海岸に下山し、海岸沿いに北に4km移動して15:20の最終バスに乗るか、下山後に南に17km歩いて16:45の最終バスに乗るかの2択。野間岳は東海岸から西海岸に抜ける行程を歩く人間はほとんどいないようで、コースタイムが不明。ということで、野間岳から先は荷物を担いで走らなければならない可能性もあることから、負担を考えて荷物は極力少なくしたかったからだ。

 5:00には目を覚まし、昨日の写真整理とブログのアップロードを行い、シャワーを浴びる。こういう文化的なトレッキングもいいものだ。ハハ。7:00には宿のご飯を摂り、7:45には宿をチェックアウトした。フロントのおじさんはカードでの清算に不慣れなようで、カードの方向を変えたり、裏表を変えたりしていたが、困った様子でこちらを見ている。「ひょっとしたらフロント担当初めて?」と尋ねると、正直に「ですです」と鹿児島弁で返してきた。朴訥な鹿児島弁で返答されると、抵抗できない。現金で支払いを済ませた。すべて許す。鹿児島弁は強い。

 宿からは10分ほどで昨日、九州自然歩道を離脱した吹上浜海浜公園に到着した。公園内を走る自転車専用道がコースとなっている。ところどころ切り通しがあったりして、鉄道が敷設されていたような雰囲気がある。南薩鉄道は加世田から南に枕崎に進むので、ここには線路はなかったと思うのだが(後日、調べてみたら、加世田から西の万世まで1駅の支線が敷設してあった)。正面に見えたのは長屋山(ちょうやさん)。山頂にレーダーが設置してある。

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吹上海浜公園の中に進む

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自転車専用道を歩く

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正面には長屋山

 30分ほどで自転車専用道は終点となった。ここからは国道226号線に合流する。この国道も歩道のない部分が多く、自動車の往来は多く危険。このあたりは、遠回りにはなるものの、海沿いの道を選ぶこともできるので、九州自然歩道のコース設定を考慮してほしいものだ。

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ほどなく自動車専用道は終点に

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国道226号線と合流する

 9:00に小湊集落を通過。小さな港町だ。ここでも庭先に地植えのハイビスカスが見られた。集落を通り過ぎると海沿いには干拓地が拡がる。干拓地には農作物が植えられているようには見えない。

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小湊集落を通過

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庭先に地植えのハイビスカス

 30分ほどかけて干拓地の横を通過し、越路の集落を抜けて坂を下ると、目の前には海が広がる。目標地の野間岳が大きく見えてきた。今日は風が弱く、波はほとんど立っていない。

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野間岳がそびえる 手前は小岳

 野間岳を眺めながら、大浦川に架かる恋島橋を渡る。渡った先は大浦の干拓地となっている。海側の干拓地では米が栽培され、山側ではソバが生産されているよう。ここは直線道路で歩道がないため、やむなく干拓地のあぜ道を歩くことにする。こちらの方が数倍快適だ。

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恋島橋を渡る

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干拓地には収穫間近のソバ

 10:00に大浦の干拓地を抜け、笠沙路の石碑を通り過ぎた後は、次第に高度を上げていく。干拓地が眼下に広がり、昨日歩いた吹上浜も一望できるようになった。半島の北に点在する島もいくつか見えてきた。

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道路から干拓地が一望できる

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海沿いの眺めの良い道路を進む

 小浦の漁港が見え始めたところで、国道226号線を離れ小浦の集落内に進み、小浦港に向けて下りていく。このあたりが笠沙の中心地のようで、笠沙小学校が山の上に見えた。

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小浦の漁港に下りていく

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集落を抜けた先の山に小学校が見えた

 眺めの良い海岸を進み、片浦の郵便局に到着。ここから野間岳の東登山口が始まる。郵便局に到着したのが11:28。野間岳の頂上から、北の野間池に進むとしても、あと4時間しかないので時間はぎりぎりになりそうだ。今日は野間岳に登るのをあきらめようかとも思ったが、荷物が軽いため1時間程度のコースタイムは何とかなるはずと、思い切って先に進むことにした。片浦郵便局の分岐部の標識には、野間岳6.2kmと書いてある。通常のペースならば2時間で山頂に到達できるはずだ。

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眺めの良い海沿いの道が続く

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片浦郵便局の手前から野間岳への山道に入る

 国道から別れた先は比較的良好に整備された舗装路。勾配はあるが、気持ちよく登ることができる。ところどころで景色の良いところもある。野間岳の頂上もずいぶん近く見えてきた。

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舗装された山道を進む

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はるか向こうに開聞岳も見えてきた

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野間岳の頂上が迫ってきた

 5.5kmの舗装路を50分で歩き、12:17に野間岳の登山口に到着した。少しお腹が空いてきたため、ここでバナナとミカンの昼食とした。不思議なことに水道の蛇口が設置してある。まさかと思ったが一応ひねってみたが、水は出てこなかった。

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登山口に到着

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この蛇口はフェイクのよう

 登山口からはコンクリートの階段が続き、歩きやすい。山道を歩き始めて10分ほどで395mの尾根に到着した。ここには木を切り開いた展望所があり、吹上浜も半島の先端もきれいに見えた。

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歩きやすく整備されている

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吹上浜が一望

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野間半島の先端も

 395mピークから先はすこし山道が荒れ気味で、ときおり倒木が道をふさぐ。20分ほど登ったところで大きな石が道を塞いでいるかと思ったら、笠沙石門の標識があった。2つの石の上に巨大な石が門のように乗ったもので、巨大な石の下に小さな丸い石が挟まってうまくバランスをとっているよう。山道はこの門の下をくぐる踏み跡がついているが、心配に思った人は迂回するのだろう。左右にも踏み跡がついている。一瞬、頭の中にうそつきの頭には石が落ちるぞ、という悪魔の声が聞こえたような気がしたが気にせず通過した。問題なくくぐり抜けることができた。嘘をついたことがないからである。

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山頂近くの道は荒れ気味

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笠沙石門をくぐる

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バランスよく支えられた巨石の下をくぐるのはスリリング

 野間岳(591m)の頂上には13:00に到達した。さきほどまでは曇っていたのに、頂上に着いた頃から雲間から太陽が見えてきた。野間崎の先端がきれいに見える。海が青い。次の目標の坊津もよく見える。野間岳の頂上では行動食を摂って、13:20には行動再開した。

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日が差し込むと野間崎の海の青さが目にしみる

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坊津の海も

 下りは西海岸に向かって下りていく。こちらのルートは多くの登山者がいるようで、整備状況は良好。鎖が新品に取り換えられたばかりのようだ。こんなにきれいに整備してくれている地元の愛好家・ボランティアの方々には本当に頭が下がる。

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西からの登山道の整備状況の方が数段良い

 15分ほどで野間神社に到着した。ここからはまっすぐ海岸に向けて下りていくコースと、少し北の太郎木場に向かって下りていくコースがあるが、野間池に向かうことを考えると太郎木場に向かう方が2km近くショートカットになりそう。標識が小さく、しかも標識の位置には踏み跡がまったくないことから不安になるが、一か八かで太郎木場に向かった。

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野間神社に到着

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太郎木場に向かう山道はかなり荒れ気味

 標識から地図を見ながら進むが、100mほどは山道が見つからず、藪漕ぎに苦しんだが、少し先の登り斜面でようやく踏み跡がついているのを見つけた。ここから先のコースは残っていた。しかし、あまり人が通っていないようで、ときおり倒木が道をふさいだり、落石でコースが消失したところがある。しかし、それほど長い距離でなく、14:00には集落にたどり着いて、ここから先は舗装路に変わった。

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時間に余裕があればこの道は選択しないほうが良い

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藪漕ぎあり

 舗装路は緩い下りで歩きやすい。道端から人の声が聞こえたので、転落した人が助けを求めているかと思ってのぞいたら、ラジオが置かれていた。その先にも同じ形式のラジオが道端に置かれていた。人はいない。ひょっとしたら動物避けのラジオなのだろうかと思いながら先を急ぎ、2kmほどの道を20分ほどで歩き、14:20に半島の西海岸を走る国道226号線まで出ることができた。ここからは2kmほどで野間池に着く。バスの時間は大丈夫と安心して、国道に出たところで小休止をした。

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舗装路に出てからは快適

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道ばたに置かれたラジオから声が流れている

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国道226号線に復帰

 国道226号線を先に進むと野間池が先に見えてきた。青い池のような港だ。下り坂なのでかなり速いペースで進むことができる。14:45には野間池に到着し、笠沙恵比寿、屏風岩を見物して、15:20のバスで福岡への帰途についた。

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道路の先に野間池が見えてきた

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野間池の沖合に浮かぶ米島

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野間池のシンボルの屏風岩

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2020年11月29日 九州自然歩道 67日目 鹿児島県南さつま市加世田~南さつま市野間池 曇り 気温14/8℃ 距離27.6km 行動時間7:21 42517歩

復路交通: 野間池15:20鹿児島交通バス-加世田16:37/17:10鹿児島交通バス-鹿児島中央18:37/19:51九州新幹線みずほ614号-博多21:07

九州自然歩道 66日目 吹上浜の遠浅の海辺と南薩鉄道の廃線跡 鹿児島県日置市吹上町永吉~南さつま市加世田 2020年11月28日

 本日土曜日は吹上浜から九州自然歩道トレッキングの再開。博多から7:22の九州新幹線に乗って川内で鹿児島本線に乗り換え、伊集院に到着したのが9:31。そこから鹿児島交通バスに乗り換え、前回九州自然歩道から離脱した吹上町の永吉に到着したのが10:15。

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伊集院駅前の島津義弘公像

 本来、九州自然歩道はバス停の前の国道270号線なのだが、この道路は交通量が多く、歩道のない部分もあるため歩くには不適当。並行して走る南薩鉄道の廃線跡の自転車歩行者専用道路を歩くことにした。

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国道270号線を歩くのはお勧めしない

 南薩鉄道の永吉駅の跡の前を通り、圃場を眺めながら専用道を歩く。気温は15℃で、風は冷たいが歩くには快適。専用道はきちんと舗装されており、自動車が走らず快適に歩ける。自転車は1台も通らず、たまに地元の方が散歩をするのに出会う程度。

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南薩鉄道の橋梁の遺構のところから廃線跡に入る

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永吉駅跡地

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ホームも残されている

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こんな快適な道路

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周囲はのどかな田園風景

 30分ほどで花熟里(けじゅくり)の集落に到着。ここで九州自然歩道の標識が現れたため、ルートに従って南薩鉄道の廃線跡を離れて吹上浜キャンプ場に向かう防風林の中を進むことにした。黒松に囲まれたなかなか良いコース。ふかふかの砂地の道でクッションがよく、潮騒が絶えず聞こえる。北風が直接当たらないため、寒くない。

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花熟里にも丁寧に標識が設置されている

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防風林の中を歩く

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国民宿舎が見えてきた

 12:10に防風林の向こうに国民宿舎吹上砂丘荘が見えてきた。ちょうど時間もよいので、ここでランチをとることにした。

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吹上砂丘

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刺身のランチ

 ランチの後は5分ほど歩いて薩摩湖の畔まで行ってみた。ここは灌漑用の人工湖のようだ。ボートを浮かべて釣りをしている人も見える。

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薩摩湖 正面に見えるのが金峯山

 薩摩湖からは再び南薩鉄道の専用道に戻り、快適な道を歩く。コース上にループ線が現れた。それほどの勾配ではないが、専用道にも忠実にループを残している。南薩鉄道が健在な時に来て、乗ってみたかったとつくづく思う。

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再び快適な廃線跡を歩く

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ループ線の跡

 伊作川にかかる砂丘橋を渡ると、河口部分に砂嘴になった砂丘と入来浜の海が見えてきた。ここからは南薩鉄道のコースを外れて吹上浜の波打ち際を歩いてみようと砂丘の上に出た。風が強く、帽子が飛ばされそうになる。遠浅の海のかなり沖から波が砕けているのが見える。

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砂丘橋を渡る

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入来川の河口には大きな砂嘴が形成されている

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砂丘の上には強い風が吹く

 砂丘はイネ科の植物とツル性の植物で覆われており、砂に靴はめり込まないが、ツルに足をとられて歩きにくい。歩くにつれて草の丈が伸びてきて、腰の下ぐらいまで隠れるようになってきた。そこで、思い切って急斜面の砂丘を下り。砂浜に出て波打ち際を歩き始めた。風はかなり強いが、砂はしっかりと固まっていて歩きやすい。人影はなく、異界を歩いているような気分がする。次の目的地の野間岳が正面に見えてきた。

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砂丘から砂浜には急な傾斜

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遠浅の海の向こうの方から砕けた波がやってくる

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野間岳がむこうに見える

 砂浜を歩いていると砂を掘っている女性がいた。何が採れるか聞いてみると籠の中を見せてくれた。小さなアサリがたくさん入っていた。

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浜辺でアサリ採りをする女性

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広い砂浜がさらに続く

 1時間ほど砂浜を歩いたところで、砂丘に登り口が見えたので、ふたたび九州自然歩道に戻ることにした。黒松の防風林を抜けると、見渡す限りのソーラーパネルが設置してあった。たしかにここは日当たりは良さそうだ。

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砂丘から元に戻るのは道のついたところでないと困難

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途中からは自動車の通行した跡が

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巨大な太陽光発電所が防風林の中に

 1kmほど松林の中を歩き、南薩鉄道の跡に戻ることができた。鉄道の切り通しの跡を進み、しばらくすると加世田との間に流れる万ノ瀬川に架かった上ノ山橋が見えてきた。

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再び南薩鉄道跡に

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上ノ山橋に到着

 ここからは加世田の市街地には向かわずに、川に沿って吹上浜海浜公園の中を進む。15:40に万ノ瀬川の河口に架かるサンセットブリッジを渡る。橋の上からは薩摩三山の一つの金峯山が正面に見えた。この山も魅力的な姿をしている。

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海浜公園内を歩く

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サンセットブリッジを渡る

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橋の上から振り返ると金峯山

 万ノ瀬川の河口では数人がカイトボードを楽しんでいた。10mを超えるぐらいの風があり、ちょうどいい状態のようだ。しばらく砂浜の上を歩く。ここの砂浜は砂地が柔らかく、靴がのめり込んで歩きにくい。太陽が次第に高度を下げてきて、海が金色に光り出した。

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カイトボードも楽しそう

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そろそろ海が金色に変わってきた

 このあたりで海岸から吹上浜海浜公園を横切り、ホテルに向かうこととした。16:41にホテルに到着し、本日の行動を終えることとした。今日は温泉に浸かってのんびりするつもりだ。

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吹上浜海浜公園

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吹上浜の砂でできた彫刻

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2020年11月28日 九州自然歩道 66日目 鹿児島県日置市吹上町永吉~南さつま市加世田 曇り 気温15/8 距離22.9km 行動時間6:21 3.9km/h 45663歩

 往路交通: 西新6:49-博多7:02/7:22 九州新幹線さくら407号-川内8:45/8:56 鹿児島本線-伊集院9:31/9:49 鹿児島交通バス-天昌寺10:15

九州自然歩道 65日目 吹上浜の波打ち際をどこまでも歩く 鹿児島県いちき串木野市串木野~日置市吹上町永吉 2020年11月23日

 今朝は6:00に布団の上で目が覚めた。体のどこも痛くならず、室温も暖かく、頗る快適だが何か物足らない。顔を洗い、歯磨きをする。水道から水が出るのがとてもありがたい。文化的な生活っていいなと思いつつも、キリっと冷たい谷川の水もよかったかなと思う。贅沢を言ってしまうが、旅館の朝は、どことなく生ぬるい。

 7:00に旅館を出て串木野駅に近い鹿児島本線の切り通しの上を通過する。現在のこの部分の鹿児島本線川内駅から鹿児島中央駅までで、単線区間が多い。大学、大学院のときに博多から鹿児島まで通して鹿児島本線に乗車したことがあったが、列車の待ち合わせが何度もあったなと遠い記憶がよみがえる。

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串木野駅の近くの鹿児島本線

 さらに海の方向に歩くと、国道3号線を越える。すぐ先に公民館があったが、最近よく目にするようになった海抜表示の下に、15.1kmと単位の違う数値が書いてある。よく見ると川内原発からの距離だ。そういえば再稼働をはじめたなと思い出す。

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国道3号線と交差する

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川内原発から15.1km

 2kmほどで串木野港に到着した。積み荷作業に使うのか、大きなクレーンが稼働を開始していた。港を通り過ぎ、長崎鼻の先端にある灯台まで行ってみた。白蓮の歌碑がある。歌碑にある小島とはどのことかなと探してみるが、わからない。当時とは浚渫などのために地形が変わっているのかもしれない。風が強く、雨粒が吹き付ける。雨が降っているようにも見えないなと思ってよく海を見たら、砕けた波が飛ばされたもののようだった。沖に見えるのは甑島。川内から30kmほど沖合にあるはずだが、近く見える。頑張れば泳いで渡れそうなほど。

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串木野港ではクレーンが稼働中

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白蓮の歌碑

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長崎鼻灯台

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灯台の先には甑島が見える

 8:00には長崎鼻から遊歩道を通って先に進む。岩礁に1mほどの岩の橋が架かっている。その下は空洞。これを渡って先に行くと、青い海に釣り人が糸を垂れていた。

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長崎鼻公園の遊歩道を進む

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岩礁に渡る狭い岩の下は空洞になっていた

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海は、碧い

 集落を抜けた先には小さな島が浮かび、島の入口には鳥居が建てられている。この島が照島神社。航海の神様のようだ。

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照島神社の鳥居

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遠洋航海に向かう船は照島の沖合で安全祈願をしたという

 島の先には白い砂浜が続く。ここが照島海岸で、ここから吹上浜の海岸が始まるようだ。砂浜に沿ってコンクリートの歩道が設置されている。歩道で枯れ葉を集めて掃除をしているおじさんから、どこに行くかと声をかけられた。吹上浜を加世田方面に歩いていくというとビックリしていた。

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照島海岸の遊歩道

 この海岸には、おじさんが子供の頃にはよくウミガメが産卵に上がってきて、卵をとっては売りに行っていたとのこと。いまではとてもできないけどとも言っていた。白い砂浜の照島海岸はおじさんの誇りで、毎日のように掃除をして、流木を片付けているとのこと。

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海岸もきれいに清掃されている

 このおじさんは以前はマグロ漁船に乗って遠洋航海に出ていたとのこと。最初は炊事担当から始まり、船酔いには航海のたびに苦労したこと。独学で勉強して無線技士の資格を取ったこと。モールス信号の聞き取りや、業務用の周波数帯、電波航法のロランなどなど、無線の技術系の話が面白かった。

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 照島海岸を30分ほど歩き、9:10に河口に突き当たり、砂浜に沿った歩道は終端となった。ここでいったん国道3号線にグルリと迂回し、八房川を渡って河口の干潟を通過し、いちきアクアホールという立派な施設の前まで来た。

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八房川河口の干潟を迂回

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いちきアクアホール

 アクアホールの前の大黒川にかかる日の出橋をわたり、砂嘴の松林を抜けると白い砂浜の向こうは東シナ海だった。展望台の上に登り、海を眺めながらサンドイッチとオレンジジュース、シードレスグレープの朝食とした。風が冷たい。

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日の出橋を渡る

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松林を抜けて砂丘の上に出ると

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目の前には海が拡がる

 朝食の後は10:00に行動再開。地図を見ると吹上浜瀬脇海岸の砂浜は3km以上続いている。海岸線に沿った松林の中に歩道がつけてあるのだが、防風林に囲まれて景色が期待できない。そこで、せっかくなので波打ち際の砂地を歩き始めた。靴が砂地にめり込んで歩きにくく、舗装路の倍ほども力が要る。しかし、寄せる波をよけながら歩くのも面白い。歩けるところまで歩いてみようと、砂地に足跡を記しながら先に進んだ。

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波打ち際を歩き始めた

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波を避けながら歩くのも一興

 1時間ほど歩いて砂浜は岩場につきあたり、先に進めなくなったため、砂丘の中の道を越えて戸崎集落の中に入っていった。岩場の先端は戸崎鼻で、標識と石仏が設置してあった。

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吹上浜の美しい海岸が続く

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ここでいったん行き止まり

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防風林の中を集落に向かう

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しらす干しの工場か?

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戸崎鼻

 この先は戸崎漁港を眼下に眺めながら高度を上げていく。道沿いの民家にはハイビスカスやブーゲンビリアといった福岡では越冬が困難な南方系の植物が庭先に普通に植えてある。ずいぶんと気候が温暖なようだ。

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戸崎漁港

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軒先にハイビスカスやブーゲンビリアが地植えで育っている

 戸崎漁港の先は500mほどで国道270号線に合流する。舗装状態は良好だが、ほとんど歩道はなく、交通量が多い。しばらく歩くと日置市の標識が道沿いに現れた。2kmほど海岸沿いの国道を歩き、江口漁港に折れて海沿いに進むと海浜公園が現れた。ここは両端に突堤が築かれ、正面に消波ブロックを設置した海岸に、砂を投入して作った人工海岸のよう。砂浜に打ち寄せる波は穏やかだが、周囲の海には白波が立って荒れ始めたように見える。

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国道270号線を歩いて日置市に入る

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江口漁港を通過

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海浜公園

 海浜公園の南の外れには江口蓬莱館という物産販売の店があり、その中に海鮮レストランがあった。食べログをチェックするとなかなか高評価。昼食はここにしようと入店したが、30組以上の順番待ち。迷ったが、この先食堂はなさそうなので、予約リストに名前を書いて近くのベンチで待機することとした。50分ほど待って呼び出しを受け、にぎり寿司のランチを済ませて、13:27に行動を再開した。

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江口蓬莱館

 海浜公園からは再び国道270号線を歩く。江口から先の海岸は断崖絶壁で、打ち寄せる波がときおり歩道を濡らしている。2kmほど断崖の海岸を歩き、国道は海の見えない山の上に上がっていく。

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江口から2kmほどは断崖絶壁

 14:00に神之川の集落を抜け、しばらく歩くと右手に大きな金属製のタンクが見えてきた。ここがなんとウイスキーの蒸留所だった。鹿児島は焼酎の醸造が盛んなことは知っていたが、この地でウイスキーを蒸留しているとは知らなかった。小正醸造株式会社の嘉之助蒸溜所で、予約を行えば見学もできるよう。いつか内部を見学してみたい。

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小正醸造株式会社

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ここでウイスキーの蒸留を行っているようだ

 この先も国道270号線をひたすら歩く。このあたりも歩道があったりなかったりで、自動車はかなりのスピードで袖をかすめるようにして通過する。あまり歩くには適していない。日吉の集落のあたりから、自転車専用道の標識が現れる。自転車道に行こうかどうしようか迷いながら国道を歩いたが、標識が現れて2kmほど経た吉利(よしとし)の集落のところには自転車道まで60mと記載があったため覗いてみることにした。

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このあたりは直線路が多い

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蕎麦畑もあった

 自転車専用道路は、1984年まで運行されていた鹿児島交通枕崎線(南薩線)の路線の跡だった。当時は枕崎と伊集院とを結ぶ地元の足だったよう。ここは吉利駅の跡地で、ホームが残されている。自転車専用道路はきれいに整備されており、国道を歩くよりもこちらの方がずっと快適。もしこのルートを歩く人がいたら、自転車専用道を歩くことを強くお勧めする。

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吉利駅跡

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吉利駅跡の南薩線の案内

 15:33には吉利駅跡から国道270号線と並行して走る自転車道に入り、自動車の騒音に悩まされることなく歩いた。地元の方も数名ウォーキングをされており、挨拶を交わした。南薩線が営業していた頃ものんびりした雰囲気だったろうなと偲ばれる。

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自転車道の方が数段快適

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これも線路跡

 南薩線が永吉川を渡るところで、鉄橋の線路は撤去されており、橋脚だけが残されていた。自転車道は浜田橋を渡り、いったん国道と合流した後、再び海辺に向かってカーブしていく。そろそろ伊集院行きのバスの時間が近づいてきたため、16:12に永吉十文字バス停で行動を終了し、バスの到着を待つことにした。

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永吉橋に架かる鉄橋の遺構

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現在は人道に使われている浜田橋

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永吉十文字バス停で本日の行動終了

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伊集院駅前にはかつての領主の島津義弘公が

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2020年11月23日 九州自然歩道 65日目 鹿児島県いちき串木野市串木野日置市吹上町永吉 晴れ 気温18/10 距離28.9km 行動時間9:12 3.1km/h 43161歩

復路交通:永吉十文字16:28鹿児島交通バス-伊集院16:55/17:16 JR鹿児島本線-川内17:52/18:19 九州新幹線さくら570号-博多19:42

九州自然歩道 64日目 市比野温泉を堪能 鹿児島県薩摩川内市入来~いちき串木野市串木野 2020年11月22日

 まだ外は真っ暗だが、テントの外を歩く人や走る人の足音が聞こえる。ここはご近所のジョギングルートのようだ。現在5:30。日の出の予定時刻は6:50ぐらいだったが、のんびりしていると人が集まってくるかもしれない。まだ薄暗い6:15に起床して、撤収作業を開始した。

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明るくなって気が付いたが、目の前は巨大な芝生の競技場だった

 昨夜は暗くて、どんなところにテントを設営したのか理解できていなかったが、外が明るくなってようやく、ここがどこかわかった。ここ丸山公園は、フィールドホッケーの競技場のようだ。しかも、3面もコートが設置してある。この10月に開催予定だった鹿児島国体の予定会場だったのかもしれない。数名のランナーが外周を走る中、7:02には行動を開始して、丸山公園をあとにした。

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 小高い丘の上の公園から舗装路を下り、7:27に九州自然歩道に復帰し、道の駅樋脇に到着した。ここで朝ご飯でもと思って立ち寄ってみたが、まだ営業を開始していないよう。農家の方々と思しき人たちが農産物のディプレイをしているところだった。

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道の駅樋脇

 樋脇川を渡り市比野温泉の市街地に入るが、側溝からモクモクと湯気が上っている。それほど強くはないが、温泉らしい香りが漂ってくる。

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側溝からモクモク湯気が上る

 市比野温泉の看板を見ながら、九州自然歩道の案内表示に従って左折すると、かけ流し温泉の看板が出ている。時間は7:45でまだ営業していないかなと思いながらも、受付を覗くとおばさんが出てきて入れますよと案内してくれる。予定外だったが、せっかくなので朝風呂に浸かることにする。無色透明のお湯で、硫黄臭はない。さらりとした心地の良いお湯だった。

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温泉街の入り口

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丸山温泉 入湯料150円

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シンプルな造りの温泉

 さっぱりした後、8:15に行動再開。再び樋脇川に架かる橋を渡り下湯地区に入る。病院も温泉、郵便局も温泉、工事も温泉の配管の付け替え工事と、ここは温泉の町だと実感する。

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樋脇川を渡る

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温泉病院

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温泉郵便局

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温泉管工事

 市比野温泉からは県道36号線の自動車の通行の多い道路を進む。歩道がないところもあり、あまり歩くのが楽しいコースではない。8:43に樋脇町宇都の交差点で県道35号線に右折し、10分ほど歩いて串木野に向かう県道39号線に左折する。

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県道を進む

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串木野に向かって左折

 県道39号線に入ってから自動車の交通は少なくなったが、歩道はない。しばらくは勾配の道を上り、道路わきのスペースで行動食のナッツの朝食とした。

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交通量は少ないが歩道はない

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道路脇で朝食休憩

 25分ほど朝食を摂りながら休憩し、9:30に行動再開。ここからも緩い勾配の登り道が続く。途中の集落で自販機を見つけ、飲料水を購入。ナッツで乾いた口の中を潤す。

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だんだん高度が上がってきた

 10:13に阿母峠に到着した。峠を過ぎたところの側道に入り、さきほど購入した飲料水を飲みながらしばし休憩した。

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阿保峠を通過

 30分ほどかけて峠を下り、10:45に野下小学校跡のキャンプ場を通過した。さらに進むといちき串木野市の標識が出てきた。周囲はのどかな田園。

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野下集落が見えてきた

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いちき串木野市に入る

 さらに10分ほど平坦な道を歩くと、冠岳温泉への案内表示が出てきた。入り口近くには山太郎ガ二の無人販売がある。5匹ほど入って500円と安い。今日は買って帰ることができないのが残念。

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岳温泉入り口の無人販売

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このカニが美味

 11:15に冠岳温泉に到着。駐車場には多くの車が停まり、人気の温泉のよう。残念ながら先ほど市比野温泉に入ったばかりなので温泉はパスして、昼食に天ぷらうどんを頂いた。この先しばらく商店も食堂もないため、限られた選択肢。自家製麺の看板が出ていたが、コシはない。疑念ありに一票。

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岳温泉

 昼食の後は11:38に行動再開。徐福橋を渡って九州自然歩道に復帰。徐福とは、不老不死の薬を探したあの徐福だろうか?真相は不明なまま先に進み、11:56に冠岳の集落の新幹線高架下を通過したが、ここは静かな山の中なのに、近くに駅もない新幹線が1日に何便も通過して大変だろうなと同情。

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徐福橋を通過

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新幹線高架下を通過

 とくにどうこうとない舗装路をひたすら歩き、12:50に生福集落に到着。うどんのつゆでカラカラになったのどを潤すための飲料水を自販機で購入して小休止。

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ひたすら舗装路を歩く

 13:50に南九州道串木野ICを通過し、少し進んだところでファミリーマートを見つけてイートインでコーヒーを飲みながら小休止。14:38に行動再開したが、直後に大粒の雨が降り出したため、道路脇の観光案内所の軒先に入ってしばらく雨宿りをした。

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トンネルの先が串木野IC

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急に大粒の雨が降り出し戦意喪失

 雨はすぐには止みそうもないため、この先は市街地になるため、今日は宿泊施設に泊まろうと候補先に電話をかける。2つ目の旅館に空き部屋があったため即決。幸いここから450mと至近の距離だった。時間は早いが15:02に旅館に到着。おかみさんから、「お客さんが阿母峠を歩いているところを市比野からの帰りに見ました」と言われてビックリした。

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串木野神社

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2020年11月22日 九州自然歩道 64日目 鹿児島県薩摩川内市入来~いちき串木野市串木野 晴れのち雨 気温23/13 距離21.9km 行動時間7:59 2.9km/h 39346歩

九州自然歩道 63日目 藺牟田池をぐるっと一周 鹿児島県薩摩郡さつま町宮之城~薩摩川内市入来 2020年11月21日

 福岡から鹿児島はアクセスが良い。今日も5:36の始発の地下鉄に乗って、博多駅から九州新幹線に乗車し、出水からバスに乗り換え、宮之城には8:23に到着した。3時間弱である。

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宮之城駅前

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宮之城は竹で有名 かぐや姫がシンボル

 旧国鉄宮之城線の宮之城駅跡でバスを降りたところで、すぐに九州自然歩道に復帰。しばらくは住宅地の中を歩く。次第に住宅がまばらになり、ほんのわずかだけ草の生い茂った箇所を抜けると、県道406号の宮之城祁答院(けどういん)線に合流する。

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最初は宮之城の住宅街

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鹿児島県に入ってから九州自然歩道の標識が親切丁寧

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ほんのわずかな距離の悪路を抜けて

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県道406号線に合流

 県道は宮之城と祁答院を隔てる峠に向かう。交通量は少ない。高度が上がるにつれて県道らしさを失い、次第に道が細くなる。道路脇にトラックを2台停め、片方のトラックからもう一方のトラックに、機材を使ってなにやら積み替えをしている。気になって、作業中のお兄さんに尋ねたら、養豚の飼料の積み替え中とのこと。この地域は養豚が盛んだが、養豚場が山中にあるため、勾配がきつくて一度に運べないとのこと。お礼を言って先に進むと、先ほどのトラックが隣をゆっくりと追い抜いて行った。

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トラック間で飼料の積み替え中

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よく見たら自分にとっては恐ろしい看板

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どんどん高度を上げる

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北薩の名峰 紫尾山が見えてきた

 9:41に341mの峠に到着し、小休止。この峠は薩摩川内市との境界となっている。ここからは針葉樹に囲まれたゆっくりと下る林道となり、気持ちよく進む。自動車の往来はわずか。

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峠に到着

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ここから薩摩川内市に入る

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峠の先は心地よい林道

 10:27に8km地点の川西集落に到着。ここは集落自体が金網に囲まれている。おそらくイノシシの被害が多いのだろう。さらに10分ほど歩くと荒毛集落に到着し、ここから県道51号に右折する。急に自動車の往来が増え、狭い歩道すれすれに通過していく。ほどなく祁答院の市街地に入った。市街地とはいっても商店はわずか。

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祁答院外れの集落に到着

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県道51号線を右折

 今日は博多駅の構内のコンビニがものすごく混んでいたため、朝食を摂っていない。10:45となったが、祁答院のヤマザキデイリーストアで朝食のサンドイッチを購入して、イートインで食べさせてもらう。

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 他にお客さんはいないため、店のおばさんと世間話をすると、この地も人口減少が著しく、高齢化が進んで地域の活動に支障が出ていること、祁答院(けどういん)と読めない人が多くてじゃどういんなどといわれるとガッカリするとか、かつてこの地は祁答院氏が統治していたが、現在、祁答院を名乗る人はここにはいないとか、楽しい話が弾んだ。

 そのうち、以前ここは祁答院町だったが、平成の大合併の際に、宮之城と合併するか川内と合併するかもめにもめたという話が出てきた。町を二分する大騒ぎだったが、現在は薩摩川内市の一部になって、ようやく最近になって諍いもなくなってきたとのこと。ヤマザキのおばさんがどっち派だったかは聞かずにおいたが。

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祁答院から先に進む

 朝食を終えて、ヤマザキを出て県道51号を先に進む。しばらくは交通量の多い舗装路を進む。11:51に枯木野の集落を通過し、道路に面したところにのぼりを掲げたうめんこ食堂に立ち寄った。ここで名物のさとっこあげを昼ご飯に食べる予定で、お腹を空かせていた。さとっこあげとは、サトイモを煮たものをすりつぶして団子にして揚げてみたらし団子のたれをかけたもので、ローカルフードとして知られているよう。入店したときは誰もおらず、店内で食べていたが、次々にお客さんがやって来て、10本、20本と注文するため、早々に食べ終えて外に出た。

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うめんこ食堂

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さとっこあげ

 昼食を終えて、県道51号を30分ほど進み、12:30に県道を離れて麓集落に右折し、12:38に藺牟田池(いむたいけ)の入口に到着した。ここから舗装路を2kmほど進んで、12:58に藺牟田池に到着した。

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藺牟田池の入り口から2kmほど

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藺牟田池に到着

 藺牟田池は周囲を山に囲まれたカルデラ湖で、多くの人が集まっていた。レンタサイクルがあり、池の周回路を自転車で巡る親子や、カモにエサをやる子供が湖畔でのんびりと過ごしていた。

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 藺牟田池は泥炭の湿地があり、めずらしい動植物がいるように聞いたことがある。せっかくなので、アクアイム(水族館)を見学してみたが、どこでもいるような淡水魚の展示がメインで、ちょっとガッカリだった。

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アクアイム

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ドクターフィッシュは楽しめた

 せっかくなので13:22から藺牟田池の周回路を歩くことにした。1周4km弱。気温は20℃ほどと心地よい。池の北半分は葦原で、絶滅危惧種ベッコウトンボの生息地とのことであったが、飛翔が見られるのは初夏のようで、残念ながら見ることはできなかった。

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 14:01に藺牟田池一周を終え、藺牟田池キャンプ場に到着した。家族連れが数十組テントを設営しており、バーベキューの煙を上げているところも見られた。風が心地よく、石のベンチで横になったら、気が付いたときは45分経過していた。至福の昼寝だった。このまま藺牟田池キャンプ場に宿泊しようかと思ったぐらい心地よかったが、意を決して14:45に行動再開した。

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茶畑を越えて外輪山に向かう

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 外輪山を越えるために高度を上げていく。コース上に外輪山の一つの竜石への登り口があったため立ち寄ることにした。10分ほどで460mの竜石に到着。石の上に立って藺牟田池の写真を撮ったが、バランスを崩すと大惨事を起こしそうだった。

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竜石

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 竜石から先はゆったりとした上りと下りを繰り返して進む。15:50に愛宕山のそばの愛宕スタパークの看板を見つけて立ち寄った。眺めの良い丘だが、パラグライダーのテイクオフに使われる所のよう。今日は誰もおらず、ただ眺めの良い草地が広がっていた。

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パラグライダーのゲレンデ

 ここからは高度を落としていき、16:40に諏訪集落を通過し、16:55に国道328号線に合流し、樋脇川を渡って17:00に入来の武家屋敷跡に到着した。石垣の残る街並みが美しかった。

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入来の街並み

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旧増田家住宅

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中学校も武家屋敷風

 本日の日没は17:15だったため、しだいに暗くなってきた。まずは夕食を済ませようと居酒屋に入り、生姜焼き定食の夕食とした。店の常連さんと相撲中継を見ながらおいしくご飯を頂き、18:00に店を出た。お店のご主人に教えてもらった丸山公園に到着したのが18:47。ここで行動終了とした。

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ここで夕食

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さつま黒豚の生姜焼き 美味しかった

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2020年11月21日 九州自然歩道 63日目 鹿児島県薩摩郡さつま町宮之城〜薩摩川内市入来 晴れ 気温21/10 距離31.4km 行動時間10:23 3.2km/h 51186歩

往路交通: 西新 福岡市営地下鉄 5:36-博多5:50/6:10 九州新幹線つばめ307号-川内7:33/7:43 南国交通バス-宮之城駅跡8:23

九州自然歩道 62日目 川内川の清流に沿って進む 鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田ダム~さつま町宮之城 2020年11月15日

 鶴田ダムふれあい公園の広い駐車場の真ん中に設営したテントの中で5:30ぐらいに目が覚めた。日の出の時刻は6:17で、まだ外は真っ暗。下がアスファルトで、ペグを打ち込んでフライシートにテンションをかけることができなかったため、テントの内面は結露している。しかし、それほど寒くはない。

 6:30にシュラフを抜けだし、撤収作業を開始した。谷間の公園にも、ようやく日が差してきた。昨夜は真っ暗でよく見えなかったが、100台ほども停められる駐車場で、その真ん中にぽつんとテントが鎮座するのはちょっとシュール。

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 テントをひっくり返して、パッキングの前に水気をできるだけ乾かすようにしていると、昨夜から初めての自動車であるパトカーが公園の横を通過していった。10分ほどして茶色の普通車が近づいてきて、20代後半ぐらいの2人の男性が降りて近づいてきた。手のひらの中の手帳サイズのものをペラリとフリップさせて中を見せる。職務質問のようだ。どこから来たかと尋ねられ、福岡から歩いて旅行中と答えたら絶句された。名前も聞かずに、何でそんなことをしているのかとか、1日何キロぐらい歩くかとか、食事はどうしているかとか、この徒歩旅行に興味津々のよう。話がなかなか尽きず、コーヒーでもどうですかと誘うと、一人は飲む気満々だったが、もう一人から促されて仕事に戻っていった。今日から狩猟の解禁で、見回りに行くとのこと。駐車場の真ん中にテントを張るような不審者からは名前ぐらい聞いたらどうだろうかと思いながら片付けを再開した。

 撤収作業を終えて7:36に行動を開始した。500mほど坂道を上り、鶴田ダムのダム体まで戻る。昨夜、自販機で飲料水を購入したふれあい館はまだ始業前だった。

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 鶴田ダムによって川内川が堰き止められてできた大鶴ダムは、10kmほどの奥行きのある巨大なダム湖だが、その水面のほとんどがボタンウキクサホテイアオイで埋め尽くされている。かなり不思議な光景だ。忍者の有資格者ならば、頑張れば上を歩いて向こう岸に渡れそうな気もする。

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 鶴田ダムのダム体を渡り、九州自然歩道のルートに復帰する。県道404号線の舗装路を歩くが、ほとんど通行する自動車はなく快適。しばらく歩くと右手に川内川が見えてきた。鶴田ダム下流にもダムがあるようで、川の流れは淀んでいる。山の向こうから太陽が昇ってきた。たちまち暑くなり、上着を脱いでTシャツ一枚で歩き始める。

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 川内川の水面にはカモと思われる水鳥が何羽も浮いている。流れがないわりには水が澄んでいて、水面近くを泳ぐ魚の黒い背中が見える。カモがときおり水の中に頭を入れるのは、魚を捕らえているのだろうか。

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 しばらく進むと山の斜面から水が流れているところがあった。洗面タイムだ。この水で歯を磨き、顔を洗う。冷たくて気持ちが良い。

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 9:30ごろ、さらに進んだところにもう一つのダムが現れた。川内川第2ダムだ。このダムのために、鶴田ダムの下の流れが淀んでいたのだ。このダム湖には水草は浮いておらず安心した。ダム湖に映る山を眺めながら、ここでしばらく休憩した

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 川内川第2ダムの下流は、本来の川内川のきれいな水の流れがみられる。しばらくは川に近い道を歩き、その後は山手の道に上がっていく。鶴田小学校の交差点を右折し、川内川に架けられた神子橋を渡って神子の集落に入る。ここには小さな商店が1か所ある。数人の地域の高齢者の方たちが集まって、何やら苗をみながら相談しているようだ。

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 10分ほど歩くと、アビール館という公共の温泉施設が道路脇に現れた。玄関先から中を覗くと、従業員の女性が出てきて、いまは空いているからゆっくり入れますよと教えてくれた。それならばと温泉に浸かることにした。先客は1名のみ。とろりと肌の上に薄い皮膜を形成するような滑らかなお湯をゆっくり楽しむことができた。

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 温泉の後は、11:26に行動を再開した。このあたりまでくると、完全に集落をつなぐ県道の様相を呈しており、道路の舗装状態は良く、交通量も少しだけ増えた。11:50に湯田橋を渡って対岸の湯之元温泉に到着した。湯之元温泉には評判の良いうなぎ屋がある。今日はここでお昼ご飯を食べようと、朝から何も食べずにお腹を空かしていたのだ。

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川内川を渡ると宮之城(湯之元)温泉

 目標の湯之元食堂はメインストリートに面しており、すぐに見つかった。予約のお客さんで忙しいようだが、カウンターが空いており、すぐに座ることができた。うな重とうな丼の2択のみ。カウンターの前で、ご主人が注文を受けてからウナギを捌きはじめる。見事な手さばきで身体をよじらせるウナギを捌き、串を打つ。関東風の先端の尖った包丁で背開きにする。蒸しはない。15分ほどで注文したうな重と山太郎ガニのみそ汁が目の前に並べられた。山太郎ガニは九州北部ではツガニと呼ばれる淡水のカニで、濃厚な味がする。マイルドな鹿児島弁で気さくに話しをするご主人と会話を楽しみながら、香ばしく焼かれたうな重を堪能した。

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 昼食を終えて12:43に行動再開。西には北薩地方の最高峰の紫尾山(しびさん)が見えてきた。11月とは思えないような陽気で、汗が出てきた。

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正面が紫尾山

 13:09に柏原橋の交差点で国道267号線と合流し、一気に交通量が増えた。しかし、この道は歩道が設置してあるため安全には問題はない。15分ほど歩いたところで宮之城の市街地に入った。ここで宮都大橋を渡りしばらく進むと、道路の真ん中に駅舎のような建物が見えてきた。近寄ってみるとまさにここは国鉄宮之城線の宮之城駅の跡であった。

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宮都大橋を渡る

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国鉄宮之城駅跡

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 ここからは九州自然歩道を離れて市内を横断し、宮之城橋を渡って出水行きのバスの出る虎居町まで進んだ。14:45に本日の行動を終え、バスが来るのを待つことにした。

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宮之城橋を渡る

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2020年11月15日 九州自然歩道 62日目 鹿児島県薩摩郡さつま町鶴田ダム~さつま町宮之城 晴れ 気温24/12 距離19.7km 行動時間7:00 30531歩

復路交通:虎居町 南国交通鹿児島空港線バス15:02-出水15:40/15:50九州新幹線さくら406号-博多17:03

九州自然歩道 61日目 紅葉の映える曽木の滝 鹿児島県伊佐市大口里~薩摩郡さつま町鶴田ダム 2020年11月14日

 土曜日の本日は、3週間ぶりの九州自然歩道。10:44に南国交通バスを鹿児島県伊佐市大口里の八坂神社前で降りてトレッキングを開始した。少しスタートが遅いが、これが最速の交通手段。

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南国交通バスで大口市内に到着

 大口里から市内の中央を流れる羽月川を越えて、対岸に渡る。街路に植えられたカエデは赤く発色し始めている。2kmぐらい歩いて、前回、九州自然歩道を離脱した鳥巣集落に11:07に到着した。

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羽月川を渡る

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大口でも紅葉が始まっている

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前回の離脱地点に到着

 大口の中心の市街地の対岸の集落はほとんどが農地で、のんびりとした雰囲気。稲わらロールがこの地には本当に似合う。しばらくポツリポツリと家のある集落に沿った舗装路を歩く。

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稲わらロールが映える

 県立北薩病院を過ぎたところで、畑の中でコンバインを操作してなにやら収穫をしているところに出くわした。先端がカラカラに乾燥した赤茶けた作物を刈り取っている。この作物が何なのか分からない。思い切って畑の中に進み、トラクターを運転しているおじさんに声を掛けたら、「ソバだよ」と教えてくれた。「あれが花」、と指さす先には、見慣れた白い花が咲いていた。収穫期のソバは初めて見た。畑に落ちていた実を指先でつぶしてみたら、白い蕎麦粉のようなものが出てきた。ここの蕎麦を食べてみたい。

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コンバインで収穫中

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これが作物

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蕎麦だった

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これがそば粉

 舗装路を何回か曲がり広い道路に出ると、このあたりには珍しい自動車の渋滞が現れた。大口郊外にある名勝地として知られる曽木の滝に続く車列のようだ。渋滞している車の横を通り抜けて12:45に曽木の滝に到着した。ここは東洋のナイアガラと呼ばれる名勝地。ちょうど紅葉の時期と重なり、駐車場には車があふれていた。

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曽木の滝に到着

 曽木の滝は川内川の川幅の広い部分に形成された滝で、10mほどの落差で落ち込んで盛んに水しぶきを発している。真ん中で2つに分かれているところなど、たしかにナイアガラの滝と形態は似ている。

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東洋のナイアガラ

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曽木の滝公園の紅葉・黄葉も見事

 ここには食堂が数軒あったため、ちょっと気になる古民家風の店に入ったところ、1時間ほどかかるという。空席ができたら電話で呼び出してもらうようにお願いして、曽木の滝公園内にある野草薬草館を見学させてもらった。

 ここは無料で見学できる不思議な施設で、館内の案内の女性の植物の知識がとても豊富だった。薬草茶を頂き、また、たっぷりと薬草の知識を仕入れることができた。

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しばらく野草薬草館の見学

 そうこうするうちに、古民家風の食堂の野草庵から電話で呼び出しがあった。急いで食堂に向かい、薬草膳の昼食とした。この店は飛騨高山から移築した古民家を使っているそうで、とても雰囲気が良い。客足が絶えないのもよく分かる。

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薬草庵

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薬草膳

 昼食を終えて14:50に行動再開したときには、曽木の滝に到着してから2時間以上が経過していた。15:12に曽木の滝を見渡せる位置に架けられた新曽木大橋を渡り、先を急ぐ。

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新曽木大橋

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橋上から眺める曽木の滝

 曽木の滝までは透き通った水が流れていたのだが、ダム湖の部分に入ると水面は一面の水草に覆われており、異様な光景。調べてみると、この水草ボタンウキクサホテイアオイとのこと。隙間なく湖面を埋めている。とても湖面とは思えないほど。

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ボタンウキクサホテイアオイに埋め尽くされた大鶴

 大鶴湖の湖畔に沿って1kmほど進むと、1909年から発電に使われていた曽木発電所が、1967年に完成した鶴田ダムによって湖底に沈んだ遺構が見える地点に着いた。しかし残念なことに、現在はダムの水位が高い時期で、遺構のほんの先端のみが湖面から見える状態だった。

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残念ながら発電所遺構はほんの先端のみ

 曽木発電所遺構を通過したところですでに15:30。目標としていた鶴田ダムまで12kmほどあるが、日が暮れそうなので先を急ぐ。ときおり木々の間から見える緑色の湖面を眺めながら、ほとんど自動車の通らない県道404号線の舗装路を下流に向かって進む。

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日が暮れてきた

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夕暮れの照明のないトンネルを通過

 ようやく鶴田ダムに到着したのが18:00。すでに日没を過ぎ、辺りは暗くなっている。ダムの畔にはふれあい館という展示施設兼食堂があったが、食堂の営業は11:00~14:00と昼のみ。さいわい自動販売機が入口にあったため、飲料水の補給を行った。

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ダムに到着したときには日没過ぎ

 ダムから1kmほど下った鶴田ダムふれあいパークの広い駐車場で野営をすることとして、明かりの全くないところでテントの設営作業を開始した。夜空から星が落ちてきそうなほど美しく輝いている。近くの山では、シカがよそ者に対して警戒音をしきりに鳴らしていた。

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2020年11月14日 九州自然歩道 61日目 鹿児島県伊佐市大口里~薩摩郡さつま町鶴田ダム 晴れ 気温23/8 距離24.3km 行動時間7:36 平均速度3.9km/h 39347歩

往路交通:

博多8:39九州新幹線さくら407号-新水俣9:43/南国交通鹿児島空港線バス10:00-八坂神社前10:47